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『小説家になって億を稼ごう』風の時代だからこそ読みたい、新しい作家の指南書

今回は松岡圭祐さんの『小説家になって億を稼ごう』をご紹介します。


松岡さんは、言わずと知れた売れっ子小説家です。
『万能鑑定士Q』『高校事変』シリーズ、映像化された作品もたくさんあります。

この本は単なる指南書ではありません。

作家としての体験が余すところなく生かされ、ご自身が新人作家時代に困ったであろうことを、懇切丁寧に解説。

あたかも自分が売れっ子作家になったように錯覚し、追体験できるような、ワクワクする本でもありました。

誰もが稼げて、成功する小説家になるためのノウハウはもちろん満載なんですが、この本の真骨頂はむしろそこから!

編集者との付き合い方から、出版部数、印税の交渉などの細かなことまで。

懇切丁寧に、ある意味では赤裸々に書かれています。

さらには、原作の映像化の声がかかってから、実際に映画になるといくら貰えるのか。

原作者は映画製作にどれだけ関わっているのか
(実際は関わることはないようです。)

映画がヒットしたら果たして原作本は売れるのか。
逆に映画がコケたらどうなるのか。

読書家なら誰もが知りたくなるような、売れっ子小説家のリアルが余すところなく浮き彫りにされていきます。

興味本位で読み進めるも良し!
もちろん、本気の小説家志望の人は読んでおいて損はないどころか、プラスでしかないでしょう。

"小説の指南書にはよく「アイディア」「プロット」「ストーリー」という言葉が出てきます。起承転結の理論を前提に、ミステリーのどんでん返しを盛りこむなど、複雑で凝ったアイディアを考えださねばならないとされます。
しかしこの発想法は手垢がつきすぎています。
現代読者はよりイノセントで直情的です。
技巧にとらわれるよりも、多くの読者にアピールしうる、別の作り方を用いていきましょう。(p25)"


このように書かれているように、松岡さんの小説の書き方は、「今」の時代に合うかどうかという視点がいつもあるように感じます。

SNSや、ライトノベル、アニメなど、人々の興味関心が分散する中、現代の読み手がどのような小説を求めているのかは、一昔前と状況が変わってきています。

時代は情報化が進むにつれてどんどん変化していきますが、人が求める嗜好もそれに呼応するように変化していきます。

小説家や作家もコンテンツクリエーターとして、「風の時代を読む力」が求められているのでしょうか。

『想造』という松岡さんの、独創的な物語の組み立て方は必読です。

一部、ご紹介しますね。

物語をつくるために、最初準備するのは、あなたが好きな俳優を7人選び、顔写真をネットからダウンロードすることだと言います。

男女比は4対3。
男女のどちらをひとり多くするのは自由とのこと。

この俳優たちは、脳内で登場人物を演じるメインキャストになります。

さらに、全員に名前をつけていきます。

Word文書に画像を貼り付け、その下に登場人物名を書き出し、身長や体重、年齢、出身地、職業を設定。

1人1枚に収まるようにレイアウトして全てプリントアウトしたら、部屋のよく見える壁に貼る。

ここから、独特な『想造』の指南が始まります。
詳細は本著でお確かめ頂けたらと思います。

楽しく脳内の中で、物語を作っていく過程はとても楽しそうです!

誰にでも気軽に始められる手法が、他の本と違うところだと感じました。

「小説を書く」ってなんだか難しそうなイメージがありますよね?

この本に書かれている通りに順番にやっていくうちに、「物語の発想はもっと自由でいいんだ!」と思うようになると思います。

あまり体裁にとらわれず、自由な作風で小説を書くことを始めたい人にはうってつけの1冊です。

小説を書く上での注意すべき「お作法」も詳細に書かれていますので教科書のようにも使えるでしょう。

私もこの本は手元に置いて、何度でも読み返します。





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