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あの子の日記 「内緒のマシュマロ」

日本のどこかの、誰かの1日を切り取った短篇日記集

電波に乗って届く君の声が、夢の中へ溶けていく。眠りにつく瞬間まで可愛いってことは、誰にも言わない僕だけの秘密。

「今日ね、お昼頃に会社の近く歩いてるの見かけたよ!車で横をぴゅんって通ったの気付いた?」

えっ、まじか。もしも時間を巻き戻せたら、一日中どんなときも車道を見て歩いていたい。

「もしかしてあのとき一緒にいたのっていつも話してた人?わあ!やっぱり!あの人がうわさの上司のおじちゃんかあ。一瞬だったけど確かに良い人そう」

そうそう。スキンヘッドで見た目はイカツイおっちゃん。なんだかんだ可愛がってもらってる。

「あっ、そういえばね、さっきテレビで言ってたんだけど、好きな人同士ってしぐさとか言葉とかがにてくるんだって。

うふふ。わたしさいきん『あーね』ってよく言ってるかも。

すきなひとの口ぐせ、うつっちゃたなあ。うれしいなあ」

眠たそうな声がふやけて広がって、僕の耳元で甘ったるく囁く。

「ん?ううん。まだべつに、ねむたくないよ。もうちょっとだけ、おはなししようよ」

あたまのネジが何個か抜けちゃったので、ホームセンターで調達したいです。