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BOOK REVIEW vol.015 かもめ食堂

今回のブックレビューは、群ようこさん『かもめ食堂』です!

映画もあります!

私が初めて『かもめ食堂』を知ったのは2006年のこと。四条烏丸にある京都シネマというミニシアターで映画を観たのが最初の出会い。フィンランドという国、北欧のおしゃれなインテリアや食器に憧れたのも、この『かもめ食堂』がきっかけでした。

この映画をおすすめしてくれたのは当時勤務していた職場(大学図書館)の先輩で、書架に本を並べながら「おなかが空いている時には観に行かない方がいいよ!」とアドバイスをもらったことをよく覚えています(笑)コーヒーにシナモンロール、とんかつに唐揚げ、そしておにぎり。美味しそうな料理がたくさん登場するので、観ていると本当におなかが空いてくるのです。

映画館には何度も足を運び、上映期間終了後はDVDを購入して自宅でフィンランドの空気に浸っていた私。原作が発売されたのは、それから約2年後の2008年。映画の雰囲気が好きだったのですぐには買わずにいたけれど、2009年頃に「よし!」と意を決して原作を読んでみることに。ちなみに映画より原作の方が後に出たのは、映画は映画用の原案をベースに撮影が行われ、その後、群ようこさんが原作を書き下ろされたからだそう。

映画の中では詳しく描かれていなかった「そういえばなぜ?」的なことが、原作の中で明らかになっているので、読むと色々と合点がいきます。主人公のサチエさん、ミドリさん、マサコさんが、どんな経緯で、そしてどんな思いでフィンランドの地にやって来たのか。元々は日本でどのような生活を送り、そこでどのようなことを感じていたかなど、映画ではあまり深掘りされなかった人物像が描かれています。

個人的には、映画の中に出てくるお気に入りのセリフが、原作の中では別のセリフに変わっているので、そこが少し残念ではあるけれど・・・映画と原作の大筋は大体同じなので、映画の雰囲気が好きな方はきっと楽しめるのではないかなと思います。映画版では、フィンランドで前向きにお店を切り盛りしていく姿や、お店にやってくる人々との温かい交流が主ですが、原作ではその部分も描きつつ、登場人物たちの人柄やこれまでの人生を深掘りしているので、『かもめ食堂』という物語をより深く理解したい方にはおすすめの一冊です。

(余談)
そういえば、映画『かもめ食堂』のパンフレットがあったはず・・・と引っ張り出してきました。スーツケース型のパンフレット!2006年当時からこのデザインがお気に入りで、今でも大事な宝物です。

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