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読書記録35『金曜日の本』吉田篤弘 ただ自分の好きな本を読んで、それで本が好きになった。

こんにちは、だるまです。
『金曜日の本』と言うからには、金曜日に読み終えたくて24日金曜日の23時50分ごろに読了。下書きのまま放置していました。

吉田篤弘は、『なにごともなく、晴天。』で初めて出逢い今作が2冊目です。相変わらず装丁がすてき!

読書案内ではないですが、著者の読書遍歴や子供の頃の思い出がしんしんと書かれています。
本に関する話題が多いので、共感した部分を少し引用します。

図書館に行くときはいつもひとりだった。
本とつきあうときはひとりでいることが重要なのだと子供ながらに気づいていた。

p.14

本を買うということは、その本を「未来に読む」というひとつの約束のようなものを買うことだった。借りてきた本には期限がある。そうなると、そこにあるはずの「未来」が、あまりに短くてがっかりしてしまう。

p.69

本とのつきあいかたについて、本と時間の関係について、すっきりとした文章で記されています。
愛情があるのに、淡々とした言葉で綴られているのが好きです。

借りてきた本に付いてくる期限のおかげで、本を読めるという事実もあると思います。買った本はなかなか読みません。

あとがきは良い文章が雪崩をおこしていたので一部引用します。

何の情報も要らない。誰かが推薦しているとか、映画化されているとか、そんなことは知らない。知らないほうがいい。子供のころ、学校の図書室で本を選んでいたときの気分に戻りたい。あ、これを読みたい、と思った本を立ち読みし、面白そうだったら迷わず手に入れる。

p.114

本好きだというと、「面白い本ある?」と聞かれることが多いです。
それに対して、この文章を引用して答えたい気持ちになります。
もちろん、こんなことを言ったら友達がいなくなるかもしれないので、最近読んだ本をおすすめしていますが。

そして、そのあとの文章が素敵なのです。

そんなふうに、ただ自分の好きな本を読んで、それで本が好きになった。

p.114

そうなんです、吉田さん。まさにそうなのです。とヘドバン気味に頷きました。
本が好きになるとは、自分だけの好きな本を見つけることだから、他人からのおすすめを一応聞きつつ、開拓していくことが楽しい。

そう思っていたら3ページ後に同じようなことが書かれていました。
あまりに長い引用になってしまうのでちょっとだけ。

ずらりと居並ぶ本の中から、誰も気づいていないけれど、「じつは、これが」という一冊を見つけ出す。心意気は「宝探し」である。

p.117

本屋さんに行って、背表紙を睨みつけるように眺めて、目に留まった本を引っ張り出す。だんだん本に囲まれて酸欠になる。

その楽しみをきれいに言語化してあります。

また来年も、本を見つけ出すのが楽しみです。

かしこ

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