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『続・NFT禁止を明言したマインクラフト。Epic Gamesとの対応の差』~【新しいWeb3ビジネスのアイディアのタネ】・Web3ニュース2022.7.23

■昨日の「マインクラフトNFT禁止」の続き

昨日の『NFT禁止を明言したマインクラフトとWeb3の精神的つながり』ではWeb3の思想性や指向性を軸に考えてみました。

マインクラフトがNFT禁止→Web3に否定的なのね。
ではなく、
NFTメタバースの方が資本家の利権構造をそのまま再現してしまいWeb3の思想性と相容れないのではないか?
NFTを希少性=不公平が発生する要素と捉え、自由と公平を重視するマインクラフトの判断の方が思想的にはWeb3っぽくないか?
という発想です。

これは頭の体操です。マインクラフトはそもそもWeb3的なサービスでは全くありません。ただ今あるNFTメタバースはさまざまな可能性を感じつつも「これでいいのかな?」と感じています。


■マインクラフト上でMODを使ってNFT対応させていたプロジェクトが急落

人気ゲーム「マインクラフト(Minecraft)」をプレイして、トークンを稼げるメタバースプロジェクト「NFT Worlds」について、MOD(変更・改造)などで関連する暗号資産(仮想通貨)やNFT(非代替性トークン)の市場価格が暴落している。

おそらくマインクラフトがNFT禁止を明言したのは、思想性の問題ではなくこの「NFT Worlds」のような勝手ビジネスを許さない、人のふんどしで相撲を取るな、ということが本音の理由だろうと思います。

多数のユーザーを抱え、充実した機能やシステムを持っているマインクラフトをプラットフォームと捉え、その中で独自のNFT/トークン経済圏を作って商売をするのは許さない。というのが本音だろうと。

『マインクラフト』利用の非公式NFTプロジェクト「Blockverse」で詐欺疑惑騒動もありました。何らかの声明を出してマインクラフト自体の信用をキープする必要性があったため、今回の「NFT禁止」の措置になったのだろうと思います。


NFT Worldsは、Polygon(MATIC)ネットワークを使用するメタバースプロジェクト。3Dボクセルで構成される10,000点のWorld(土地)NFTが存在し、それぞれのWorldに独自のコンテンツを構築できる。

マインクラフトにNFT Worldsのサーバーをダウンロードし、仮想通貨ウォレットアドレスを登録することで、ユーザーのゲームプレイに応じてネイティブトークン「WRLD」を獲得できる仕組み。WRLDトークンはNFT Worldsのゲーム内アセットの購入や他のトークンの交換に使用できる。

賢い仕組みだなとは思いますが、プラットフォーム内プラットフォームは今回のように「外的要因」で大ダメージを食らうリスクがあります。

ブロックチェーン上にdAppsを作るのも、チェーン自体の流行り廃りに影響されるしBTCの価格に全体が引っ張られるので、どこまでを「外的要因」と呼ぶかは難しい問題ですが、少なくとも私企業の1サービスの中でNFTプロジェクトをやるのはリスクが高そうです。


■Epic Gamesは「無干渉」を表明

Twitterにてこのトピックに言及したとあるユーザーが、Epic Gamesおよび同社CEO・Tim Sweeney氏に対してリプライ。NFTに対する見解を聞くとともに、「NFTを盛り込んだようなゲームを、Epic Gamesストアから締め出してほしい」との旨を伝えている。

というユーザーからの意見に対してEpic GamesのCEOは

「開発者らはどのようにゲームを作るのか、自由な決定権をもつべき」とコメント。また、ユーザーも遊ぶ作品を自由に選ぶ権利があるとしている。そして「ストアやOSメーカーなどはその見解を他者に押し付けるべきではない」とも口にしている。つまり、プラットフォーム側が、NFTの実装や利用を禁ずる措置を取るべきではないとの見解だ。

と応答しています。

プラットフォームであるEpic Gamesストアと、基本は単一のゲームである『マインクラフト』では、NFTへの対応も違ってくるだろう。

その通りだとは思いますが、マインクラフトもMODを通じたゲームプラットフォームに進化するポテンシャルはあります。ただし今のところEpic Gamesが持っていてマインクラフトにないのはアプリマーケットプレイスによる課金収益の仕組みです。

マインクラフト内にMODを使ってNFT化した土地を販売しても運営は1円も儲かりません。NFTプロジェクトが失敗すればマインクラフト自体の評判も下がる恐れがあります。

だからマインクラフトはNFTを禁止した。のかもしれません。
公式にNFT対応する道もあったと思うのですが。

Steamについては公式に「暗号通貨またはNFTの発行や交換を許可するブロックチェーン技術に基づいて構築されたアプリケーション」のSteam上での公開を禁じている。Epic GamesストアとSteamで、NFTに対する態度は対照的といえる。

課金の仕組みがあってもSteamのようにNFTやFTを禁止するところもあります。

とするとEpic GamesはNFT/FTをむしろ歓迎することで現在Steamが覇権を握るPCゲームマーケットプレイスを奪うためのポジショントーク、かもしれません。


■NFTの使い方に課題

でも結局のところ、ユーザーにとってNFTであることの必然性がないといけないと思うんですよね。NFTやFTを使わなくてもゲームを作り込めば土地だって売買できますし、RMTやれば現金化もできます。

NFTである必然性のある導入方法が見つかっていないことが根本的な課題なのだろうと思いますが、どんな使い方ならNFTである必然性が生まれそうか、はまた次回。

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