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読書録 「坂本廣子の台所育児 一歳から包丁を」(前置き編)

 我が家の3歳男児は、キッチンのカウンターに卵が置いてあるのを見つければ、「たまご、割るぅ〜〜!」と急いで飛んできて、私が米びつから米をすくう小さな音を聞きつければ「〇〇(名前)ちゃん、やりたかったぁぁ〜〜〜」と天を仰いで大泣きします。

 キッチンに立ちたがるので、かれこれ2,3ヶ月くらい前から一緒に夕食を作るようになりました。(でも、まだオムツは取れない大きい赤ちゃん…)

 
  私はもともと「ごはんは自動的にできあがって食卓に並んでいるもの」と思って欲しくないな〜と思っていました。
 どうしてこう思うようになったのか、それは子どもの頃の体験に遡ります。私は3人兄弟の中で唯一の”女”で、私だけお手伝いをしていました。弟2人はその間テレビを見たり、寝ていたりするのです。料理するのはまだ良くても、しんどくてつまんないのが後片付け。家族8人分の食器を洗って、布巾で拭いて、食卓を台拭きで拭いて、台所の床を箒で掃く。最後に翌日分のご飯を研いで予約セットして終わり。部活から帰ってきてクタクタの身体には当時ほんとにしんどかった…!(笑)どうして私だけがお手伝いしないといけないのか、溜まっていた怒りが爆発し「なんで弟2人にはさせないのか!」母だったか祖母だったかに問い詰めたことがありました。そうしたら「弟たちは男の子なんだから、あなたは女の子でしょ」と。私の実家は田舎でまだまだ昔の常識が残ります。その言葉を聞いて、頭にはきたけれど、なんだか意気消沈して諦めてしまいました。
 息子には食事を作るのも片付けるのも、生活と切り離して欲しくないなと思っています。

 前置きがだいぶ長くなりましたが、料理関連の育児本ないかな〜と探していた時に出会ったのがこの本です。なんと1990年発行です。

 このような冒頭で始まります。
 『いまどきの子ども、なんだか変?こんぶもいりこもわからない、トリ肌チキン、ギョロ目の魚は気持ち悪いと食べられない。卵は割れない、はし使いもへた。野菜ギライの海藻ニガ手、スナック菓子大好は大好きで、口達者の手不精がいっぱい。お母さんがどんなに疲れていても「早くごはん作ってよ」。そして、いっぱい食べ残しても「もったいないがわからない。』
 すべてのお子さんがこうだとは思いません。が、自分が食べるものは何からできているのか、くらいは知っておいてほしいと親になってみて思います。

 この本は、料理研究家で著者の坂本さんが『自分の子どもが大人の入り口に立つようになって初めて、我が家の育児って台所育児だったんだなと見えてきました』『それも、親が必死になって口で言うより、台所で食べ物と面と向き合う経験を子どもがすることで自然に理解してくれると気がつきました。食べることは生きること。経験から得る自信がずいぶんと力をつけてくれます。そしてそれが、一見関係ないような将来の自立につながってくるのです』と気が付いたことを書いてくれています。

 長くなってしまったので、次の投稿で印象に残った文章&私が台所育児をおすすめするメモをピックアップしたいと思います。


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