児孫の為に美田を買わず
西郷隆盛が残した言葉の一つに、「児孫の為に美田を買わず」というものがあります。
この言葉の解釈としては、主に以下の2つがあります。
1.子供を堕落させてしまう恐れがあるから、財産を残してはいけない。
2.子供に財産を残そうとして私利私欲に走るようでは、志を遂げることはできない。志を果たすためにはすべてのものを犠牲にする覚悟を持て。
しかし最近、以下のような意味もあると耳にしました。
3.子供のために財産を残すと、子供が自分自身の力で働き、それでもって誰かのためのお役に立つという「子供自身の幸せ」を奪うことになる。
「1」と違い、「3」にはただ厳しく躾けるのではなく、子供自身の力を信じる思い、そして子供自身の人生を尊重するような思いが感じられます。
親は子の幸せを願うもの。
だから普通は、子供になるべく多くの財産を残し、子供が将来安心して暮らせるようにと考えてしまうものです。
でもそれが、子供の幸せを奪ってしまうかもしれない。
西郷さんはきっと、人間の本質を見抜いていたのではないでしょうか。
人は自分が何のお役にも立っていなければ、たとえお金に困ることなく暮らせていたとしても、深く苦しんでしまうことがあります。
そうした時、自分のしたことが誰かに喜んでもらえると、「お役に立たせてくれて、ありがとう」という感謝の思いが湧いてくるもの。
そうして生きる活力が湧いてくる。喜んで動いてしまう。
人はそのように作られています。
だから子供に財産を残すことは、子供が自ら働いて、子供自身が築いたものでもって誰かのお役に立つという「喜び」を奪ってしまう可能性がある。
そのように考えたからこその、西郷さんの言葉だったように思います。
児孫の為に美田を買わず。
幸せとは何かを考えさせられる言葉です。
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