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ドラマ「時効警察」&「帰ってきた時効警察」

冬季ドラマも次々と最終回を迎え、次のシーズンが始まるまでの、ぽっかりと空いてしまった時間を埋めてくれるのが、過去に放送された名作ドラマたちだ。
今Tverでは「時効警察」(2006年)が「帰ってきた時効警察」(2007年)との二本立てで全話一挙配信されている。
「時効警察」1〜5話 4/11、6〜最終話 4/18迄、「帰ってきた時効警察」4/4迄。(Tverの回し者ではありません)


「時効警察」はその名の通り、時効になった事件を趣味で捜査する、という設定からしてちょっとキテる。
ミステリーとしての謎解きも、思わぬ仕掛けがあったりして案外楽しませてくれる。
だけど毎回、犯人がわかっても時効が成立しているため逮捕はされない。
霧山は「誰にも言いませんよ」カードに自分の印鑑を押して犯人に渡すのみ。
何とも、すっとぼけた落ちなのだ。
(注:このドラマ放映後の2010年に時効は廃止されたが、それ以前に時効が成立した事件には適用されないらしい)

思わずクスッとするような小ネタが散りばめられ、時にまったくストーリーと関係のない不条理ギャグやら、意味不明で突飛な行動をするレギュラー陣、加えてシュールなストーリー展開は、今観ても十分笑える。
やっぱこれが「時効警察」だよなぁ、と久しぶりに観返しても見応えがあった。
日頃は10数年も前に観たドラマや映画は、ほとんど内容を覚えていない私だけど、「時効警察」「帰ってきた時効警察」は、けっこう覚えている回も多かった。
それだけ印象に残るストーリーとキャストだったのだろうと思う。

飄々としてつかみどころのないボケキャラと見せかけ、実は頭脳明晰でのちにFBIに出向となった霧山修一朗(オダギリジョーさん)と、妄想癖が強くちょっと不思議ちゃんで食い意地が張ってる三日月しずか(麻生久美子さん)は、くっつきそうでくっつかず、三日月は霧山に片思いしたまま12年ぶりの続編「時効警察はじめました」では何故かバツイチになっていた。
相変わらず霧山は、三日月に気があるのかないのかよく分からず、でもそれがこの二人のいいところなのかも。霧山と三日月の絡みは最高に息が合っていて、いつも面白い。

どことなく胡散臭く、何を考えてるのかさっぱり読めない熊本課長(岩松了さん)は、とつぜん霧山のアパートに押しかけ土足で部屋に上がり込み、トイレを借りただけで帰ったり、人を食ったようなトボけた岩松了さんの魅力が全開だった。
私は「時効警察」を観て岩松さんが好きになった。若松さんは劇作家・演出家としても活躍しており、「時効警察」でも数回監督・脚本も担当している。

ちょっと性別を超えちゃった面白さが溢れてる又来またらい(ふせえりさん)と、無表情でいつも冷静なサネイエ(江口のりこさんが若い!)は、ケンカしても気の合うコンビ。監督・脚本を担当している三木聡さんは、ふせえりさんの旦那様。
「帰ってきた時効警察」で配属になる新人 真加出まかで(小出早織さん)は、いつも紙袋を愛用し実は一番の変人なのかも。母親(ナイロン100℃の犬山イヌコさん)は娘に内緒で上京していて、何でも早めに出す定食屋・早め亭を密かに営んでいる。

刑事のたしなみとして常にトレンチコートを着用し、いつもどこかズレてる自信過剰でナルシストな刑事 十文字疾風じゅうもんじはやて(豊原功補さん)と同僚刑事 蜂須賀はちすか(緋田康人さん)のコンビが、潜入捜査のために、真っ黒に日焼けした顔に口髭、長髪マッシュルームヘアの変装はどう見ても70年代レトロ・サーファーにしか見えないし、ブレザーの学生服姿も、違和感あり過ぎで妙にウケた。
「怪しさも極まれば怪しくなくなるってことさ」「怪しまれないように怪しくする。霧山ムサン、ムサン!」持論を展開する十文字(笑)

霧山がポケットマネーで調査を頼む鑑識官の諸沢(光石研さん)は、いつも諸沢自身にしか面白さが分からない写真を見せてくるので、霧山も感想を述べるのに困っている。諸沢は徹夜で事件現場のミニチュア模型を作ったり、かなりマニアックな人。

とにかく総武警察の面々は癖者ぞろい。
よくぞ選んでくれた、と言いたくなるようなキャストで、全員濃い目。
そして、全員ちょっと狂気入ってる感じ。
それが「時効警察」(笑)
勤務中だっていうのにダラダラしながら、いっつもくだらない話をしてる、時効管理課の雰囲気にもなんだか和んでしまう。

印象に残っている回をあげると
「時効警察」3話(監督・脚本 岩松了)にゲスト出演した緒川たまきさんは、やっぱり独特の存在感。私は彼女が大好きだった。ブルガリアの薔薇を取り上げた旅行記の写真集は今でも持ってる(笑)
まるで舞台を見てるような雰囲気のお芝居とストーリーだった。
たまきさんが後にケラ(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)と結婚した時は、ビックリしたよなぁ。

特に思わずプッと吹いてしまった回をあげると、
「帰ってきた時効警察」4話(監督・脚本 ケラリーノ・サンドロヴィッチ)では、催眠術をかけられたせいで自分を歌手だと信じこんでいる三日月の、聴いてる方が洗脳されてしまいそうなクラクラする歌とか(笑)
♪ 頭はジャガイモ、茹でて食べろ、お尻はコンニャク、プリプリしてぇ食べろ、ダバダァダバダァ、ダバダァ♪
なんだか回を追うごとに、三日月の自由奔放でぶっ飛んだ振る舞いが、いっそう強化されていったような気がする(笑)

上に挙げた以外にも回ごとに沢山の監督や脚本家が参加していて、今確認してみたら今泉力哉さんや福田雄一さん、オダジョーの名前もあった。


2019年に、12年ぶりにキャストが再集結して「時効警察」が復活すると知った時は、よくぞ戻って来てくれた!と歓喜したけど、期待し過ぎたのか、「時効警察はじめました」の放送が始まってみると残念ながら私はそれほどハマれなかった。(個人の感想です)
どうしてだろう?と考えてみると、どうも以前のようなアングラな雰囲気とかシュールな感じが薄まってしまったように感じた。
それでも登場人物それぞれの12年後がわかったことは、感慨深かったけれど。


とにかく「時効警察」にかつてハマった人も、初めての人も、ぜひこの独特な世界を堪能していただきたい。


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