星つきシェフじゃんけん大会の衰退

 星付きのシェフたちが会して、ジャンケンで星を奪い合うという闇の大会が、今年も新潟の市民センターで開催された。

 今回の大会で世界でただ一人の13星シェフが誕生し、一方で50人のシェフが星を失い泣きながら会場を後にした。

 大会は年々盛り上がりを欠いていく。やはり今回もその物議は再燃された。

 まず、この大会が一番盛り上がっていたバブル期に導入された代返制である。
 当シェフの代わりにジャンケンなど駆け引きに強い者が代理で出られる制度は、大会の質を良くも悪くも一遍させた。

 当初は盛り上がった。ただ、シェフとは到底呼べない、裸に鎖をたすき掛けしたような海のものとも山のものとも知れない者がやって来るようになる。

 また不特定多数に知られたことにより、賭けの対象にもされるようになった。


 さらに追い打ちをかけたのは、スマホの食べ歩きアプリの登場である。

 いくら星が多いことをアピールしても、実力が伴わないシェフは一般人から叩かれるようになる。
 一方で星を奪われたシェフの店は、隠れた名店という触れ込みで人気が出るようになる。


 そんな問題点を抱えての大会である。
 盛り上がるはずもない。
 今回13星をもらったシェフも、一時の人気は得るかも知れない。でも、あとは実力を試され続けられる。

 良くも悪くも、権威や声の大きな者が力を持つ時代は終わったのだと思う。

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