森野オオカミ

週1ペースで詩を書きます。Twitterでは万年筆を使ったペン画を描いてます。28歳ま…

森野オオカミ

週1ペースで詩を書きます。Twitterでは万年筆を使ったペン画を描いてます。28歳までに個展開くぞ!

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no.2『蝉』

夏の思い出に 蝉の声は響かない 確かに聴こえていたはずなのに まるで初めからそこにいなかったように 体験だけが ありありと私の夏を象っている 汗で張り付いたシャツが…

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no.1『小さな宇宙』

私の二の腕を這うように あなたの柔らかい黒髪がさわさわと音を立てている 瞼の蓋をトルコ石のような涙で飾って ずっと私 見ていられる あるときは文字を あるときは身体…

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no.2『蝉』

no.2『蝉』

夏の思い出に
蝉の声は響かない

確かに聴こえていたはずなのに
まるで初めからそこにいなかったように
体験だけが
ありありと私の夏を象っている

汗で張り付いたシャツが
くくった髪とその内側に篭る熱が
頬張った製氷機のカルキ臭い氷が
夏を私のものにしてくれる

蝉は何をしていたんだろう

そこかしこから聴こえる彼らの声も
煩いから、邪魔だから
私は思い出の中で
知らないふりをしているのかもしれない

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no.1『小さな宇宙』

no.1『小さな宇宙』

私の二の腕を這うように
あなたの柔らかい黒髪がさわさわと音を立てている

瞼の蓋をトルコ石のような涙で飾って
ずっと私
見ていられる

あるときは文字を
あるときは身体を
あるときは影を
あるときは空を

重ねて、混ぜて、結い上げながら
これからどうしようかなんて私たち
心の臓でケラケラ笑った

心地よい部屋の温度をなぞりながら
私は私でいることを手放して
私があなたの声になる
あなたの指も溶けて

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