見出し画像

若者の飲み会離れはなぜ起きる?

こんばんは,もりおです。
 若者のアルコール離れが叫ばれて久しいですが,それに伴い社内コミュニケーションとしての「飲み会」離れも加速しているように思います。

 私が就職活動をしていた時も,合同説明会の質問コーナーなどで
・「飲み会はどれくらいの頻度でありますか?」という質問をする就活生
・「ウチは飲み会が少ない会社です!」というアピールをする企業
をよく見かけました。

 これらの事例はいずれも,「飲み会=できればやりたくないこと」という暗黙の前提に成り立っています。実際に,先述のセリフの「飲み会」を「残業」に置き換えてみても,何ら違和感はありません。
 かく言う私も,上司を含めたいわゆる「偉い人」を含んだ飲み会に進んで参加する方ではありません。

 しかし,昭和の企業社会で必須だった(そして一部の古き良き日本企業では今も必須の)飲み会が,なぜ若者から敬遠されることになったのでしょうか?

 今回は,若手の視点から
・飲み会の参加価値
・なぜ若者は飲み会に参加しなくなったのか?
を考えていきたいと思います。

飲み会参加のメリット・コスト

まず,飲み会の参加価値について考えます。

ある人が飲み会への参加を考えるとき,

参加により得られる利益 > 参加コスト

であれば自主的に参加する前提とします。

では,参加に伴う利益とコストとは具体的にどのようなものがあるでしょうか。

<参加により得られる利益>
飲み会=ヒト+情報+場所+モノ(料理)だと仮定すると…

①同期,先輩,上司と仲良くなることができる
②ためになる情報を得ることができる(業界事情,社内事情,仕事論など)
③プライベートではあまり行かない場所(八重洲や恵比寿など)を開拓できる
④経費でちょっと良い料理やお酒を味わうことができ,プライベートで使えるお店の選択肢が増える

以上より,
・仕事がより円滑に進むようになる(①・②)
・良質なお店を知ることができてプライベートでも活かせる(③・④)

というのが2大メリットとなりそうです。

では次に,参加コストについて考えてみます。

<参加にかかるコスト>
飲み会の参加コスト=費用+時間+精神+健康だと仮定すると…

①経費で落ちない場合は参加費が自腹負担となる
②1回の飲み会に参加することで2~3時間が消費される
③目上の人に気を遣ったり,絡まれたりする可能性がある
④メニューによっては健康へのダメージが大きい
⑤その他(セクハラ・アルハラの恐れなど)

といったところでしょうか。

 これらのコスト要因のどれを重視するのかは人それぞれと思いますが,下記の記事を見ると,飲み会に行きたくない理由として男性では「説教される(16%)」「酒を強要される(16%)」が,女性では「セクハラ(16.7%)」「絡まれる(19.4%)」がそれぞれツートップの要因として挙げられています。
上記要因の③・⑤を気にする人が多いようです。


なぜ若者は飲み会を避けるようになったのか?

 さて,ここまで飲み会への参加メリットとコストについてそれぞれ述べてきました。改めてメリットとコストを見てみると,ある感想が湧きます。

メリットもコストも,別に目新しいものではない

ということです。

そう,飲み会そのものの本質は昔も今も変わっていないのです。
 また,飲み会の本質が変わっていない以上,昔も飲み会を歓迎しない若手社員は一定数いたはずです。
 にも関わらず,もし「若者の飲み会への参加が昔に比べて少なくなっている」現象が起こっているとすれば,変わったのは若者を取り巻く環境の方であると考えられます。

私が考える環境変化は大きく二つあります。
 1つ目は,「飲み会に参加しない」という意思表示をしやすくなったこと。
近年,よほどオールドタイプの会社でなければ「最近の若い子はお酒飲めない子も増えてるらしいね」などと理解を示してくれるようになってきました。
 コンプライアンス遵守の意識が企業社会により浸透してきたことで,飲み会は(少なくとも建前上は)業務外の扱いとなり,「飲み会に参加しないなんて〜」などとはとても言えない環境になりつつあります。

 2つ目の環境変化は,「転職を意識する若者が多数派となり,企業内で深い人間関係を築くインセンティブが減少しつつある」こと。下記の記事の調査では,25~29歳の正社員として働く若者の約8割以上が「転職を考える」と回答しています。

 最近は終身雇用主義からの転換を想起させるニュースが色々と報じられており,私の学生時代の同期でも「新卒で入った今の会社で一生勤め上げる」と言っている人はほぼ皆無という状況です。

 昭和の企業社会では終身雇用が当たり前であり,一生を過ごすコミュニティの中での飲み会の誘いは,多少気が進まなくとも,断るという選択肢は事実上無かったのではないかと考えられます。

 しかし,その前提が崩れつつある現在,社内での過度な上司との付き合いに価値を感じる若者が減り,飲み会に行かないという意思表示がしやすくなってきていることもあり,若者の飲み会離れが加速している可能性があります。
 また,ハラスメントになることを恐れたり,実は飲み会の企画が面倒と感じる管理職層も同時に増加し,飲み会の開催頻度自体が低下してきているのではないかとも考えられます。

まとめ

 今回は飲み会の参加メリットとコストにそれぞれどんなものがあるのか,また若者の飲み会離れが叫ばれるようになった理由について考えてみました。
 不本意な飲み会への参加をしなくてよい時代になりつつあるのは,個人的には良いことだと思います。一方で,職場の人たちとの飲み会により得られるものも少なくないとも思うので,今後も少しでも価値を感じる飲み会には参加していきたいです。
 いずれ,コンサルの飲み会事情についても書けたらと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?