【ひらめき☆マンガ教室】課題4ネーム感想【第5期】
毎月読み切りマンガが投稿されていくマンガ教室、「ひらめき☆マンガ教室」の課題4「知っている人をモデルにしてください」のネーム感想記事です。
課題提示は、映画「メタモルフォーゼの縁側」が公開中の鶴谷 香央理さんです。
前書き
ひらめき☆マンガ教室では毎月、読み切りマンガのネームの提出と前回課題の完成稿提出の締め切りがあります。
今回の課題4だと、ネーム提出締切が7月2日(土)、完成稿の提出が7月30日(日)です。次回課題のネーム提出の締切とスケジュールが重なることになります。
サイト内の課題ページで作品のタイトルが表示されているものはネームが提出されたもの、緑のワッペンで完成稿と表記されているものは完成稿が提出されたものです。
完成稿の提出は講義内で選ばれた3名は必須で、ほかの受講生も自主的に提出することが求められます。
完成稿の講評についてはYouTubeでも公開されるので、受講生以外でも見ることができます(アーカイブ期間は1週間ほど)。
過去の最終課題の講評についてはアーカイブが残っているのでいつでも視聴が可能です。
ゲンロンのYouTubeチャンネルにて各講義の完成稿の講評の中継がされるので、授業日前後で情報をチェックするとよいです。
ゲンロンスクールのTwitterアカウントにて講義の情報等発信されています。
https://twitter.com/genronschool?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor
また、#ひらめきマンガ で検索するとひらめき☆マンガ教室関係者の方の情報が追えますのでおすすめです。
ほか、関連情報については初回記事をご参照ください。
私の今回の提出作品も下記にありますのでよろしければご覧ください。
森紗はるき「きになる視線」
ぜひ応援してあげてください。
凡例
・作品表記については、作者名「作品名」としています。(敬称略・名簿順)
・作者/作品名小見出し部分に該当作品ページのリンクを設定しています。
・まんが王国内のサブジャンルを参考に、各作品のジャンル分類をしています。
・作者の方がTwitterカード設定の上で告知をしている場合、画像も貼り付けています。キャプション部分に出典先ツイートを記載しています。
以下、課題4「知っている人をモデルにしてください」で提出されたネームの感想です。
恋愛
俗人ちん「天堂さんは勝ちたがり!」
中学生どうしのラブコメの話です。
勝ち負けを基準として話を進めるので、勝敗が決まる行動で画面に動きを出せていて良いですね。
言葉の選び方でいくつか気になる点があります。
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・キャラの名前
「天堂かつみ」という名前、女性名というよりも男性っぽい印象がしました。愚地克巳、高橋克実、山田勝己など……
天堂、という苗字も任天堂をイメージしているのかと思ったら内容に関係ないので不思議な気持ちになりました。
勝つ、をもじる名前づけにするのであれば、苗字にするか続けてローマ字にしたときにわかる意味づけにする等する方がよいかと思いました。
本多忠勝とかムーディ勝山とか、あまり勝ちにこだわるとパワー増していくのでかわいさ重視でも良いかもしれません。
「井上静一」も、読み方はしょういち、なんですかね。勝利するので、、
・勝負について
タイトルでは「勝ちたがり」ですが、「負けず嫌い」の方がより一般的な表現かと思います。天堂さん側が何を勝負として認識して、勝敗をどう決定しているのか。ほかのキャラに対してではなく井上くんにだけ執着しているのか。キャラの背景の説明部分がよりある方が、作中の勝負を読みやすいと思います。
・中学一年生
作中の舞台が地方か都会か、公立か私立かによってキャラの捉え方が変わるので、舞台の描写はより必要かなと思いました。
〇〇さんものでプレーンな味付けオンリーでいくのは中々に修羅な道だと思うので、何か特徴づけがある方がよいかと思います。
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最終的にかわいければオッケー!な内容なので、表情の大ゴマで気合い入れた作画ができるとオールオッケーかなと思います。
葉野 赤「あのひとの浮いたはなし」
先輩が結婚したかと思ったら実は……な話です。
のじゃ口調キャラよいですね。
p1-3で引っ張ってp4で回想として登場するのは遅く感じるので、もっと早く登場させた方が良いかと思いました。
のじゃセリフは多ければ多いほどよいので、時系列と出来事を整理して、モノローグでの説明ではなく先輩がしゃべる場面がもっと出てくる方が好みです。
編プロで原稿を扱う仕事なので、ゲンコさんなんですかね。
インスタ、ハッシュタグ、編集プロダクション、松技山、黒曜石など読み手に前提となる知識を求める単語が連続するので、場面での説明や整理は必要かと思います。
背景コマがほぼないのは、「みなみけ」のように同じ場所・時間で話が進むのならいけると思いますができれば入れた方が良いと思いました。
いとしろ たかや「珈琲とシュガー」
顔が良い男とのラブコメの話です。
表情の変化を展開と大ゴマで描けていて良いですね。
冒頭、イケメンがキレるところ(マイナス)から始まってp7でまたキレているような描写があるので、この人の良いところは顔が良いだけなのか……?となりました。
お店で仕事の電話をして、相手との関係性を断つような話し方をするのはだいぶ社会人としてやばいと思うので、顔が良いだけでは帳消しにできないなと感じました。(インサイダー取引防止研修とアンガーマネジメントを学んでほしい、、)
冒頭、キャラの第一印象がキレていて怖いだったらそこからプラスの感情を抱くのは難しいので、もっとやさしい世界の方がいいな……となりました。
たにかわ つかさ「がんばった日」
理解のある彼くんマンガです。
日常の動作を丁寧に描けていて良いと思いました。
冒頭、電話でしか彼くんが登場せず、ふんわりしたセリフ選びも相まって彼くんが実在しているか不安にはなりました。
作中の描写だけだと二人の関係性が確定しないので、誰の視点で話を読んでいいかを確定するモノローグは入れてもいいかと思います。
ヒューマンドラマ
泉ころろん「寝そべり族」
ふんわりしたマンガです。
p4、「こんな所じゃねこまんましか食べられないよ!!」のセリフよいですね。ねこまんまは食べられんだ……
作中で起きているものごとがあまり確定しないので、よりわかりやすい説明や演出がほしいと思いました。
タイトルが「寝そべり族」ですが、わかりやすく強い社会風刺やトゲがある表現ではないので、もっとやさしい言葉でも良いかと思います。
柿谷孟 カキタニ モウ「反射光」
生活の話です。
p1、「画面の気合いの入れ度1〜5 ※なにもかいてなかったら3」よいですね。何か対話をしかけている感じがします。
現状白ハゲ漫画っぽい絵の入り方で、どんなキャラなのか(人間なのかどうかも)がわからないので、目・鼻・口あたりは描いておいた方がよいかと思いました。
タイトルの「反射光」、p4でのセリフが回収となるとは思いますが、他のページと似たコマ割りで入っているので、重要な部分のコマを大ゴマや、セリフを分ける方がより内容が伝わりやすいかと思います。
千住ちはる「連れてこなければよかった」
親子で買い物に行く話です。
子供がめっちゃしゃべっていてよいですね。
タイトルが「連れてこなければよかった」で、冒頭顔を隠した状態で始まるので、何か不穏な話かと思いました。(投稿タイトルとp2での表記違いますね、、)
後半の親子でのやりとりのシーンを主に読ませていくマンガかと思うので、買い物のシーン始まりで、来る前のやりとりが回想で少し入る方がすぐ内容に入っていきやすいかなと思いました。
前半7pほどが連れていく前の話なのは少し長いと感じました。
ジャンル違いますがスピード感とタイトル回収がすごい読み切り↓
ギャグ・コメディー
nonaka「あつまれ!大爆笑小噺」
喫煙所で会話する話です。
文字が大きくてよいですね!だいぶ意識してコントロールしているのであろうと感じます。
二人が会話を始めるまで5ページあって、それまでに説明されていたアニメ制作会社や喫煙所の状況説明が後に活かされないので、もっとはやく会話はじめてほしいと感じました。
16ページのなかでキャラ二人が過去の話をして、ほぼモノローグで説明されていて駆け足なのでどちらかに絞って場面を描いていく方がよいかと思います。
降原「時を彷徨うショーヘイ」
信じやすい友人をだます話です。
髪型がとがっていてよいですね。強い意志のもと、ショーヘイの髪の毛を黒くするのだという意図を感じます。
信じやすい友人を今が未来だとだますネタですが、読者がこの作中世界が2022年だとはっきりわかるのがp5の1-2コマなので、この話がどう進むのかわかりづらいと感じました。
彷徨う、という言葉は実際に体を動かす方に使い方が一般的かと思うので、タイトルも不親切かと思いました。(使うにしてもさまよう、とひらがなに開いた方がよいと思います。ドラクエのさまようよろい、のように)
友人の言うことをそのまま信じてしまうショーヘイやその家族、というのは展開上使いやすいと思うので、冒頭の家での会話の場面をセリフ整理して丁寧に描いて、家族みんなやべーやつだったの方がわかりやすい気はしました。
セリフを読まなかった場合に話の内容がわかる要素は少ないと思います。
はねむら「無職おじさんと幼女志乃ちゃん」
おじさんと幼女が公園で会話する話です。
コマ割りわかりやすくて良いですね。
タイトル、無職おじさんが先に来るので、この作品の売りは無職おじさんの方なんですかね……。文字数制限でタイトルが途切れたときに、「無職おじさんと……」とかになると興味を持つ層が限られるので幼女側を先に持ってくる方がよいと思いました。
「無職」と「幼女」はとくに対立する言葉ではないので、「芋虫志乃ちゃん」や、何か状態を表す言葉をつけて「○○無職おじさん(どん底無職、限界無職)」にする等、表現上のつじつまは合っている方が自然かと思います。
現状、幼女側のセリフや描写がとくに幼女である必要性が少ないので、特徴や属性づけがもっとある方が、この作品のマンガっぽい展開には合うかなと思います。
先鋭化している先行例↓
滑川王手「高橋の消しゴム」
尻を叩かれる話です。
テンポの良いギャグでよいですね。
おじさんや尻を叩くシーン等のギャグの部分でセリフが多く、読み進めていきづらい部分が多いので、より尻が目立つような絵とセリフの入れ方の方がよいかもと思いました。
見開きで見た際に、p4-5でおじさんが向かい合う状態になっていたり、p7で大ゴマが斜めで入るところなどは、読んでいて不思議な気持ちになりました。
前半は比較的セリフ多めでおじさん尻叩きと変身でテンポを上げていって、p12-15あたりで2,3コマ程度で大きく絵が入る構成の方がこのネタには良いかなと思います。
職業・ビジネス
鷹鯛ひさし「森見さんと私」
仕事のミスを先輩にフォローしてもらう話。
歌ネタよいですね。
どんな仕事をしているかの情報がないので、ずっと何かを発注する下りをやっていたな……となりました。
作中で出てくる何かをイメージさせる言葉が鳩ぽっぽ、発注、あのドラマぐらいなので、より舞台や場面の具体的な設定はあった方がよいと思います。
谷なすび「すなっぷえんどう(株)」
会社で指パッチンする話です。
指パッチンいいですね。
このネタの見せ所は指パッチンで会社の経営がうまくいくことだと思うので、p15の1コマだけで流されるのはもったいないと思いました。
エンジェル投資家や資金調達など、ある程度現実のビジネスに即した展開なのに、最後上場した際は少ない人数での記念撮影なんだ……と思いました。
祝上場のモニターや鐘など、もっと絵として見せられるものあるな……という気持ちです。
吉田屋敷「YOUNG GUNS」
美大受験の話です。
絵も演出も上手くてよいのではないでしょうか。
既にある美大受験ものマンガはある程度読者が美大のことを知っている想定でもう少しユニークさに振っている印象なので、よりこの作品ならではの要素や感情があるともっと良いかなと思いました。
グルメ
中西ゆかり「隣のフルハウス」
留学先のイギリスで中国人の女の子がご飯を作ってくれる話です。
舞台や描写が魅力的でよいですね。
冒頭、イギリスの街並み等がなくモノローグだけでイギリスだと書かれているので不親切だと感じました。言葉の使い方としても、フルハウス、サウディ、シーシャ、イギリスの料理がまずいという事情など、知らない人に向けてのある程度の補足がいりそうなものを連続してモノローグで出しているのはやさしくないと感じました。もっと場面や絵で見たいと思いました。
要素が多いためなのか、一番の見せ所であろう女の子の料理を食べるシーンがさらっと流されているので、あれっ、これはグルメマンガ……?留学コメディマンガなのか……?となりました。
女の子が隣から料理を作りに通ってきているよりも、同じフルハウスに住んでいることにした方が、よりグルメ×恋愛要素は強くできると思いました。
歴史・時代劇
qjin「竹取物語」
竹取物語のおじいさんがアイドルをプロデュースする話です。
話がシンプルにまとまっていてよいですね。コマ割りも何か明確な意図を感じます。
タイトルがど直球に竹取物語なのは、検索の際にかなり難しいので少し言葉足した方が良いと思います。
漫☆画太郎さんの桃太郎の絵本もタイトルは少し変えていましたね。
主人公のおじいさんの感情がわかるところが、p6の1コマめ、p11あたりぐらいしかなく、この話をどういう気持ちや視点で読んでいいかがわからなかったので、よりこのおじいさん側の背景事情がある方が良いと思いました。
せっかくアイドルが出てくるので、アイドルの良さや魅力が表情でわかるコマがはっきりあると良いと思いました。(現状パフォーマンスをしていることの説明コマになっているので)
かわじろう「右こぶと左こぶ (鬼にこぶ取らるること)」
こぶがなくなる話です。
絵やコマ割りがすっきりしていて読みやすくて良いですね。
自転車やJRが出てくるので時代が現代だとわかりますが、p3の子どもしか他の人間キャラが出てこないので、この主人公たちがこぶがあるのはこの世界でどういう位置付けなんだ……?となりました。
昔話や民話モチーフに現代アレンジをする際に、こぶとりじいさんを持ってくるのは中々ニッチだと思いました。
認知度としては高いわけではなさそうです。
皆川 晶 「〈論文〉昔話の認知度について― アンケート調査の分析を中心に ―」2019年,近畿大学九州短期大学研究紀要
ホラー
晃てるお「本当に恐いお化け屋敷の真実」
お化け屋敷に行く話です。
p8の話の盛り上がり部分、しっかりホラーとして描写できていてよいですね。
p8-9での「こわい」描写を十分に機能させるにはそれまでのページのコマ割りが単調に感じるので、もっと演出の工夫はあった方がよいかと思いました。現状、腰から上や全身の描写が多く、表情が大きく映されるコマがあまりないので、「こわい」感情を描くには不足感があります。
ホラー系マンガには特有のコマ割りや演出があるとは思います。
カルチャーお白州でもホラー回ありましたね。
後書き
皆さん提出できてえらいです!
パワー