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半導体おじさんの独り言 ~第3話:営業のきもち、マーケティングのきもち~

Morgenrotで最年長のYです。私は、ほんの偶然でAMDという米国の半導体会社に入社して以来、気が付いたらかれこれ40年も半導体市場に関わることになってしまいました。外資企業の日本法人という立場で沢山の貴重な経験をさせてもらいましたが、その経験のほとんどが営業とマーケティングです。日本法人には業務、経理、人事など他の部門もありますが、今回は営業とマーケティングの立場の違いに焦点を当ててお話をしたいと思います。

簡易的に、ここで言う「営業」とは顧客に責任を持つセールス部門、「マーケティング」とは製品に責任を持つ開発を含む製品部門と考えてください。その立場は共通する部分と背反する部分が混在していて、その二つの部門がうまく機能しないと会社運営はうまくいきません。
営業が求めるのは「顧客が欲しがる商品をタイムリーに提供すること」で、マーケティングが求めるのは「自社の技術を駆使した製品・サービスを欲しがる顧客をできるだけ多く見つけること」です。両者が目指す共通目的は結果的に会社の売り上げ/利益を最大化することで、営業とマーケティングはお互いに補完的な立場にあるわけです。こう言ってしまうと、いかにも単純な構図のように見えますが、実際のビジネスではこの二つの思惑がうまくマッチしないことが多いのが現実です。
営業が見ているのは担当顧客で、その仕事は顧客に自社製品・サービスの価値を理解してもらい、購入へと導くことです。マーケティングが見ているのはその顧客の総体である市場で、その仕事は市場での需要をいち早く察してそれを取り込んだ商品(製品・サービス)を準備することです。営業が顧客への売込みがしやすくなるようなツールを揃えたり、需要喚起のための宣伝活動などをしながら営業支援を行います。
ここで重要なのは営業とマーケティングの間で、顧客・市場のニーズが商品にきちんと反映されるような「フィードバック・ループ」の好循環が成り立っていることです。それがうまくいっていないと、営業は「マーケティングは市場ニーズを満たさない商品を無理やり売ってこい、と言ってばかりいる」、と感じ、マーケティングは「優れた商品なのに営業はその価値を十分説明できていないし、見当違いな顧客に当たっている」、という対立関係に陥ることになります。営業とマーケティングは会社運営のエンジンのようなものなので、何といってもお互いの立場を尊重した上で感じていることを自由に話し合える信頼関係が必須となります。

我々が活動するIT業界では新たな技術を駆使した今までにないような商品がある日突然登場することがあります。17年前に登場したiPhoneを考えたAppleのスティーブ・ジョブズは「ユーザーは実は何が欲しいかを全く解かっていない。我々が優れた技術を駆使した斬新な商品を出せば自然と売れる」、と豪語したそうです。類いまれな天才だったジョブズらしい言葉ですが、実際にはジョブズ自身もiPhone発表までには実に多くの失敗作があり、何度も試行錯誤を経験した末にヒットしたのがiPhoneだったのです。

さて、優れモノのM:Arthurを提供するMorgenrotにはジョブズのような天才はいませんが、現在ITの最先端を走っているAI市場できらりと光る技術を駆使した商品を市場に広めようと個性豊かな営業、マーケティング、技術開発の人たちがわちゃわちゃと毎日やっています。そんなチームに興味がある方は是非我々のサイトを覗いてみてください。
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