花は花に非ず

花のようでいて、花ではない

霧のようでいて、霧ではない

夜更けにやって来て、夜明けに去っていく

その人が来るときは、春の夢のように儚く

どれほどの時間だろうか

去りゆく時は朝雲に似て、探しようが無い

花非花　霧非霧
夜半来　天明去
来如春夢幾多時
去似朝雲無覓處

花にして　花に非あらず
霧にして　霧に非あらず
夜半に　来たりて　天明に　去る
来たること　春夢の如く　幾多の　時ぞ
去るは　朝雲に似て　覓もとむる　處ところ無し

坂本龍一さんの「A flower is not a flower」の曲名は、中国 唐の詩人・白居易の漢詩「花非花」から来ているそうだ。

その美しく気高い旋律を聴くたびに
あなたを想っていた。

なんという目をしているのだろう

あなたは

その瞳で何を見つめていたのか

今日という日を

暦こよみから消し去りたい

この世界で私たちは今も

枯れることのない涙を流し

あなたの夢を見つづけている

春馬くん

あなたの蒔いた種は

私たちに

歓びと、痛みを

喪失の中でさえ、癒しと救いを与え

私たちの心の中で

今もあなたは

色とりどりの花を咲かせています