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母と分かりあえない苦しみ。季節のない街#2「親おもい」

母とは、わかり合えないと悟った日。
それは、私にとって、とても切ない瞬間だった。

ドラマ「季節のない街」の第2話「親おもい」を見て、
そんなことを思い出した。

12年前の災害“ナニ”で父を失いながら、母や幼い妹弟を支えて暮らす青年、与田タツヤ(仲野太賀)。

そんなタツヤと家族の元にヤクザものの兄・シンゴ(YOUNG DAIS)が帰ってくる。

タツヤにとってシンゴは困った時だけ金を無心しにくる疫病神だが、母・しのぶ(坂井真紀)はシンゴを溺愛し、いつでもありったけのお金を渡してしまうのだった。

ここ数年、コツコツ貯金をして、今度こそ仮設での生活を家族で抜け出そうとしていたタツヤは、どうにか兄を追い返そうとするが…。

季節のない街#2「親おもい」


僕にも歳の近い弟がいる。
小さい頃、弟の方が母に甘え上手で、僕は甘えられなかった。

長じるにつけやんちゃが目立つ弟は、中学時代にヤンキーになり不登校になり、警察沙汰にもなった。
それでも、手はかかるが心優しい弟の方が好きなんだろうと思ってた。

僕は、小賢しく、勉強ばかりしていて、家のことは鑑みない、長男だった。
早く家を出たいとさえ思っていた。

そんな中学の頃、母とは、絶対分かり合えんのやなあ…
っていう決定的な出来事があった。

そのことは、一度、ゲシュタルトでワークしたかもしれない。
母にとっては覚えてないことだろうけど、
僕にとって、顔がタツヤになった瞬間だった。

その日は、夜、田舎の同じ部落の幼馴染たちが、波止場に集まっていた。
田舎の中学生と、夏の虫は、夜になると明るい電気のそばに集まる。
それが唯一、港の波止場だった。

弟や何人かの子らは、たばこを吸っていた。
僕は、部活をしていたので、たばこを吸わなかったが、代わりにライターを持っていた。
小さなピストルの形をしたシルバーのずしっと思いライター。

タバコを吸わない代わりに、それを持つことで、仲間入りしていたのだ。

しばらくして母が誰から聞いたのか、心配して探しに来た。
見つかった僕は、珍しく激しい口調で怒られた。
普段は怒らない優しい母だったのでよく覚えている。

母「たばこ、吸ったとね?」
僕「吸っとらん。このライターで火ば着けよっただけたい。」
母「なんで、そげんかとば持っとーとねっ!」
母「たばこ吸わんなら、いらんめーもんっ!」

といったようなやり取りがあった。
たばこを吸っている弟は、常習犯なので怒られもせず。
ライターを持っている僕だけが、怒って引っ張って連れて帰られた。

母は、僕がライターを持っている理由も聞く耳持たずで。
何も話せなかった。なんで怒られるのかもわからなかった。

それから僕は大学から家を出て、就職して上京した。

東京で、いろんな人に出会って、ゲシュタルトに出会って。
たとえ母に分かってもらえなくても、分かってくれる人ができた。
聞こうとしてくれる人がいることは幸せだ。

心の余裕ができた今は、
母の気持ちもなんとなくわかるようになった。

タツヤにも、鍋をつつく仲間がいるし(今はそれが希望)
きっとわかってくれる人に出会えるだろう。
母に全投資しなくてもいいんだよ。

※TVerで4/20くらいまで見れるようです。


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