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『web3らしいプロモーターの在り方とは?』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.9.13

■日本人のWeb3作品はあまり注目を浴びていない現状

今回からスタートする連載では、2018年からブロックチェーンゲームなどWeb3事業を手掛けているMinto(旧クオン)代表の、水野和寛(みずのかずひろ)が業界のオピニオンリーダーを招き「Web3 × クリエイターの未来」をテーマとした対談をお届けする。

第1回のゲストは、日本初の3DアバターNFTプロジェクト「Metaani」などを展開しているBeyondConcept代表のmekezzo(メケゾー)さん。今年3月には、きゃりーぱみゅぱみゅとのコラボレーション・プロジェクトを発表。米カリフォルニアで開催された音楽フェス「コーチェラ2022」では、ステージに一緒に登場し話題を呼んだ。

海外イベントに多数登壇・参加されているMinto代表の水野さんとBeyondConceptのメケゾーさんが見た「日本のNFTプロジェクトがなぜ世界で注目されないのか?」の対談です。

日本人のWeb3作品はあまり注目を浴びていない現状もある。この夏開かれたイベントを振り返りながら、国内クリエイターの課題と成功のカギを考える。

最近集中して開催された世界中のweb3イベントに水野さん、メケゾーさんが参加して共通して感じた感覚や課題意識が対談を通じて語られています。

ざっくり「日本人の作品は注目されていないよね。」が一番の課題意識として挙げられています。これを突き詰めていくと別の問題がこれから起きる気がします。


■なぜ日本人の作品は目に留まらないのか?

mekezzo:(中略)日本のアーティストは「妖精」と評されるように、作品が人の目にとまらないんです。それは英語での交流を好まず自己PRが苦手な人が多いからで、良い作品でも気付いてもらえてないという課題を直に感じました。

水野:その課題はすごく分かります。NFTで作品を販売するためには、英語でのPR力や、作品を評価・宣伝してくれるコミニュティが必要です。しかし日本だと、その辺りをうまくできているアーティストはほとんどいないし、サポートする会社もまだ少ないですね。

これはよく言われることですね。
良い作品なのに英語でPRできない、英語圏の人脈がない、アーティストとPRの分業ができるかが成否を分ける、など。

つまり作品やサービス自体はいいのにPRがうまく行っていない。
これはプロモーションがいかに重要かを示しています。

海外向けマーケティングプロモーションを担うサービスや、マーケティング戦略から逆算してNFTプロジェクトの方向性にアドバイスをするサービスがこれからますます重要になるはずで、プロモーション支援する企業の需要が増え、これから日本でも増えそうだということを予感させます。


■アーティストとプロモーターの分業制は「諸悪の根源」ではなかったか?

でもこれってどこかで聞いたことがありますよね。

音楽業界などがそうです。
漫画業界、小説業界、映画業界など、クリエイターやアーティストとプロモーターが分業制になり、全体として〇〇業界という産業を形成しています。

アーティストがクリエイティブ活動に専念できるよう、そしてより大きく活躍できるよう、長年かけて周辺サービスが整ってきました。

しかしインターネットの登場によってアーティスト自身でプロモーション活動ができるようになり、宣伝メディアもテレビなどマスメディアからYouTubeやSNSなどに移行。CDなどフィジカルアイテムを店頭の棚割りを営業獲得し流通網に乗せる交渉もストリーミング配信で不要になりました。つまり「大人」の手を借りずに誰でも世界とつながれるようになったわけです。

プロモーターの力が強くなりすぎてアーティスト本人がやりたい方向性と乖離したり、中間マージンが多段階でたくさん発生することによってアーティスト本人にわたる収益が不当に感じるほど少なくなる搾取問題などが、インターネット技術で解消されるのではないかと期待されました。

しかしWeb2.0の時代にはあまり解消されませんでした。
プラットフォーマーが台頭したこと、プラットフォーマーは従来の「権利者という大人」たちと交渉することで配信サービスを充実させていったこともあり、大きな構造の変化は生まれませんでした。

web3、NFTのブームで改めて、Web2.0時代では実現できなかった「アーティスト活動の民主化」が叶うのではないかという期待が高まっています。

アーティストとファンが直接つながり、可能な限り中間搾取がなくなることを期待している人はとても多いのではないでしょうか。

でも今回の対談記事によるとやはり、プロモーションが大切であると。海外に英語でリーチできるプロモーター、それを専業サービスとして提供する企業が重要であると。

プロモーション活動を担う企業が重要だとしたら、これまでのWeb2.0までの課題をそのまま内包してしまう恐れはないのでしょうか。


■分業はもともと大事。web3らしい分業の仕方は見つかるか?

たしかに中間搾取と言われても仕方がないものや、現代の技術進化によって不要になった中間パートもたくさんあると思います。

またアーティスト自身もプロモーターを介さずに直接SNSなどに登場しファンと直接交流するシーンも増えてきてパワーバランスも変わってきています。

旧態依然な構造は少しずつ改善されてきています。

それでも、アーティストがクリエイティブ活動に専念しグローバルで認知されるためにはプロモーション活動の分業はweb3時代でも必要だし重要だということが再認識されてきた、ということです。

だとして今まで通りのの構造をそのまま維持するのはweb3らしくありません。

web3らしい新しい構造は「アーティストとファンが直接つながり、ファンが集まるコミュニティがプロモーションの母体となる。アーティストの経済的成功がファンの直接的な収益にもなる関係。」なのだろうと思います。

プロモーターの力が絶対的で、ファンはプロモーターやアーティストにお金を払う側に位置付けられる一方的な関係性だったのがこれまで。

web3以降では、アーティストを中心にコミュニティが形成され、収益がアーティスト・プロモーター・ファンに可視化された状態で案分される。

こういう構造改革が望まれるのだろうと思います。

web3プロダクト、NFTプロジェクトのグローバルプロモーションの重要性やニーズから、営利サービスとして参入する企業はこれから増えるはずです。しかしこれをWeb2.0以前・昭和以前から続く構造で提供されるとおそらく時代に淘汰されます。

web3らしいプロモーションサービス、その成功例や失敗例がこれからたくさん現れ研鑽されていくのだろうと思います。

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