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『radiko×web3で何ができるか?』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.8.19

■radiko×web3で何ができるか?

昨晩、radikoの青木社長はじめコアメンバーの方々にモリプトのweb3転職の壮行会を開いていただきました。

これまでもweb3やNFTとは何なのか、どう使えるのか、など勉強会としてradikoの皆さんに話したことはありました。昨晩はその続きのようなかたちで「radiko×web3で何ができるか?」を酒の肴話として盛り上がっていたのですが、酒の肴話だけにしておいてはもったいない!どんなアイディアをお話したのかを書き残しておこうと思います。

なお、実現には各放送局の皆さんのご理解や各種手続き段取りが不可欠です。酒の肴話がそのまま実現に向かうわけではなく、あくまでもアイディアに過ぎないことをご留意ください。


●リスナーの証。番組を聴いたことを証明するNFT/SBTの発行

「リスナー証明書NFT/SBT」が、この後にご説明するすべてのアイディアの中心軸にあります。これなくして他のアイディアは実現できないか効果が薄くなります。

ラジオ番組を聴いたことを聴取ログをもとに記録し、本当に聴いたということを証明するNFTを発行する、というものです。

最近では「証明書」は転売移転可能なNFTよりも移転不可能なSBT(Soulbound token)の方が適切だとも言われ始めています。

SBTについて詳しくはヒヨコロさんの記事をご覧ください。

radikoでは日本全国99局の民放局とNHK、放送大学の番組を聴くことができます。番組の数は1か月におよそ1万種類。全国ネットなど同じ番組を複数の放送局で聴ける重複を省いても5000種類の番組があります。

この中からよく聴く番組が見つかり、習慣定着し、ヘビーリスナーになっていきます。

Twitterでリスナー同士が番組ハッシュタグをつけたツイートで出会い、番組で投稿がよく読まれる人なんかもいて、同じ番組を聴いている人だなぁと親近感を持つということがよくあります。

ヘビーリスナーらしい人のTwitterのプロフィールを見に行くと、普段よく聴いている番組名が列挙されていることも多く、初回から1回も欠かさず聴いています、と書いている猛者も大勢います。

これ、radikoでいくつか機能提供した方が活性化すると思います。

・本当に番組を聴いたこと、毎回全部聴いたことをradiko公式が発行したNFTで証明できる。

・同じ番組を聴いている人、一定量以上聴いている人を証明書NFT所有者の中から「検索」できる。Twitterでは適切に検索できないうえツイートしない人は見つからない。

・証明書の一覧(後述のradikoマイページ)をTwitterのプロフィールからリンクを張っておけば、同じ番組のヘビーリスナーがほかに何を聴いているのかがわかる。趣味が合う可能性が高いので新しい番組への出会いになる。

リスナー個々人の工夫と努力、そしてTwitterの機能に任せるのではなく、ここにradikoの証明書(とその一覧)を足し算してあげることで、リスナー同士のつながりや番組の盛り上がりを加速させられるはずです。


●ファン軸でコンテンツを多様化。関連・派生音源にもリスナー証明書を発行

良くも悪くもradikoの特徴は「ラジオ番組として放送された音源」がネットで聴けることです。

ラジオらしさ、ラジオ業界公式的な安心感は確かに醸し出されます。
しかし「放送されていない音源」はradikoで基本的に聴けない、というのがデメリットというか、個人的にもったいないと思います。

ラジオクラウド、AuDee、Audiobook.jp、Spotify、Apple Podcast、Voicy、ラジオトーク、17Live!、最近ではTwitter Space。

ラジオ番組のアフタートークや関連音源、パーソナリティが独自にやっている音声活動が、radikoの外でかなり散在しています。

ラジオは全部radikoに集約!ということを考えているわけではありません。ただ番組やパーソナリティを軸に、関連する音源・動画・テレビ・ブログなどがつながっていれば、ファンとしては嬉しいと感じます。

radikoの番組やパーソナリティを軸に関連コンテンツがつながっていれば番組全体として盛り上がります。そしてその関連コンテンツでも「証明書NFT」を発行できれば、「番組本体だけじゃなく関連コンテンツも全部聴いてるんだ!」とドヤれます。

関連コンテンツを展開する環境はradiko外で独自で構わないので、radikoからリンクを張り、関連コンテンツでも共通仕様の証明書NFTが発行される(か、radiko側の証明書NFT発行の仕組みに乗せる)ことで、リスナーの濃度情報が充実します。

リスナー証明書の情報が多ければ、この後のマイページやListen to Earnでも活用できます。


●ファン同士のつながり。リスナー証明書つきradikoマイページの公開→My番組表の公開・交換

radiko上のラジオ番組や関連・派生コンテンツも含めてリスナー証明書が充実すれば、それを人に見せる仕組みが効果的になります。

radikoマイページで、これまで聴いた番組の一覧、中でもヘビーに聴いている番組ランキング、番組の関連コンテンツの一覧と消化確認、番組を延べ何分聴いたのか。

これを自分でも確認でき、人にも公開できる。検索で同じ番組を聴いているファンリスナーを見つけることもでき、フォローすることもできる。

今でもradikoに番組のオススメ機能はありますが、フォロワーからのオススメはより強力です。機械的にオススメされたものより人間関係の中でオススメされた方が聴く可能性が高いはず。

よく聴く番組は連続再生できるプレイリストにしましょう。
すなわちMy番組表。自分で編成するわけです。
この時に、関連コンテンツも含めて編成できると濃度が濃いファン激熱の番組表が作れます。

そしてプレイリスト自体を交換・共有できるようにする。

タイムフリー機能の制約上、一度再生を開始したら24時間で聴けなくなる弊害があるので、プレイリストの連続再生でうっかり再生開始してしまうと全部を聴ききれないことが起きる恐れがあります。

でも解決策はあるはずです。
たとえばお試し3分だけを連続再生して本当にフルで聴きたい時には承認操作をするだとか、全部フル尺に自動突入してもいい、と明示的に選べるだとか、追加費用を払えば1週間・24時間制限を一定程度延長できるだとか。


●証を掲げる。radikoマイページが証明書で充実している人には称号を授与

たくさん番組を聴いている。関連コンテンツも聴いている。フォロワーも多く、プレイリストもたくさん作って公開している。そのプレイリストも大勢に使われている。

そんなリスナーの鑑のような人には称号を与えましょう。
番組ごとの称号、radiko全体での称号など、貢献度に応じた称号をNFT化して授与し、radikoマイページに掲示できるようにします。

イベントやキャンペーン、デイリーミッションを提供し、達成者にも称号を授与しましょう。やってほしい行動を促す効果や、先着やランキングでの限定授与にすることで称号の価値がより高まるゲーミフィケーション要素も効果的なはずです。

この称号はPFP(Profile Picture)NFTとして出力でき、TwitterのNFTアイコンやInstagramでのNFT紹介投稿にも使えるようにすれば、radikoの外のSNSの世界でもラジオファンが可視化されます。


●ラジオを聴くと稼げる。Listen to Earn

ここまでの施策は、もともとラジオが好きな既存リスナーが主にターゲットになるものでした。

しかしラジオ業界全般の大きな課題はリスナーの母数全体が高齢化やコンテンツの多様化により減少していること。つまり新規リスナーを増やす施策が最も望まれます。

ラジオはいったん聴きはじめれば習慣化することは研究結果で明らかになっています。番組には力がある。

しかし最初の出会いのきっかけがない。

radikoのシェアラジオ機能で「アプリインストールや会員登録など不要で、SNS上でリンクを押せばすぐに音が流れる」ということは実現しました。

でもラジオを聴く習慣がない人にとって、1分も2分も聴かないと内容や面白さがわからない音声コンテンツのリンクを見せられてもまず押さないのが実態です。

もっと別の動機付けが必要。
ダイレクトで最も効果的だろう方法は「ラジオを聴いたら稼げる」というものです。いわゆる「Listen to Earn」。

ラジオを聴くだけでお金が稼げるなら聴く、という人は間違いなく大勢います。昔は聴いていたけど、という人も戻ってくるはずですし、まったく聴いたことがない人も聴き始めるはずです。

期待値は想像ですが、Listen to Earn開始1年以内にradiko上のリスナー数・ユーザー数を5割増しや2倍くらいは狙えるんじゃないかと思います。

無料でもポイ活程度は稼げるけれど、有料のラジオ受信機NFTを購入して聴けばもっと稼げる。radikoマイページで称号を充実させればもっと稼げる。という仕組みとセットで導入するとより効果的かつ収益化も両立できます。

つけっぱなしで聴いてもいないのに無限に稼ぐ不正が心配?
たとえばSTEPNのように、所有しているラジオ受信機NFTの枚数によってEarnできる時間の上限を設定するのはどうでしょう。無限には稼げませんし、稼ぎたければNFTの枚数を増やしたり、称号を充実させるなど本質的なラジオリスナーとしての活動をやる必要がある、ような仕掛けを導入することで不正の効果を薄めます。


しかし番組を愛情をもって作っている人の中には、お金で釣って聴かせるのはイヤだと本能的に拒否する人もいると思います。

その気持ちはよくわかります。
でも、先ほどのNHK文研の研究結果の通り、番組には力があります。お金が稼げるから聴くだけでなくキッカケづくりです。聴き始めれば、自分に本当に合う番組を選びます。相性のいいリスナー仲間とつながれる番組を選ぶ人もいるでしょう。

今のラジオ業界にとって新規リスナーを増やすこと、ラジオリスナーの分母を一気に増やすことは喫緊の課題です。番組の力、パーソナリティの力を信じましょう。


●番組とパーソナリティの力を信じる。Earnしたトークンで払えるサブスク型ラジオサロンなどでラジオ全体を好循環化

Listen to Earnで稼いだトークンを、法定通貨に換金したり街中の買い物で消費するのもよいでしょう。

しかし、稼いだトークンをラジオのため、番組のため、パーソナリティのために使いたいという愛情あふれるリスナーも数多くいます。

ラジオを聴き始め、そしてハマると、ラジオや番組に還元して盛り上げたいという気持ちが自然と湧いてきます。これも番組の力だと思います。

なのでEarnしたトークンの使い道として、番組を応援するアイテムを提供しましょう。

radikoエリアフリーの費用に充当できる、エリアフリー1か月券を人にプレゼントできる、というものから、番組グッズを購入する、番組の有料イベントのチケットを買える、番組単位のサブスク制オンラインサロンに毎月課金する原資としてトークンを使う。

ラジオを聴いてEarnしたら、それをラジオに戻す。
Earnキッカケで聴き始めた人も番組やパーソナリティの力でファンになり、ファンになればラジオ業界や番組の発展のために還元するサイクルが作れる。なぜなら番組やパーソナリティには力があるから。と考えています。


■青木社長、いかがですか?

このストーリーで新規リスナーが2倍になり既存リスナーがつながりを強固にしてより活性化、そしてradiko以外のプラットフォームで独自に展開されている番組関連コンテンツも活性化する未来がイメージできたら幸いです。

各局やステークホルダーの皆さんとの調整は非常に大変だと思いますし事情もよく存じています。でも何もしないこと、何も変化がないことこそがラジオ業界全体にとって最も大きな不正義だと思うのです。

今回は収益モデルの話は敢えて書いていません。各局や権利者の皆さんとの利害調整に直結する話だからです。

また、web3に引き付けて書いてはいますが、仕組みとしては別にブロックチェーン技術を使わなくても全部実現できます。しいて言うならNFTという共通規格でやった方がradiko以外のサービス側で独自に展開を検討しやすくなるメリットはありますし、radikoの中央集権化を避け分散型で進めることでコンセンサスを得やすくなるメリットはあるかもしれません。(ただ技術難易度が上がるので特に地方局にはradikoから機能提供した方が乗っかりやすいはずです。)

もしコッチの方向でやるとなればできる限りのお力添えをさせていただきたいと思います。またご一緒できれば嬉しい限りです。

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