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タマビ講義#02 「!」を生むための手がかりを作る! 「行動や判断の手がかりはデザインが可能なのか?」講師:菅 俊一

人間の心のはたらきを考えた制作をして、無意識に感じていた「!」の部分を意識できるようになること。それを繰り返すことでこれからの新しいデザインの姿や体験が作れるようになる、「行動や判断の手がかり」がデザインできるようになる。といったお話でした。


今回の講義は研究者/映像作家の菅 俊一さんです

多摩美術大学(タマビ)のリアル+オンライン連続講義シリーズの2回目です。アーカイブが下記から見られます。


初回(深澤直人さん)のちょこっとレポートはこちら↓


人間の心のはたらきを考えた制作活動や研究をされています。

菅 俊一さんのお仕事は『観察の練習』の本や、

展覧会やギャラリーで発表されている映像作品が有名です。


今回の講義では、01 コグニティブデザインの考え方、02 選択肢を1つに固定させる、03 取り組みと制作事例 といった流れでのお話でした。


01 コグニティブデザインの考え方

菅俊一
コグニティブデザイナー
1980年東京都生まれ。多摩美術大学統合デザイン学科准教授。人間の知覚能力を基盤としたコグニティブデザインの考え方による行動や意志の領域のデザインを専門としており、近年は、線や点といったわずかな手がかりだけで動きや質感を感じさせるための表現技術や、人間の創造性を引き出すための制約のデザインについての探求を行なっている。

六本木未来会議webより
太字部筆者

コグニティブデザインの考え方は、制作物をただ作るのではなく、それを受け取る人間の行動や判断など、情報を生む手がかりをデザインするという立場での制作という意味です。コグニティブ(cognitive)は「認識」「認知」といった意味の言葉があり、制作物としてポスターやグラフィックを作っていても、デザインしてあるのはそれを認識や認知する部分という考え方ですね。

講義では、街中で感じた小さな違和感や体験を実例に話がされます。

からす
らくだ
すだち

↑の文字の例では、noteは横書きフォーマットで文字通りの字間と行間の関係が適切なので上から「からす」「らくだ」「すだち」と読めます。

か ら す
ら く だ
す だ ち

↑字間を空けて、字間と行間のバランスを変えると、縦に読むのか横に読むのかちょっと「?」となりますね。

実例自体は日常の小さなことですが、それに気づいた違和感や感覚を抽象化して考えることで、良いデザインを作る際の指針となります。デザインを作る際に、「ビジュアル、形、ルールを美しく適切な姿で設計することで行動の変化を自然と促すことができる」というのがコグニティブデザインの考え方・制作での成果となります。


02 選択肢を1つに固定させる

ふだんの生活の中にもコグニティブデザインは深く関わっています。

シャインマスカットを研究室のみんなに自然と食べてもらうにはどうするか、という例が話されます。一房そのままの形で冷蔵庫に入れてあるとみんなにすぐ食べてもらえなかったけれど、その失敗を元に次回、一粒ずつもいだ上で紙コップに小分けして冷蔵庫に入れて「食べてね」と伝えることでみんなにすぐ食べてもらえるようになりました。

それを見た人が何をしたらよいのか、選択肢を1つに固定させることで、判断の存在が消えて、誰もが自然と手を伸ばせる「食べようとしやすさ」を手にいれることができた、という例です。

このあたりの、それを見た人の体験を考える部分、ユーザーインターフェース(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)の考え方を思い出しますね。


03 取り組みと制作事例

デザインによって選択肢を1つに固定させる(行動や判断の手がかりをつくる)ことは、アクションするための導線としての制約をつくることでもあります。

導線としての制約をつくる・設計する際の指針として「動機の生成」「注意の設計」「身体の誘導」があると考えた上で菅 俊一さんの取り組みや制作事例が紹介されます。

どれも人間がどうやってものを見て考えているのか、認知(コグニティブ)の部分に着目した制作事例ですね。人間の行動や判断(心のはたらきによる活動)をデザインするために新しい姿や体験をつくる、という取り組みのサインの姿勢も話されています。


講義を聞いて

無意識に感じている違和感を自覚すること、日々の気づきを大切にすることは初回の講義でも話されていたことです。デザインを見た人の頭の中に!を生むための手がかりの部分を作ることが重要という考え方は、媒体を問わず大切です。

今後デザインの際には、ソフトウェアやアプリを操作しているのではなく、見た人のこころの部分を操作していると考えながらやっていきたいと思います。

では!


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