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『アバターワークが本格化。ローソンの実証実験』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.9.23

■ローソン、コンビニでアバター接客を導入 人手不足や深夜の就労対策

9月22日、コンビニ大手の株式会社ローソンはアバター事業を手掛けるAVITA株式会社と、協業を発表しました。
両社は、人手不足や深夜の就労対策としてアバターを活用。時間、場所、年齢、性別、身体的ハンディキャップなどに制約されない新たな働き方や、リアル店舗でのアバター接客の実現を目指す、とのことです。同時にアバターワーカーの一般募集もスタートしています。

ローソンがアバター店員を導入です。

はじめは挨拶など簡単な応答から始めていき、適性や熟練度に応じてお客様からの様々なお問い合わせへの応答も行って頂きます。

コンビニの業務は多岐にわたります。レジ周りの仕事、品出し、清掃などフィジカルに体を動かす必要がある業務が中心ですが、今回のアバターワークの導入にあたっては「接客・お問い合わせ対応」に重点を置いています。

ローソンという非常になじみ深い企業・店舗がアバターワークを導入したことから、新しい形態のリモートワークの普及のきっかけになるかもしれません。

またその先にはメタバースワークとの融合や暗号資産普及のきっかけにもなると予想しています。

詳しく見ていきましょう。


■少人数で複数拠点の対応を行い人材配置の最適化

今回ローソンで導入されるアバター接客ソリューションはAVITA社のAVACOMです。

モニターに映し出されたアバターと、来店したお客さんが対話することで接客やお問い合わせ対応を行います。

また、一つのアバターの操作が十分できるようになった後には、同一店内の複数のアバター、又は複数のローソン店舗に設置されたアバターを同時に担当頂くことを想定しています。

アバター用モニターがお店に設置されていさえすれば、働く人は複数個所に対応することができます。

コンビニ1店舗ではお問い合わせがそれほど多くなくても、複数店舗であれば暇にならずに業務化できるかもしれません。

AVITAのサイトにも「少人数で複数拠点の対応を行い人材配置の最適化」を売りとして謳っています。働き手不足が問題になっている業界にとって、1人のスタッフが複数の店舗をリモート対応できる需要はどんどん高まっていくはずです。


■将来は世界中が勤務地に

勤務地
東京(株式会社ローソン本社又は別途ローソンが指定する場所)又は大阪(国際障碍者交流センター又は別途ローソンが指定する場所)
※通勤費支給。
※将来的にはオペレーター用機器や通信環境、セキュリティ環境などの条件が整っている方についてはご自宅やシェアオフィス等からリモートワークして頂くことも検討中です。

今回のローソンの取り組みでは、ローソン本社などに出社・出勤したうえでリモートワークを行うところからスタートします。

そのため東京や大阪に通える人が採用対象となります。

しかし将来的には自宅などからのリモートワークを実現しようとしています。もしそれが叶えば、東京の店舗に沖縄からもブラジルからも出勤できるようになります。

賃金は雇う店舗の所在地で決まりますから、最低賃金が低い地方にいながら賃金の高い東京・大阪の報酬が得られるのは魅力的です。

また、海外からの出勤が可能になれば、時差を利用して夜勤の時間帯を海外人材に置き換えることもできるかもしれません。

日本の店舗に外国人が海外から働く、という日本の人手不足の解消の方向だけではなく、日本人が日本国内からアメリカの店舗で働くということも可能になります。

空前の物価高によってアメリカの賃金レベルがものすごく高騰していますし、円安ドル高だということもあり、アメリカの賃金レベル&ドル建てで報酬がもらえれば日本で働くよりずっと割がよくなります。アメリカの店舗としても割安に海外(日本)の労働力を調達できますのでwin-winです。


■報酬が暗号資産なら支払いが瞬時で確実

海外の店舗に勤務し報酬をもらう際、送金は案外大変です。米ドルなどメジャーな通貨なら手数料は高いものの受け取ることはほぼできると思いますが、よりマイナーな通貨や途上国での勤務では本当に入金されるのかが不安になるかもしれません。

暗号資産で報酬を受け取るなら、支払いも瞬時で確実です。
XRPなどガス代がほぼかからない通貨もあります。

支払いがスマートコントラクトで実行されるようになれば安心感はより高まります。


■来店客がリアル店舗、店員がメタバースの組み合わせにも

ローソン店舗に設置されたアバターを、勤務地からパソコンで遠隔操作して接客・販売促進等の業務を行って頂きます(パソコンの画面を見ながら身振り手振りと会話でお客様とコミュニケーションをとって頂きます)。

今回のアバター店員はパソコンをコントローラーとして使うだけで、メタバース内で働くというわけではありません。

またお客さんが来店するのも現実世界のフィジカルな店舗です。

つまりメタバースとは無関係なのですが、この実験がうまくいけばメタバース内でお客さんと店員が会う形態の接客はもちろんできますし、場合によっては来店客が実店舗、店員がメタバース、という組み合わせも可能になるかもしれません。

店内にカメラをたくさん設置して映像的に接続、バーチャル店員はメタバース内のデジタルツイン店舗を歩き回れるようにすることで、「この商品はどこにありますか?まだ在庫ありますか?」の質問に「ちょっと見てきます」ができるようになります。

接客の幅が広がれば導入可能な店舗が広がり、一層アバターワークが広まることになるでしょう。


■アバターワークのコンサルティングも流行りそう

リモートワークに対応させるためにワークフローの見直しを行った企業も数多くあります。やってみると案外リモートワークで大丈夫だとわかるケースも多かったと思います。

今回のローソンの事例も「ローソン店舗におけるアバター活用実証実験の一環として」と位置付けていますので、今後アバターワークの上手な導入方法や課題などが研究されていき洗練されていくはずです。

そうなってくると、DXコンサルのひとつとして、スタッフをバーチャル化する指南が流行りそうな予感がします。業務フローの見直しだけでなくAVACOMのような設備の導入や実店舗のデジタルツイン化も含めたアバターワークによる業務効率化、ヒューマンリソースの最適化などもひっくるめたコンサルティングがブームになるでしょう。

アバターワークやメタバースワークにおもちゃっぽいイメージを持たれている方はまだまだ多いと思いますが、人材調達・最適化・グローバルワークの一環として考えるとこれから5年~10年くらいで本格的な導入期を迎えるはずです。

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