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読書記録40『ザ・万歩計』つべこべ言わずできることをやる

こんにちは、だるまです。前回のnoteで約束した通り、万城目学のエッセイを主役にした記事です。助演男優賞からの主演男優賞おめでとう!

森見登美彦と万城目学と

紹介する本は万城目学の『ザ・万歩計』です。

万城目学は『プリンセス・トヨトミ』『偉大なる、しゅららぼん』を読んだくらいで、エッセイは読んだことはなかったです。

それでも彼の存在感が大きいのは、森見登美彦と仲がよろしいから。
年始のはてなブログでは、森見登美彦が愛する「コウペンちゃん」に対し、「僕はペンギンなんだペン!」などという安易なキャラづけをしている大変愉快な方です。

ということで、エッセイも面白かろうと読むことにしました。

へー、そういう人なんだ

予想通り、面白い。

なにせ、最初のエッセイが童謡『やぎさんゆうびん』の恐ろしさについてです。心つかまれないわけがない。
やっぱりモリミーのお友達なだけあるなあ!と勝手な高評価。

読み進めるうちに、小中学生時代、大学生時代、就職、どう小説家になったかなど、万城目学について知ることができました。

小説家になるのは本当に大変で、このような路線をたどりながら、エッセイを発表するに至らなかった先人がたくさんいるんだろうと思います。

「遥かなるモンゴル」に救われた

だるまが痛烈にエッセイを読みたいと思うときは大体、疲れているときか悩みがあるときです。

今回は「働きたくないし(就活したくない)、勉強もできないし(院試受かるかわからない)、どうすんねん」というぐるぐるがありました。

お悩み解決目的ではなく笑いたいと思って、マキメ氏の本を手に取りました。

エッセイに意味を与えるのは読者だ

しかし、人は出逢うべくして本に出逢うのか。

「遥かなるモンゴル」というエッセイの中で、マキメ氏も大学時代同じ状況にいたのです。(大学生がかかる「無常病」らしいです)

内容は、就活をあきらめ留年したマキメ氏がモンゴルに数日間行って、こりゃ無理だとなる話です。

少しだけ古い時代の生活に戻り、私はようやく理解した。
非力な者も、病気がちの者も、動物を扱うことが苦手な者も、農作業が苦手な者も、個体間に現れる偏差を最小限に抑え、誰でもとりあえずはそこそこの生活水準を保ち、そこそこの余暇を得ることができるよう、我々のご祖先はせっせと現代の社会を構築してきたのだ。(中略)自分探しだ何だとうつつを抜かす私は、何というたわけ者か。

『ザ・万歩計』p.223

同時並行で、『暇と退屈の倫理学』を読み、COTEN RADIOで資本主義の歴史を聴いているため、色々思うところはあります。

が、だるまは今の社会にしか生きられない、少なくともモンゴルでは暮らせません。トナカイに乗って狩りできないし、お風呂に入れないのも厳しいです。

だったらちょっとは好きで続けられる勉強を文句言ってないでやろう、とわずかな灯が見えたのです。

多分元気な時には素通りしていた文章が、自分の状態が変わった途端意味を持ち始めます。
紙に印刷されたインクの染みは同じなのに、不思議。

ちょっと気持ちが軽くなった夜でした。

万城目学面白いペン!🐧

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