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創造的な成果を出し続ける企業の組織マネジメント~面白法人カヤック~

株式会社カヤックは、神奈川県鎌倉市に本社を置くWeb制作・企画・運営会社です。

面白法人カヤックというのは通称なのですが、「面白法人」という寒すぎる枕詞を浸透させきったのが先ず凄いですね。

深夜のノリで決めたとしても翌朝冷静になるケースだと思うのですが、深夜のノリのまま押し切ったという感じでしょうか。

何かと成果物に目を向けがちのカヤックですが、組織マネジメントの側面からアプローチした結果です。大学院(MBA)で提出した課題を、要点だけをまとめて3分で読めるボリュームに要約しました。

①はじめに

鎌倉に本社をかまえる面白法人カヤックのマネジメント手法について論じる。

直近バズった創造的な成果としては、うんこだけをテーマにした日本初のエンターテインメント施設であるうんこミュージアムや、販売開始から1週間で販売本数5万本を突破したNintendo Switch​『スーパー野田ゲーPARTY』がある。

うんこミュージアム

これらの創造的な成果を定期的に世に送り出す面白法人カヤックのマネジメント手法について調査した。


②面白法人カヤックについて

面白法人カヤックは、その独特な社風で著名である。
例えばサイコロを振って給料を決めたり、社員の似顔絵を描いた漫画名刺を使っているなど一般的な会社と比較すると尖がった文化を持つことからテレビ番組などで紹介されることも多い。
カヤックには大きく2つの事業部がある。ゲーム事業部とクリエイティブ事業部である。
クリエイティブ事業部の事業部長である阿部晶人氏にインタビューをして、継続的にクリエイティブを創造し続けるカヤックのマネジメント手法を人事面と組織面から炙り出す。

組織

③人事面

面白法人カヤックの経営理念は「つくる人を増やす」である。

カヤックの人間と名刺交換したことある方はご存じかもしれないが、全員が人事部に所属している。
これは全社員が採用権限を持っているため名刺に記載する所属部門は人事部になっている。

面白法人カヤック

商談相手であろうと協力会社であろうと「いつでも採用目線であなたを見ています」という意味で、カヤック従業員1人あたり2名まで社長面接直通権限を持っている。
「つくる人を増やす」ために人事面で非常に独特なルールを公式的に導入している。

この「つくる人を増やす」という経営理念によりクリエイティブな人材を流動的に抱え続けることができている。離職率の高さが問題になっているが、着実に「増やす」ことで「継続的に成果物を世に送り出す」ことに成功している。

ここからは阿部氏の主観になるが、応用力の高い人、変人、何か極めてる(極めたことがある)、やりたいことしかやらない、ような人を採用で重視しているとのことであった。一般的な会社の採用基準を否定しているわけではなく、一般的な採用基準に加えて上記のような特異性を持つ人材が「継続的に成果物を出す」ことに必要なのかもしれない。

ではそのような人材をどのようにマネジメントする公式的な組織や文化があるのだろうか。

④組織面

阿部氏の口から最初に出てきた言葉をそのままに書くと「ティール組織を目指しています」(※セルフマネジメント、ホールネス、存在目的)とのことであった。

イノベーション論での教えに沿うと一般的に「クリエイティブはマネジメントできない」し、そしてカヤックはクリエイターをマネジメントしようとしない。「セルフマネジメント(自主経営)」を象徴する言葉が阿部氏の口から矢継ぎ早に出てきた。


・それが成功すれば会社も結果オーライ

・基本やりたいことは上司がNG出しても勝手にやる

・ブレストを大切にしている 皆で意見を出し合う

・考え抜いた案を持ち寄るというよりその場の即興性を大切にする

面白法人カヤック

ただ一方で、「ホールネス(全体性の発揮)」と「組織の存在目的」を浸透させるため、全員社長合宿という名の社内研修を年に2回実施している。
その他で阿部氏の口から出てきた象徴的な言葉としては、


・新しい考えや技術をいち早く取り入れるスピード(古い組織はこれができないはず)

・面白い人を常に持っており、その人と仕事がしたいという動機付け

・面白い仕事があるから、ここで働くという動機付け

・会社のとある制度が面白いから この組織にいたいという動機付け

・鎌倉やオフィスが楽しい、のような動機付け


があった。非常に特徴的である。

⑤まとめ

「ティール組織が継続的にクリエイティブを創造する」という証明ができたわけではない。

しかし、面白法人カヤックはクリエイティブが自発的に生まれ続ける仕組みを意識的に構築している

このマネジメント手法は模倣困難性が高く、面白法人カヤックの競争力の源泉になっていることは火を見るよりも明らかである。


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