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【宮沢賢治と私】① ~宮沢賢治の宇宙観・世界観モットーに、28年歩み続けた「絵本美術館 森のおうち」

 こんにちは、私は絵本美術館森のおうちの館長、酒井倫子(さかいりんこ)と申します。宮沢賢治作品の研究をライフワークにすることになったきっかけや、様々な出会いのことを書いていこうと思います。
 1994年4月29日、様々な方々の御支援で開館することができた森のおうちは、2022年4月で29才になります。国内外の絵本の原画を年に4回ほど企画を変えて展示をしておりますが、一回は必ず「宮沢賢治絵本原画展」を開催しております。

 私が宮沢賢治の作品を好きになったきっかけは、担任の先生の「朗読」でした。第二次世界大戦に日本が敗戦した1945年に小学1年生となった私は、食うや食わずの毎日を送っていました。小学4年生になった時、受持の先生が毎日少しづつ読みかせてくれた、「どっどど、どどうど、どどうど、どどう」で始まる、宮沢賢治の『風の又三郎』は、すっかり私をとりこにしました。「高田三郎」は本当に“風の神の子っこ”だろうか、それとも私と同じ普通の子どもだろうか?と物語が進むのが待ち遠しくて仕方ありませんでした。
 それ以来、絵本、解説書、詩集、写真図鑑など少しずつ集め始めました。

当館の図書室の賢治本コーナー(一部)

 絵本美術館 森のおうちが開館するにあたり、宮沢賢治の「生きとし生けるものの生命の大切さ、平等さ」を館の大きな指針として、豊かな絵本の世界を来館して下さる方と共有したいと考えました。

 オープニング展は迷うこと無く「宮沢賢治の世界、絵本原画展」を開催、『雨ニモマケズ』『猫の事務所』『銀河鉄道の夜』(いずれも、小林敏也・画/パロル舎版)、『水仙月の四日』(鈴木靖将・画/サンブライト)、『どんぐりと山猫(高野玲子・画/偕成社)、そして今は亡き三橋節子氏のタブロー「よだかの星」「おきな草の星」(いづれも80号の日本画)を展示させて頂きました。

当時の新聞広告(1994年)

 さて、現在も丁度「宮沢賢治絵本原画展」を開催中です。ことに宮沢賢治が亡くなる2年前、まるでこれから生き抜く若者達への遺言のような作品『ポラーノの広場』(みやこしあきこ・画/ミキハウス)は、実に傑作です。また宮沢賢治描きの代表画家、高野玲子の『土神ときつね』(くもん出版)、『注文の多い料理店』(TBSブリタニカ)も見事です。

 宮沢賢治の魅力を存分に感じて頂ける原画展ですので、どうぞお越し下さい。

(絵本美術館 森のおうち 館長 酒井 倫子) 

「宮沢賢治絵本原画展」
2022年1月28日(金)~2022年4月12日(火)
【展示作品】
『ポラーノの広場』宮沢賢治/作 みやこしあきこ/絵 (ミキハウス)
『注文の多い料理店』宮沢賢治/作 高野玲子/画 (TBSブリタニカ)
『土神ときつね』宮沢賢治/作 高野玲子/絵 (くもん出版)

※同時展示「あべ弘士の動物カレンダー展」

絵本美術館&コテージ 森のおうち
開館時間●9:30~17:00(12月~2月16:30閉館、
最終入館は閉館30分前まで、最終日15:30閉館)
休館日●木曜(祝日振り替え、変更日あり・当館HPカレンダー参照)
入館料●大人800円 小・中学生500円 3歳以上250円 3歳未満無料
〒399-8301 長野県安曇野市穂高有明2215-9
TEL 0263-83-5670 FAX 0263-83-5885

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最後までお読みいただきありがとうございます。 当館“絵本美術館 森のおうち”は、「児童文化の世界を通じて多くの人々と心豊かに集いあい、交流しあい、未来に私たちの夢をつないでゆきたい」という願いで開館をしております。 これからも、どうぞよろしくおねがいいたします。