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『ロマンスカーでAR観光。好条件がそろった電車内ならでは』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.3.12
■ロマンスカーで楽しむ仮想世界 小田急が新たな体験ツアー
小田急電鉄は、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)などの先端技術「XR」と、ロマンスカーの展望車窓をかけ合わせたモニターツアーを初開催した。
MRゴーグルの4眼カメラ姿に見た目にギョッとしますが、結構アリだと思います。
ツアーガイドの案内に視覚情報を追加
ツアーは2月18、19、23日に開かれた。小田急線新宿駅で乗車した参加者は座席でVRゴーグルを装着。すると、車窓の景色にXR作品が投影。今回は日本遺産「大山詣(まい)り」をテーマにした約20分の映像を伊勢原駅到着までの間、楽しんだ。
これまでの添乗員付きの旅行では声のアナウンスで車窓に見えるランドマーク・史跡・名物などを説明していました。
マイクパフォーマンスがうまい添乗員さんは、ツアー参加者がどこを見ればいいか、何について説明しているのかを迷わさないトークスキルでガイドしますが、今回のAR技術と組み合わせると見てほしい部分を丸で囲んだり光らせたりして視覚的にマークを付けたり、CGを重ね合わせることで昔の姿を見せたりすることも可能になります。
百聞は一見に如かず。一目瞭然。
ARで実際に見せてあげれば誰にでも非常にわかりやすく、強いインパクトを与えられます。
電車内ならではのAR実現
今回は小田急電鉄がロマンスカーの車内でARツアー体験を提供しています。電車内で車窓の風景にAR情報を重ねるという組み合わせは、観光×ARを実現するのに現時点では最も適していると考えられます。
ARは何らかのマーカーを認識して表示位置を合わせる必要がありますが、現実世界の空間にマーカーを設置するのは困難です。
画像解析技術とGPSを使うなどして実物をARマーカー化することは可能だと思いますが、車窓からの風景も座席や時間経過で見える角度が変わってしまいます。
もっとも簡易な方法は、時間軸に合わせて表示を変えることです。
電車はトラブルがなければ発車から到着までかなり正確に同じ場所を通ります。この時間軸に合わせてAR表示する内容を変えてあげれば、イメージしている観光ARに近い表示が可能になるはずです。
時系列で動画を流すだけだと芸がないというかARっぽくはないので、時間軸を参考にその時にいるだろう場所にあるランドマークをARマーカーとして使うような応用はされているかもしれません。
また電車内に旅行客は着座しています。屋外で徒歩環境だとMRゴーグルをかぶったまま移動するのは危険ですが、着座前提であれば没入感の高い今回のようなゴーグル形状のデバイスを使えます。
デバイスの小型化でどこでも観光XR
メガネ型デバイスなどもう少し扱いやすいものが出てくれば、観光地のXRガイドを添乗員なしで実現しやすくなります。
道案内もできますし、現実世界での「検索」や「絞り込み」もできるようになります。
ロマンスカーという条件が整ったところから始まった観光×XR体験実験が、何年後かには当たり前になっている世界が来るかもしれません。VRやメタバースも注目されていますが、多くの人にとっては現実世界のARの方が理解しやすいでしょう。
デバイスの進化や通信環境の整備が必要という課題はVRもARも同じですが、ARの方が理解が早い分、より早く普及しやすそうな気がしています。その火付け役が今回のような観光領域、地方活性化のソリューションではないかと予想します。
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