『「to Earn」の終焉。次はRMT型NFTゲームがブームか?』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.9.25
■「遊びながら稼げる」NFTゲーム、開発スタジオの熱狂冷める?
自分自身もブロックチェーンゲームを開発している当事者なので、この記事で言わんとしていることのニュアンスや空気感はよくわかります。
でも「熱狂冷める」という感じではないんですよね。
Axie InfinityやSTEPNという先行事例を見て、熱狂的に「to Earn」やるぞ!となっていたHOTな時期は2022年4月頃にピークアウトして、STEPNのトークノミクス崩壊が露呈した5月ゴールデンウイーク以降はSTEPNの失敗した点を補正すれば行けるんじゃないか、という検討をどこの開発スタジオもやっていたはずです。
「冷めた」わけではなく、もっとうまくやる方法はないかを模索している最中だというのが、今のBCG業界の印象です。
ごく直近では「もっとうまくやる方法」の案が最近いくつか提示されてきており、ある程度同じベクトルを向いてきている印象です。
それは「ゲーム内アイテムを育てて売るRMT型NFTゲーム」の形式です。
■機械的に稼げる「to Earn」は確かに下火
独自トークンを用いて、決められたムーブをすることで稼げるタイプの「to Earn」は確かに下火です。
「お金が稼げる」という動機付けは強力でした。
STEPNでも「歩くだけで1日数千円、数万円稼げる」という状況の頃は全く運動習慣がなかった人も大量に参入しました。
単なるウォーキング+ポイ活アプリだったらここまで話題になっていなかったはずです。
「お金が稼げる」という動機付けそのものは効果的で、これは今でもマーケティング手法として間違っていないと思います。
しかし「稼げる」と謳ってしまうと、課金額を報酬が上回らなければ納得しないユーザーしか参加しません。
そこで最近では「X and Earn」=XがメインだけどEarnもできる、くらいのバランスを目指したり、そもそも「Earn」という言葉を使わなかったり、抽選や分配など「Earn」を限定的にする・運が良ければEarnできるというルール設定がトレンドになってきています。
■「Earn」と言わないタイプの例
100人バトロワ系ゲームに、見た目スキンをNFTで販売するスタイルのゲーム「GGGGG」をドリコム社が発表、事前登録を開始しました。
ブロックチェーンゲーム、NFTゲーム、GameFiと呼ばれてきたweb3×ゲームのフォーマットとはかなり異なります。
見た目や演出だけを司るスキンをNFTとして販売しますが、ゲームの戦力には無関係です。そしてゲームプレイで独自トークンをEarnできる設計ではありません。
「戦歴に応じてエフェクトが付与され見た目が変化する」というのが遠回しですがEarn要素です。ゲームをやり込み戦績を上げることでNFTの価値を高められるため、安くNFTを買い・ゲームで育て・OpenSeaで売る、といういわゆるゲームアイテムのNFT化によるRMT(Real Money Trade)売買形式で稼ぐモデルです。
戦力に関係ないスキンへの課金で運営できる(どころか運営は莫大に儲かる)ことを証明したフォートナイトを有するEpic GamesもNFTを使ったゲームを展開しています。
Blankos Block Partyでも独自トークンを稼ぐスタイルではありません。
こちらも先述の「GGGGG」と同じくゲーム内アイテムを育ててOpenSeaで売って稼ぐというスタイルです。
■リビングアセットNFT=育てて売るRMT型NFTゲームがブームの兆し
ご紹介した「GGGGG」「Blankos Block Party」いずれも「ゲーム内アイテムを育てて売るRMT型NFTゲーム」の体裁です。
元祖NFTゲームである「Crypto Kitties」がNFTをゲーム内で量産して売るゲームでした。
Axie InfinityはNFTの量産に加えて独自トークンを稼ぐFTゲームという要素を追加しました。GameFiの誕生です。
STEPNは「ゲーム」の部分を「歩く」に置き換え、生活の一部・ながら・ついでという遊び方でのGameFiに挑戦しました。これもFTゲームです。
NFTゲーム→FTゲームへと変化したものの、FTメインはうまく行かず、再びNFTゲームに戻ってきた格好です。
「NFTを育てて売る」のが最近のトレンドです。
独自トークンを発行するのは非常に難易度が高いですし、ゲームをやり込むことと別の脳みそを使う感じで相性が悪かったのも正直なところ。
RMT型NFTゲームはこれからしばらくブームが続くんじゃないかと予想しています。
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