押野素子

翻訳家。黒人の文化/歴史に関する書籍を主に訳しています。ワシントンDC在住。 http…

押野素子

翻訳家。黒人の文化/歴史に関する書籍を主に訳しています。ワシントンDC在住。 https://www.motokooshino.com/

最近の記事

評伝モハメド・アリ 訳者による各章まとめ(第6章~10章)

第6章 「俺は若くて怖いものなし」(7ページ) 高校の最高学年になったクレイ。元クラスメイトの初々しいロマンスと、オリンピック選考大会での優勝、紆余曲折を経た末の高校卒業についてが記されている。 この章と呼応する社会情勢として、ノースカロライナ州グリーンズボロで始まった黒人学生の座り込み(シットイン)(1960年2月)と、学生非暴力調整委員会(SNCC)の設立(1960年4月)が登場します。バスでの人種差別撤廃を求めるフリーダム・ライドなど、公民権を求める抗議運動に数多く関

    • 『評伝モハメド・アリ』訳者による各章まとめ(まえがき~第5章)

      今年(2022年)9月、個人的に思い入れの強い1冊『評伝モハメド・アリ(原題 ALI: A LIFE)』が刊行されました。かなり年季の入ったBBAの私ですら、アリの現役時代の記憶はなく、その影響力を思い知ったのはアメリカに来てからですので、一部のボクシング・ファンを除けば、日本にいる皆さんも、「名前は知っていて凄い人だとは知っている」レヴェルで終わっているのではないでしょうか?  でも、それってすっごくもったいない! こんなにも逸話の多い人物って、後にも先にもいないと思いま

      • ジャネール・モネイのSF短編集『THE MEMORY LIBRARIAN AND OTHER STORIES OF DIRTY COMPUTER』(翻訳者による一筆書きの読書感想文)

        書名:THE MEMORY LIBRARIAN AND OTHER STORIES OF DIRTY COMPUTER 著者:Janelle Monae(ジャネール・モネイ)他 出版社:HARPER Voyager(2022年4月19日) ページ数:321ページ 2010年にワシントンDCのDARコンスティテューション・ホールで観て以来、ジャネール・モネイの大ファンです。エリカ・バドゥとN.E.R.D.の前座として登場した彼女の何に度肝を抜かれたって、その歌唱力と持久力…

        • 『翻訳者の仕事部屋』(翻訳者による一筆書きの読書感想文)

          書名:翻訳者の仕事部屋 著者:深町眞理子 出版社:飛鳥新社刊(1999年12月3日) ページ数:334ページ 昼間は勤め人、夜は翻訳者という二足の草鞋生活を送っている自分にとって、翻訳の仕事だけで生計を立てている翻訳家さんは尊敬の対象です。第一線で活躍する方々が多数講演した翻訳業界のイヴェント(←いつものことながら、何だったかは忘却のfar away…)で、安達眞弓さんが紹介していたのがこの本。「クィア・アイ」のジョナサンの自伝や海外ミステリなど、話題作を数多く翻訳されてい

        評伝モハメド・アリ 訳者による各章まとめ(第6章~10章)

        • 『評伝モハメド・アリ』訳者による各章まとめ(まえがき~第5章)

        • ジャネール・モネイのSF短編集『THE MEMORY LIBRARIAN AND OTHER STORIES OF DIRTY COMPUTER』(翻訳者による一筆書きの読書感想文)

        • 『翻訳者の仕事部屋』(翻訳者による一筆書きの読書感想文)

          『アフロフューチャリズム ブラック・カルチャーと未来の想像力』著者インタヴュー

          本日2022年8月26日、『アフロフューチャリズム ブラック・カルチャーと未来の想像力』がフィルム・アート社から出版されました~(パフパフパフパフゥ~~)!! 共通の友人がいることもあり、著者のイターシャ・L・ウォマックさんに話を聞くことができました。訳者あとがきにも彼女の発言を引用しましたが、せっかくなのでここに残りの会話も載せておこうとおもいます(情報は共有するためにある!)。編集もない長い文章になってしまいますが、アフロフューチャリズム、ブラック・カルチャーについて興

          『アフロフューチャリズム ブラック・カルチャーと未来の想像力』著者インタヴュー

          ラヴ・トレインは進むよ、どこまでも(鈍行だけど)――オージェイズ、グラディス・ナイト、エル・デバージ ライヴ・レポート

          今年(8月23日現在)読んだなかで、個人的にいちばんハマったのが、ディーシャ・フィルヨーの『The Secret Lives of Church Ladies』(2020年刊)という短編集。このなかに収録されている「When Eddie Levert Comes」(年老いた母親を介護しているのに、家族でもっとも軽んじられている娘を描いた 傑作)でエディ・リヴァートを久々に思い出し、「オージェイズ、まだコンサートしてんのかな……」と調べてみたところ…… あっ! ラスト・ツアー

          ラヴ・トレインは進むよ、どこまでも(鈍行だけど)――オージェイズ、グラディス・ナイト、エル・デバージ ライヴ・レポート

          翻訳者による一筆書きの読書感想文

          ミッション:主にアメリカの黒人文学を紹介して、ブラック・カルチャーの豊かさを1人でも多くの人に知ってもらう! ゴール:黒人作家の翻訳作品でヒットを出す! 黒人作家のアンソロジーを編纂/翻訳する! まずは自己紹介 こんにちは~! ワシントンDC在住の翻訳者、押野素子です! 翻訳者と名乗ってはいても、なんせメインでやっている作品がマニアックなものばかりなので(ベストセラー待ってるよ!♪←魂の叫び)、昼間は特許事務員(小室さんのおかげでホットワードになった、パラリーガルってや

          翻訳者による一筆書きの読書感想文