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ダメ息子の介護ーーモブ・ノリオ著『介護入門』を読んで
モブ・ノリオ著 文藝春秋 2004年出版
芥川賞受賞した時をよく覚えていて、ずっと頭の中に引っかかってたんだけど、読む機会がなく、最近、読んだ本にこの本面白い、と取り上げられてたのが建て続けて二回くらいあったから、図書館で借りてみた。
文章が、ラップみたい。ニガとか、簡単なスラングが混ざっている。でも、介護しているおばあちゃんに対しての愛情は目に見えて、とても美しい。語り手の男性のおばあちゃんに対する思いは、胸を熱くした。ダメ息子が愛するおばあちゃんというものに、とてもいとおしさを感じた。
芥川賞とって、あんなに売れてたから、横浜市立の図書館いっぱいこの本もってるんじゃないかな、と思ってたけど、中央図書館に文庫本が一冊しかなくて、なんでだろうと思ったんだけど、最後のあとがきみてたら、この作者の始め使った、使ってはいけない差別用語を盛り込むかどうかでいろいろもめたらしい。解説は井筒康隆だったが、もっともらしい解説で、とても爽快だった。
この作家はとてもいい感じだな、と思ったけど、この作品のあとに何も活動がみられないので、今どうしてるんだろ、と思った。モブ・ノリオさんの今を知りたい。
使ってはいけない言語を巡っての議論はとても多いが、私の意見としては小説の中にもりこむのに、差別的言語ってどういうことなんだろう、とちょっと疑問に思う。現在、社会的に差別用語とされているもの、といっても、小説の設定とか情況とか人物像とか作品性とかいろんなことを考えると、かつて使われていた言語で、現在差別用語と認定されている言語ってなんなんだろう、と思ってしまう。
もしこのことで、作家が創作意欲を失ってしまったら、なんともったいないことだろうと思う。出版社が悪いように思う。
こういう作家の社会的立ち場みたいなもんは、誰が考えるんだろうね。
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