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ロシアとウズベキスタンーー高山なおみの旅行記二冊を読んで

 『帰ってきた日々ごはん』のシリーズを黙々と読んでいたら、途中で、ロシア日記とウズベキスタン日記を出版したと書かれていたので、二冊借りて読んでみた。

 『ロシア日記』高山なおみ著 新潮社 2016年出版

 この本は新潮社から出版されていた。アノニマ・スタジオという出版社から出てる「日々ごはんシリーズ」違っていて、付録のレシピはついていなかったが、なかなか素敵な旅行記だった。高山なおみの本、って出版社が友人関係っぽいけど、なんかそういうの関係あるんだろうか。

 ロシアの料理の話がなかなか物珍しくて、どんな料理何だろうと想いを馳せた。さすが高山なおみさんで、料理の表現はとてもうまくて、どれも食べてみたい料理ばっかりだった。

 例えば、印象的だったのは、「船の売店で買ったカモシカ印のポケット瓶のウォッカは、香草入りではちみつ色をしている」とか、「レバーご飯の入ったピロシキ・ス・ピーチンニューは玉ねぎとレバーを炒めてから、ミンチにして、ご飯に混ぜる」とか、興味深かった。

 高山なおみは、武田百合子の『犬が星見た』という旅行記のことが書いてあったが、その本の影響からロシアを旅行することになったらしい。私は、母が若いとき、ヨーロッパ旅行を友達としたとき、シベリア鉄道に乗って、ロシアを通っていったという話を聞いて、そのヨーロッパに行くまでのロシアが不思議な国のような気がしていた。美術に興味がわき始めた学生時代は、エルミタージュ美術館に行ってみたいな、という野望を抱えていたが、この本を読んで、やはり、ロシアは一度は行ってみたい国だと思った。

 『ウズベキスタン日記』高山なおみ著 新潮社 2016年出版

 あまり記録のない場所の話だったので、興味深く読んだ日記だった。ロシアと近いが、肌が浅黒い人たちの話が印象的で、ロシアのワンピースとかが出てきて、いいな、と思った。町なみの光景がなんだか、今まで読んだことない国のような雰囲気が漂っていて、不思議だった。そして、料理の話も、割と珍しいものが多く、食べてみたいと思えるものが多かった。ロシア日記の時も感じたが、地元の一般の人が食べている料理は、やはりレシピ本や日本にあるレストランだけでは、伝わらない。そういう地元の家庭料理に触れてみたいと思う旅行は難しそうだが、その土地に行ってみなくては分からないことなので、とても意味のあることだと思った。

 ただ、高山なおみが地元の付き添いの案内してくれる人に対して、ちょっと批判的な態度を示すところがちょっとやだな、と思った。文化の違いもあるし、日本人のような金銭感覚じゃないのかもしれないし、ちょっと旅行に来た人を、いわゆる規格通りの旅行コースじゃないものに付き添うのは、結構大変なことだと思う。高山なおみは、多国籍料理をする料理家だが、そういう理解はないんだろうか、とちょっと疑問に思った。

 この二冊の旅行記は、旅行記として割りと貴重だと思った。いろんな人に読んでもらいたい。


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