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働くことの意味
「日本でいちばん大切にしたい会社5」という本を読みました。
本書はシリーズもので、お金が全てと考えるのではなく、会社に関わる全ての人(取引先や社員やその家族も含む)の幸せを考えて頑張っている会社が紹介されています。
その中の一つとして、北海道赤平市でリネンサプライ業を営んでいる「北海道光生舎」が紹介されています。
創業者の方は20歳になる前に事故で右目と両腕を失ったにもかかわらず、逆境にめげることなく、地域の障がい者の人たちが働ける場を作ろうとして会社を立ち上げられました。
今では北海道中で事業を展開されており、400名以上の障がい者の方々が働いておられます。
その中で以下のような話が紹介されています。
ある親子がこの「北海道光生舎」にやってきて、息子さんがそこで働くようになった時のお話です。
~~~(以下、引用)~~~
ここでは、いままで福祉の対象として援助を受けるばかりだった障がい者の方々が自ら働き、わずかながらもそれに応じた税金を納めています。健常者にとっては当たり前の納税という行為も、障がいをもつ方々には大きな自信と誇りになります。
こんな話があります。
ある時、1人の障がい者が両親につれられてやってきました。この両親は北海道中の施設を見て回った結果、北海道光生舎が一番いいと思った、ということで、息子を預けていったのです。
半年後、帰省した息子を見て、両親は腰を抜かさんばかりにびっくりします。
それまで、知的障がいを持つ息子は、両親の言うこともなかなか聞かず、扱いに困ることもあったそうです。ところが光生舎の施設で暮らし、工場で働くようになってから戻ってきた息子は、体もしまって精悍になっているし、目もキラキラしているのです。
いままで自分たちが知っていた息子とはまるで別人でした。いったいどんな訓練をしたのかと、驚いた母親が工場に訪ねてきました。
工場の中に入ると、母親は働いているパートの人たちや従業員に、ぺこぺこと頭を下げて回りました。息子が迷惑をかけているに違いないと思ったからです。
「もうしわけありません。うちの息子がいつも邪魔をしていると思いますが、本当によろしくお願いします」
するとパートの女性たちは、きょとんとした顔をしてこう言います。
「お母さん、何を言っているんですか。息子さんはすごくよく働いてくれるので、私たちは助かっているんですよ。世話になっているのは私たちのほうなんだから、謝って歩くことなんてないですよ!」
母親は雷に打たれたようになりました。そして事務所に戻ってから、おいおいと泣いて涙が止まりませんでした。
「私は息子が一生、人さまの世話になって生きていくのだと思っていました。一生人に迷惑をかける存在だと思っていたのです。まさかこうやって働いて、他の人から助かるとか、人の役に立っていると感謝されるような人間になるとは。まるで夢を見ているようです」
そう言ってお母さんは、うれし泣きで顔をくしゃくしゃにしながら、帰っていったそうです。
~~~(引用 終わり)~~~
もしこの親子のことを「可哀想だ」と思って、働ける機会ではなく、国や誰かがお金を援助していたとしたら、どうなっていたでしょうか。
親子の心は、決して救われなかっただろうと思います。
人の心は「生まれてきて良かった」「生きてきて良かった」と心の底から思えてこそ救われます。
そして人は誰かのお役に立ってこそ、「生まれてきて良かった」と思えるものです。
これは、私たち皆の心に通じる話ではないでしょうか。
引きこもりの問題や生活保護、ベーシックインカムについて考える時も、同じことが言えるように思います。
お金を配るだけでは、人の心は救われない。
そのように感じます。
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