全社の朝礼で述べた「宇宙人ネタ」の話
もう13年ほど前になりますが、はじめて会社というところに勤めたとき、朝礼で何かを話さなければいけない、ということがありました。部内の朝礼ではなく、毎週月曜日に行われる全社の朝礼です。その中で「3分スピーチ」というのがあって、毎週誰かひとりが3分間話をするわけです。
決して大きな会社ではありませんでしたが、それでも100人以上の前で話すというのですから、入りたてホカホカ(会社勤めをしたことがないのに中途採用だった)の私には大きな試練です。
他の人は、たいてい最近あったおもしろかった話だとか、仕事で気づいたことなどを話していました。でも、私には何も話すことがなかったのです(3分は意外と長い!)。
何日か考えた末、もう開き直って「自己紹介」をするしかない。そう思ったのですが、ただ自己紹介しても仕方がないですし、おもしろくありません。
そこで思いついたのが「宇宙人」の話です。私は大学で宇宙の研究をしていたので、自己紹介も兼ねて、宇宙人の話をすることにしました。
ドレイクの方程式を紹介しながら、この広い宇宙には絶対に宇宙人が存在することを述べました。
「宇宙には確実に宇宙人はいます。でも、みなさん安心してください。宇宙人はいいやつです!」
私はそんなことを言ったと思います。
なぜ宇宙人はいいやつなのか――。
それは、“地球に来る宇宙人”という但し書きがつくのですが、地球にやって来られるくらい科学技術が発達した宇宙人であれば、いいやつらに違いないと思ったからです。
もしあなたが宇宙人の立場だったら、わざわざ長い年月をかけて辿り着いた惑星で戦争をしたいと思いますか? その惑星の人たちと友好的になりたいと思いませんか?
そんなことを、なぜか会社の朝礼で力説したわけです。
まぁ場違いなスピーチではあったのですが、意外にもこれが好評だったみたいで、名前はさておき、「あ、宇宙人の人」と顔を覚えてもらえました。
それ以来、「宇宙人ネタ」は私のテッパンで、いろんな人に話すようになりました。雑談のときや飲みに行ったときなど……。誰にでもウケが良かったというわけではありませんが、そういうネタは誰でもひとつくらい持っているものだと思います。
話はこれで終わりではありません。この「宇宙人ネタ」がきっかけに、あるとき「宇宙人の自己啓発書をつくれないかなぁ」と思い立ったのです。
つまり、地球にやってくるほど科学技術が進化した宇宙人ならば、絶対に精神性も進化しているはず。そんな宇宙人が悩める地球人にアドバイスをするというものです。のび太くんのドラえもんのように、『アイデン&テティ』のボブ・ディランのように……。
最初の朝礼のスピーチから10年近く経っていました。
そして、今度『仕事の壁にぶつかった僕に、たとえば宇宙人なら何を教えるだろう?』(大和書房)という本が発売されます。
えーと、何が言いたかったというと、何気ないことが思いもよらないようなことに発展する……可能性もある、かもしれない的なことです。
おそまつさまでした。
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