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あの子の日記 「織姫様は別のひと」

日本のどこかの、誰かの1日を切り取った短篇日記集

商店街の屋根から聞こえる雨音が星屑みたいにきらめいている。居酒屋から出てきた顔の赤い人たちは、天井から吊り下げられた吹き流しに気づかないまま駅のほうへ歩いていく。

七夕を目前にして、日常に入り込んだ祭りの雰囲気は、まだこのまちに馴染めていないらしい。どこからか吹いた風は私の前髪をやさしく撫でて、さらさらと揺れる笹の葉の居場所を教えてくれた。

静かな通りにポツンと設置された小さな笹には、色とりどりの短冊がぶら下がっている。かわいらしい文字が並ぶなか、目に留まったのは見覚えのある字。左下にはなつかしい彼の名前と、見知らぬ女性の名前があった。元気な赤ちゃんが産まれますように、と願いが込められ、下のほうで遠慮がちに揺れている。

別に教えてくれなくて良かったのに、と星の見えない空を見上げると、暖かい雨がすうっと頬を伝った。



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あたまのネジが何個か抜けちゃったので、ホームセンターで調達したいです。