【ひらめき☆マンガ教室】課題5ネーム感想【第5期】
毎月読み切りマンガが投稿されていくマンガ教室、「ひらめき☆マンガ教室」の課題5「花開く」のネーム感想記事です。
今回の課題文は下記の通りです。
大テーマが「感情」で、「主人公と読者の心を揺さぶれるようなワンシーン」なので、後半ページの展開が見どころな感じですかね!
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作品表記については、作者名「作品名」としています。(敬称略・名簿順)
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以下、課題5「花開く」のネーム感想です。
花が咲いているもの
aoki「株式会社桜を見る皆(かい)」
花見プロデュース会社の社長が頑張る話。
p6、顔やばくて良いですね。この勢いだったらメガネ割れていてもいいかもしれないです。
p4、トヨタ自動車の売上高は31兆ほどで従業員数は連結で37万人ほどなので、モデルにするのであればもっと外すか、合わせて行った方がよいかなと感じました。
https://global.toyota/pages/global_toyota/ir/library/securities-report/archives/archives_2022_03.pdf
社長という割には一人で直接現場に出て仕事をしているので、もっと専門の会社としてやっている感を出すか、この社長がヤバい奴かに、より振った描きかたをした方が、今やっている描写からよりいい感じの勢いになっていくかなと思います。
専門家集団として業界紙や受賞歴あるとか、新規上場や資金調達していて有名な企業であるとか。この主人公の会社の事業内容の設定を詰めて描写した方がマンガ内の状況の説得度は上がるかと思いました。
小林 煌「クチナシの花を君に」
兄がいると思っている少年が、クラスの女子に花の匂いを指摘されて兄の存在に疑問を持つ話。
要素が整理されていて読みやすくて良いですね。冒頭、「くさいんだけど」のセリフで始まるのはマンガに入っていきやすくて良いです。(女子側をもっと大きくして、読み飛ばされないようにした方がもっとわかりやすいかな……とは思いますが)
p6-7でいきなり感情の動きが出てきたなと思いましたが、p3で同じ小学校だったとセリフであるので、ある程度交流があった想定なんですね。主人公は兄が見えているが周りの人はそう思えないという描写は「あなた一人っ子でしょう?」で完全には回収できない(兄さんと呼んで慕っている人が他にいる可能性がある)ので、もう少しページ数が必要だと感じました。
滑川王手「月下美人」
離婚して少し経った中年男性が、自宅への侵入者と一緒に開花を見守る話。
不条理ギャグっぽい展開が続きますが、主人公のモノローグで「これはこういうものなんだよ!」と説得される感じで良いですね。p15がオチだと思ってp16は何だろうと読み返したら、いちご農家の手伝いに行くのが気まずいからその関連なんですね。
侵入者、月下美人が咲いたことに対して「ええ…」としか反応していないので、主人公に近づくための口実として花を使ったのでしょうか。花が咲く前の会話のところで主人公の心情が変化しているので、花が開花するまでのあいだでページを割いて二人の会話を入れる方が、流れとしてはスムーズになるかなと思いました。
花が開いているもの(比喩)
俗人ちん「僧侶失格!?」
スケベな僧侶が女師匠に欲情を抱く話。
下ネタというかエッチ系の展開がテンポよく続いていて良いですね。
主人公については悶々としている感じでこのマンガの中で違和感ないですが、ヒロインの女師匠の方でそうはならんやろ感を少し感じました。p2、「着物からおっぱい!!」な服のはだけかたをしているのを、「いかん 師匠は 清純無垢な方…」で済ませるのはご都合感あります。鬼滅の刃の甘露寺蜜璃のように、作中でその服装である理由があるとそのキャラらしさとして納得感あるようになるかなと思いました。(口調も現状、定型的な女口調感あります)
降原「忍ちゃん」
男っぽい女子が可愛い服に目覚める話。
主人公のキャラデや可愛い姿、気合い入った描き方で良いですね。
冒頭の始まり方から、「これは少年とお姉さんの展開が来るか……?」と思っていたらp10から別パートが始まったのでびっくりしました。p3-4とp13-14で時系列飛ばす描写を繰り返したり、裁ち切りの使い方やコマ割りが不規則だったりと気になる部分が多いので、見せたい展開に絞って絵を大きく入れていく等、要素を整理した方が読みやすくなるかなと思いました。
可愛い服を着る部分、お約束として色々な着せ方ができる部分なので、もっと攻めてみてもよいかもしれないです。
はねむら「田中さんは才能がほしい」
才能に憧れる少女がクラスメイトに才能を見抜かれる話。
線や要素が整理されていて読みやすくて良いですね。内容も10ページの中でいい感じのボリューム感あります。
主人公の願望、高校2年生であればもっと具体的な周りの人の才能への嫉妬や執着になるかな……と思いました。勉強や部活で周囲の生徒の方がうまくできる人がいる環境のはずなので、才能それ自体ではなく「サッカーの才能」や「数学の才能」のように特定の領域に意識が向いていないのは不自然に感じました。
全体のテンポが一定に感じるので、ワイド4コマで描く方が絵にも合うかなと思いました。
葉野 赤「野火」
部活の帰り道で友人への感情に気づく話。
山火事を見たことをきっかけとして、友人との関係の展開やオチの描写へとつながっていてよいですね。
吹奏楽部という設定で始まっているので、もっとその部活らしさや描写がある方が作品中の会話の説得力は増すかなと思いました。
マンガ全体で均等な3段組みが淡々と続くので、会話の際の感情の高ぶりや主人公の視点を意識したカメラの寄り引きや描写が入った方がよりオチの感情へとつながるかなと思います。(現状、どちらが主人公かの画面上での描き分けが曖昧な気がします)
※タイトル、大岡昇平の戦争小説や映画と同じなので変えた方が良いと思います。戦争漫画だと思って読み始めることになるので。。
かわじろう「フォトグラファー」
写真家の話。
絵と内容が合っていて良いですね。写真からドローイング、匂いへの流れが自然に進んでいる感じです。
ヴィヴィアン・マイヤーやブレッソンが人物像のベースなんですかね。p2の「偶然の美しい瞬間」という言葉、だいぶ写真業界みを感じるのでもっと日常の言葉遣いにするか、キャラに合うものに変えた方がよいかもしれません。(作品を物語る主体が誰なのかが曖昧なのでそう感じるのかも……)
現在の第三者視点のナレーションと過去の主人公のモノローグが同じ四角形なので、変更した方がわかりやすいかと思います。
泉ころろん「無限のQに、一の花」
地球を守るために宇宙人とクイズ対決をする話。
描き方に作風や安定感あって良いですね。全ページ裁ち切りできっちりセリフ入っているので、意図して演出している感があります。
対戦相手の宇宙人、現状キャラデザはっきりしていないですがクリボーみたいな見た目なんですかね?対戦相手や主人公のキャラがあまり語られないままクイズが進むので、何か過去や性格の描写ははっきりある方がわかりやすいかと思いました。
画面にポイントが表示される普通の早押しクイズ形式だと画面上のおもしろさが少ないので、キャラ性と含めて別の見せ方をしてもいいかもしれません。
qjin「G」
爺が自慰する話。
終盤の射精シーンに向かって爺と描写のテンションが上がっていく感じで良いですね。
爺が自慰する展開にするために演出重視にしているのだとは思いますが、人物や設定の描写が気になりました。
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・p1ナースが驚くシーン
勃起を抑制している社会で、爺が「勃起 したくて」というセリフになぜ驚くかが不明
・p3医者との会話
p8で病院に勃起の薬があることが示されますが、この時点ではなぜ外出して勃起しようとしたかが不明
・p12ネットのチャット
p5で勃起について知らない描写があるが、p12では自慰について教えているのでこの社会での自慰と勃起についての認識が不明
・p14銅像
p13の射精のあとが省略されていてその後も何があったか示唆がないので、爺が銅像になる経緯が不明。p10で出てくる勃起するための薬が「G」なのでp16の「爺が自慰の起源」は現状の作中の描写では違和感
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爺のキャラと勢いでぐいぐい前面に押し出しててくるとより自慰のインパクトが高まるかもしれないですね。
いとしろ たかや「好きの言葉」
幼なじみと付き合う話。
イケメンキャラ、はっきり顔が良い感じに描けていて良いですね。学校帰り?で幼なじみに対して「俺と付き合え」発言はどういう流れが前にあったのかは気になります。
女性主人公側、作中では元々幼なじみのことが好きだったという設定なので、p1の告白にたいしての反応が「え はい」なのはだいぶ淡白に感じました。無表情クール系のキャラで心の声はめっちゃうるさい、とかだとこの応答でも成立すると思いますが。。現状、作中のセリフやモノローグからはだいぶメタ認知強そうなキャラに見えます。
後半のコマ割りや展開は少女漫画感強めでイケイケな感じなので、前半の主人公側の感情の描写は丁寧に描いた方が、よりクライマックスが活きるかと思いました。
谷なすび「溺れるカッパ」
少女がホームレスを川に溺れさせる話。
少女のキャラデや川のベタ面を使った画面作り、良いですね。p12の「いい加減 起きろよ アホガッパ」バチン のコマ、理不尽で良いです。
画面上に多く出てくるのは少女の側ですが、話としてはホームレス(カッパ)の側で始まって終わるので、主人公として変化を描くのであれば、現状に到るまでの背景やキャラの描写はもっと必要かなと思いました。
なんとなく↓を思い出しました。
たにかわ つかさ「つり日和」
親子で釣りをする話。
日常の出来事を丁寧に描けていて良いですね。p15、釣りの瞬間をフカンで捉える構図で良いですね。
釣り自体の細かいネタや情報を詰めるのであれば今のコマ数でもよいと思いますが、メインとなるのは不器用な父親と飽きっぽい子供のやりとりなので、演出やコマ割りでもっとキャラの大ゴマや感情の描写があった方が良いと思いました。
海や堤防は横位置の構図で大きく抜け感をだせるモチーフなので、場面の描写や要所で大きく背景ゴマも欲しいと思いました。
つりばし わたる「人間性診断」
機械で人間性を測る話。
人間性診断が義務付けられた社会、アイデア良いですね。比較的社会の構造や人間ドラマに生かせそうな設定な気がします。
話としてオチてはいないので判断が難しいですが、この設定をより生かすのであればキャラの設定はより違うものにした方がよいかと思いました。p2の設定紹介ではバスの運転手が高い倫理観が求められる、とありますが、同じ運転手であればトラックやタクシーでもあてはまるので、より「人間性診断」という言葉からイメージしやすいものにした方がわかりやすいかと思います。医者や弁護士、刑事や教師などですかね。。
「PSYCHO-PASS」っぽさは少し感じました。
よこうただ「雨がなくてわ」
雨が降る話。
かなり想像力を働かせて読み解く必要はありますが、詩的な表現で良いですね。
「雨の降る日は天気が悪い」など、全体の言葉の選び方が小泉進次郎みを感じました。
雨を軸とした話なので、画面全体もグレーや黒ベタにして、デカ文字で攻めて仕上げるのもいいかもしれません。雨が降っている表現の例として、「少年のアビス」など、、
「雨の降る日は〜」というセリフで相沢沙呼さんの小説が頭をよぎったので一応。
あとがき
ちいかわ、うさぎが「ツツウラウラ」と言葉を発していてびっくりしました!
この子は奇声をあげるだけの存在ではなかったんですね……!!
私も同じ気持ちで頑張っていきたいです!!!