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【読書感想】日本にあるカレー屋さんーー小林真樹著『日本の中のインド亜大陸食紀行』を読んで
小林真樹著 阿佐ヶ谷書院 2019年出版
なんかの料理本読んでたら、この本を紹介している人がいて、料理関係の本で読める本をいろいろ読んでみたかったから、図書館で借りた。
この本の著者は、有限会社アジアハンターというインド系食器を売っている会社を経営しているらしく、日本全国のインド系料理の店を網羅している人らしい。読んでいて、こんな地方の地味なカレー屋をなぜ知っている、と思った。とにかくマニアックの極みで、ほんとに好きすぎて、インド系の料理のことは全部調査した、といったところ。もともと著者は若いころ、インドに旅行した経験があるらしく、その時のインドが忘れられず、日本にいてもインドっぽいもの恋しさから、こういった本を執筆することになったらしい。その、きっかけがよくあるあるだね、と現在40歳の私は思う。同級生で、バックパッカー旅行でインドに行って、魅了された人はすごく多い。そういう私もヨーロッパをバックパッカーで一人旅したが、行く人は最終的にはインドを目指していた。あれよね、「ススメ電波少年」が流行っていた世代で、猿岩石とかの影響は大きいように思う。
インド亜大陸のことを良く知らない私としては、カレーといったらインドじゃないの?というほどまで単純じゃないが、子どもの頃にバングラディッシュ人のお客さんを家に招いて、バングラディッシュ料理は全部カレー味やねん、という話を聞いたことが印象に残っているが、この本でも、インド、ネパール、パキスタン、バングラディッシュ各地の味がどのように日本でカレー屋さんとなって提供されているかが書かれている。
もともとは銀座とかで高級なインドレストランがインド料理を提供していたらしいが、中古車のディーラーなどで働くために日本の地方に来たインド人たちが、カレー屋さんを気軽に始めたとこらへんから、カレー屋さんが日本全国に増えたらしい。
私がこの本を読んでいて思ったのは、料理って、すごく宗教と繋がっているんだな、ということ。イスラム教とかヒンドゥー教とかいろいろあるが、その辺はこの本に詳しくは書かれていないが、日本にいるこの大陸系の人々は、自分たちのコミュニティーを作って、お祈りをするためにみんなで集まってその場で食べ物が振舞われたりするのだが、どうも、この本の著者はそういうとこにこぎつけて、料理を食べさせてもらっているみたい。そこらへん、宗教を超えて食べ物に興味があるだけで、よくもぐりこめたな、と単純に私は思ってしまった。この本の著者が宗教にどんな感覚があるのかは、私は知らないが。
外国におけるハラルフードの話など書かれていたが、現代は外国人の居住者増えたし、ハラルフードの認知も広がったが、日本におけるハラルフードを手に入れることのの大変さなどは、日本在住歴が長いインド人などが語っているのが書かれていて、こういうこと、あんまり活字にされることないと思うから、この本結構貴重だな、と思った。
とにかく、私はこの本を読んで、宗教と料理のつながりをすごく考えた。インド亜大陸食ってそこらへんは切り離せない関係なんだな、と確信したが、そんな込み入った話はなしに、インド料理が好きで、ただ楽しみたい、という人が、新しい境地を見つけることができる本ではある。インドでも南インドと北インドで料理が違うように、料理のちょっとした違いから、その国の地方の違いなどを感じるのも良いのかもしれない。
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