見出し画像

【読書感想】食べること、料理することーー坂口恭平著『cook』を読んで

坂口恭平著 晶文社 2018年出版

 私が坂口恭平の本を読み始めたのは、昨年からなのであるが、彼の著書に興味を持っていろいろ検索していたら、この料理本は異色だと思い、図書館で借りて読んだ。

 うつ病から回復するために料理を始める。その料理の写真と、手書きの簡単なレシピと、最後には料理についてのエッセイが収録されてる本。料理本というより、料理の記録を撮ったエッセイ。料理関係の本としては珍しいタイプで、最後の食についてのエッセイはかなり良かった。

 食べること、料理することについてが哲学的に述べられていて、ただ単に料理をすること自体の話にとどまらず、病気療法的なものも書かれているような気がして、よいな、と思った。うつ病患者が多い昨今、実際うつの人がこういうたぐいの本を書くことはあんまりないので、とてもいろんな人の助けになると思った。なにかを習慣にすると、よいことはいっぱいあって、特に料理や掃除のように毎日やらなければならないことは、気持ちよくやった方が良い。

 料理の写真を見ていたら、なんとなく規則性があるように感じて、どういう料理を作る人なんだろう、と思って眺めていたら、途中から、色合いが足りないといって、トマトを切ったものが添えられてて、良い感じだと思った。TwitterとかインスタとかSNSで料理の写真をみると、なんか写真を撮る人の食に対する考え方のようなものが伝わってくるような気がする。自分で作った料理にせよ、外食にせよ。特に、自分で作った料理を写真で撮ると、おいしそうなのか、まずそうなのか、私は考えてしまう。やはり、色味は重要で、まずそうと思う写真は、だいたい、カレーを作るとき、最初にじゃがいもとにんじんと玉ねぎを入れて、炒めて水を入れたポトフのなりかけみたいな色をしている。たぶん、たりないのは肉の塊だと思う。が、それは色味に関係にないにせよ、なんか物理的に野菜のかたちが崩れた印象だ。そして、写真的にも、湯気が出ててぼやけた感じがして、味もぼんやりしている印象だ。キャベツとパスタ系でも同じことが起こり得る。日本のベーコンを入れても、色がぼんやりしていて、こういうときは、欧米のベーコンをカリカリに焼いたやつなんじゃないかと思う。坂口恭平のこの本では、ナポリタン作り方がとても良かったので、母に伝えた。が私の母は、すぐレシピを忘れる。

 最後の活字になった料理についての文章はすごく良かった。私も、料理についてなにか文章を書いてみたいと思っていたが、こんな感じでいいのではないかと、今回のnoteで発見したのでした。


この記事が参加している募集

#読書感想文

188,615件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?