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あの子の日記 「さくらんぼナイト」

日本のどこかの、誰かの1日を切り取った短篇日記集

一日の疲労を背負ってアパートに戻る。ぼそりと呟いた「ただいま」はシャワーの音にかき消されてしまった。

メイクを落とす元気もなく、よろよろ歩いてベッドに倒れこみ、ぼふっと枕に顔をうずめる。

明日の仕事なんてブラックホールに吸い込まれてしまえばいいのに、と宇宙の謎より深いため息をついても、未来は何にも答えてくれない。

気をつけの姿勢のまま夢の世界に足を踏みいれると、シャンプーの香りがする湯気にのって、彼オリジナルの鼻歌がふわふわと運ばれてきた。

近づく足音と、耳元で聞こえるやさしい「おかえり」の声。

あたたかい体に冷えた腕を絡ませて、一日を終え、夜をはじめる。



朝と夜の連作です。朝はこちら「もも色サンデー

あたまのネジが何個か抜けちゃったので、ホームセンターで調達したいです。