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毎晩演奏を聴いて癒やされている

全国的に、外出自粛中

Stay Home

そんな中、ジャズピアニスト小曽根真さんが、自宅のリビングルームから、毎晩ピアノ演奏のライブ配信を続けられている。

いつも21:00〜1時間程度

回を重ねる毎に、マイクの音質が良くなり、部屋の中や外の庭木のライティングが施され、バージョンアップしているのだが、基本的にはiPhone1台による配信というシンプルな構成に拘っていることが、よりライブ感が増し、身近に感じられる気がしている。

演奏とともに、チャットのタイムラインに視聴者のたくさんの声が届き、そのどれもが愛と感謝に満ち溢れていて、こういう人たちと一緒にこの時間を共有できていることに幸せを感じる。

また、そのタイムラインから、妻の三鈴さんがリクエスト曲を読み上げ、それに応えて演奏をするという、リアルタイムでの展開が素晴らしい。

そして、やはり小曽根さんの演奏である。

彼の演奏は、元々好きで、アルバムも何枚か持ってるし、ライブにも行ったこともある(大阪で、ブランフォード・マルサリスとジェフ・テイン・ワッツがゲストで来てた時の演奏は、とてつもなく良かった!)。

なので、彼の演奏にはある程度の安心感と期待感を抱きながら毎晩聴いているのだが、あらためてヘッドフォンから流れてくる音に耳を傾けると、バイタリティのある音楽性と、卓越したリズムとハーモニーの感覚に感動しまくりなのである。

また、それぞれの曲にまつわるエピソードを語ってくれて、その話を聞きながら、演奏を聴いていると、より深い鑑賞体験となる。

彼の言葉にも演奏にも、音楽や人々への愛とリスペクトがあり、誠実な表現となっているのが伝わってくるので、こんなに多くの人と幸せな時間を共有できるんだろうなと思っている。

彼はいつも最初に、医療従事者の方々と、我々のライフラインをつないでくれている人たちに向けて、穏やかに感謝のことばを述べて演奏を始める。

リスナーの中には医療関係者の方もいて、「毎晩演奏を聴いて癒やされている」といったコメントもタイムライン上で多く見られる。

震災などの災害時にも感じられたが、こんな苦しい状況では、芸術や文化的なものは、どちらかというと「不要不急なもの」と捉えられがちである。しかし毎晩、小曽根さんの演奏を聴いていると、実際に自分も癒やされているし、確実に救われている人がいる。その状況を目の当たりにして、やはり人が生きていく上で、芸術の力って必要なんだな、という確信を持つことができた。

先日、朝のテレビ番組で、平田オリザさんが出てて、まず大事なのは命だけど、命の次に大事なものは人によって違う。芸術によって救われる人もいるし、スポーツによって救われる人もいる。それを他人にとやかく言われる筋合いはないし、むしろ想像力を働かせて守るべきだ。というようなことを言われていた。

そんな姿勢で、芸術や文化の力の必要性について声を上げていくことは、とても大事だなと思う今日この頃。

気がつけば、小曽根さんの演奏も今日で4月9日から始めて16日連続となっている(休みなし!)。また明日もね、と言って今日の配信も終わった。

これから世の中の状況がどうなっていくのか見えないし、どのような態度を取るのが正解なのかもわかりにくいが、自分の持っている力と、好奇心とユーモアのセンスをもって、この不条理な世界をより良いものにしていこうとする気力は逞しくキープしておきたいね。

自分にもやれることはあるし、やるべきことがあるはずなのだ。

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