母と分かりあえない苦しみ。季節のない街#2「親おもい」
母とは、わかり合えないと悟った日。
それは、私にとって、とても切ない瞬間だった。
ドラマ「季節のない街」の第2話「親おもい」を見て、
そんなことを思い出した。
僕にも歳の近い弟がいる。
小さい頃、弟の方が母に甘え上手で、僕は甘えられなかった。
長じるにつけやんちゃが目立つ弟は、中学時代にヤンキーになり不登校になり、警察沙汰にもなった。
それでも、手はかかるが心優しい弟の方が好きなんだろうと思ってた。
僕は、小賢しく、勉強ばかりしていて、家のことは鑑みない、長男だった。
早く家を出たいとさえ思っていた。
そんな中学の頃、母とは、絶対分かり合えんのやなあ…
っていう決定的な出来事があった。
そのことは、一度、ゲシュタルトでワークしたかもしれない。
母にとっては覚えてないことだろうけど、
僕にとって、顔がタツヤになった瞬間だった。
その日は、夜、田舎の同じ部落の幼馴染たちが、波止場に集まっていた。
田舎の中学生と、夏の虫は、夜になると明るい電気のそばに集まる。
それが唯一、港の波止場だった。
弟や何人かの子らは、たばこを吸っていた。
僕は、部活をしていたので、たばこを吸わなかったが、代わりにライターを持っていた。
小さなピストルの形をしたシルバーのずしっと思いライター。
タバコを吸わない代わりに、それを持つことで、仲間入りしていたのだ。
しばらくして母が誰から聞いたのか、心配して探しに来た。
見つかった僕は、珍しく激しい口調で怒られた。
普段は怒らない優しい母だったのでよく覚えている。
母「たばこ、吸ったとね?」
僕「吸っとらん。このライターで火ば着けよっただけたい。」
母「なんで、そげんかとば持っとーとねっ!」
母「たばこ吸わんなら、いらんめーもんっ!」
といったようなやり取りがあった。
たばこを吸っている弟は、常習犯なので怒られもせず。
ライターを持っている僕だけが、怒って引っ張って連れて帰られた。
母は、僕がライターを持っている理由も聞く耳持たずで。
何も話せなかった。なんで怒られるのかもわからなかった。
それから僕は大学から家を出て、就職して上京した。
東京で、いろんな人に出会って、ゲシュタルトに出会って。
たとえ母に分かってもらえなくても、分かってくれる人ができた。
聞こうとしてくれる人がいることは幸せだ。
心の余裕ができた今は、
母の気持ちもなんとなくわかるようになった。
タツヤにも、鍋をつつく仲間がいるし(今はそれが希望)
きっとわかってくれる人に出会えるだろう。
母に全投資しなくてもいいんだよ。
※TVerで4/20くらいまで見れるようです。
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