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退院して6ヶ月経って思うこと

こんにちは、もーこです。
秋葉原にある株式会社MoWorksというWebデザイン会社の社長をしています。

昨年末に「成人スティル(スチル)病」という膠原病(こうげんびょう)の一種である難病と診断され現在治療を行っています。
早いもので仕事復帰をしてから6ヶ月以上が経ちました。
実はこの記事を書き始めた時点では5ヶ月半程だったのですが7月も半ばとなり6ヶ月半経ってしまいました。つまり半年以上が過ぎたということなります。

前回の記事では退院から3ヶ月半経った時のことを書きましたが、その後さらに身体の状態や働くことに対するメンタルの変化がありました。
今回も現在の身体の状態や実践している働き方、働くことに対して考えていることを書いていきます。

退院して3ヶ月半の記事はこちら

発病してから病名が確定するまでの記事はこちら

現在の治療と身体の状態

ステロイドを服用し始めてから6ヶ月に

治療については引き続き「ステロイド」を服用し経過観察を続けています。
前回の記事では20mgで不調が出たことを書きましたが現在それらの症状は落ち着いています。

ステロイド量はこの記事を書いている時点で12mgまで減らすことができました。

下記は20mgの時と比べて感じている変化です。

  • 食欲が戻り、ご飯が食べられるようになった

  • ウォーキング(1.5キロ程度)した時に前ほど疲れなくなった

  • ステロイド糖尿が緩和された

  • 自分の身体だという感覚が戻ってきた

ご飯が食べられるようになり体力が戻ってきた

4月(ステロイド20mg)の時点では少しの食事量でお腹いっぱいになったり、ゆっくり食べないと気持ちが悪くなることが2、3週間ほど続いていました。
5月(ステロイド18mg)に入ってからはそれがほとんど無くなり、食べたいものが食べられるようになりました。※お陰で体重は増加気味です

2、3日おきに行っているウォーキングも3000歩から5000歩程度に距離を伸ばすことができるようになりました。
歩き続けると膝がだるくなり休憩を挟まないと辛かったのですが、それも少なくなったと感じています。

特に嬉しかったのは糖尿病を表す数値「HbA1c」の良化です。
20mg〜18mgまでは7.0ほどあり副作用のひとつである「ステロイド糖尿病」と診断されてしまいました。
ですが14mgに減り再び検査を行ったところ6.4に下がり、まだ正常値では無いものの減薬とともに数値が良くなってきたことに安心しています。

自分の身体であるという感覚が戻ってきたこと

こちらは伝えるのが難しいのですが、ステロイドを飲み始めてから「自分の身体が自分のものではない」という感覚がずっとありました。
今もまだ感じているのですが、例えば長距離を歩いて疲れて身体が怠くなってしまった時などに自分の身体なのに自分ではコントロールできないような違和感があるのです。

日常生活の中でも階段の登り下りの時などでふと感じたりします。
油断しているとふらついてしまうような不安感があり、しっかり自分の身体に意識を向けていないと転んでしまうような感覚です。
なかなか人に伝えるのが難しいため、説明する時は「ステロイドによって身体を作り替えられた」という表現をしていました。
その違和感も12mgの現在では減ってきています。
特に膝から足(主に下半身)が違和感が強かったのですが今はそれがだいぶ薄れています。
自分の身体をちゃんと自分の意思で動かせる(コントロール出来ている)と感じます。
これはもう感覚的なことなので完全に私自身の見解ですが、入院時に落ちた体力や筋力が戻ってきたことで身体を動かした時の違和感が無くなったのではないかと推察しています。

20mg以下からステロイドの減らし方が小刻みに

ここで私の治療方針についても書いておきます。
現在もステロイドの錠剤を服用のみ(ステロイドの副作用を抑えるための薬も併用)で、ステロイドの服用量を減らしていく方針に変わりはありません。
ただ、減らし方について変化があり、20mgまでは2週間で5mgずつの減薬でしたが、20mgになってからは1ヶ月かけて2mgずつの減薬となりました。

20mg(1ヶ月服用)

18mg(1ヶ月服用)

16mg(1ヶ月服用)

14mg(1ヶ月服用)

12mg(現在服用中)
※7/18現在まで

20mg以降は上記のペースで減薬をしており、通院も減薬に合わせて1ヶ月に1回程度になっています。
目指すべきところはステロイドの服用ゼロで寛解が理想ではありますが、担当医からは病気の性質上ゼロにするには難しい(再燃の可能性が高いため)と言われたこともありました。
とはいえステロイドによる副作用も長期服用によって今後増えていくと考えられるので、今後の減薬をどこまでとするのかの着地点を担当医と一緒に探っていきたいと考えています。

現状の働き方について

ここからは働き方についてお話をしていきます。
4月の記事に書いたように、引き続き病気になる前とは違う新しい働き方を探っている状態は今も変わっていません。

「新しい働き方」とは何か?

この「新しい働き方」というのが難しく、最初は体に負担のかからないように「時短にする」「リモート」中心で仕事を進めるということを考えて実行していました。
しかし、単に私ひとりが働く時間や場所を変えるだけでは根本的には変わらないこと、それにより新たな問題が出てくることもわかってきました。

今現在、私は社長というポジションをやらせていただいております。
社長とは何をやる人でどんな働き方なのかは会社の規模や方針によって様々だとは思います。

私の場合、主に下記のことをやっています。

Web制作 
デザインやコーディング、クリエイティブの作成。
手を動かすところ。いわゆる制作。

ディレクション
案件のリーダー的な立場でお客様とのやりとりを行う。
制作メンバーへやることを振っていく。スケジュールを立てたり定期的な打ち合わせに出たりする。

営業
新規、既存のお客様への営業。
アポを取って会いに行く(現在はほぼzoomです)お見積りや提案資料の作成などを行う。

上記に加えて社長としての仕事である「会社経営」という会社を運営するための業務を持っています。

今まで潜在化していた問題が顕在化した

前回の記事では3か月半働いて感じたことを書きましたが、その間にわかったことは「発病前と同じやり方で役割を全てこなすのは難しい」ということでした。
分かりやすく言うと今までやっていた仕事量をこなすことができなくなったのです。

正直なところ、発病前は朝から晩まで働いているといった状態で土日もどちらかもしくは両日とも仕事をしていることもありました。
「長い時間を仕事に充てることができる」「長時間ゆえに多くの仕事量をこなせる」といったことが体力的にも、メンタル的にも難しくなってしまったということが発病前と大きく変わったところです。
発病の原因はこのような働き方だったからということではないと考えていますが(原因が特定できない病気のため)、復帰後は気持ち的に「きっと仕事を抱えすぎていたのだ、前と同じ状態になったら再燃するかもしれない」という想いが大きくなっていきました。

こうしたことで、仕事量を減らす=無理しないということを考えて時短にしたり、肉体的な疲労を減らすということでリモート中心の仕事の進め方をしていましたが、自分だけ働き方を変えたことによる問題も出てきてしまったのです。

影響が出てきたのは主に2つです。

  • 働く時間が減ることにより滞ってしまう業務が出てきた

  • リモートで社員とのコミュニケーションがうまくいかない部分が出てきた

「働く時間が減ることによって業務が滞ってしまう部分が出てきた」というのは私自身がやっていた「制作」「ディレクション」「営業」「会社経営」の4つのうち特に「営業」「会社経営」部分が抜け落ちてしまったということがあります。
以前はカバーできていた「営業」「会社経営」が滞ったことで、気づいた時には次の仕事が見つからず、やることがない状態のメンバーも出てきてしまい(そのことによる不安を感じさせてしまいました)しばらく月々マイナスを出してしまうという事態になりました。

上記について、私の本来やるべきことは「営業」「会社経営」であり、それができていなかった。「制作」「ディレクション」部分を社員やメンバーに譲れていなかったということが原因です。
ただ、これは働き方が変わったことで出てきた問題ではなく働き方が変わったタイミングで潜在的にあった課題が顕在化したものだと考えています。

また「リモートが続き社員とのコミュニケーションが減ってしまった」ということも問題として上がってきました。
具体的に言うと、私がディレクションをしているチームとそうでないチームのコミュニケーション量の違いによる不平等感や不安感が出てきてしまったのです。
それは業務上(例えば案件を進めるための)コミュニケーションだけのことではなく、会社の方針や今現在会社で起きていることに対しての情報共有の不足により「今私たちはどこに向かっているのか?」という疑問に繋がってしまうという問題です。
以前は事務所に毎日のように出勤していたこともあり、ほぼ社員全員がいる場で話をすることが多くありました。皆がいる「場」のコミュニケーションが果たしていた役割が大きかったことも分かりました。

これは、いわゆる雑談的な会話や業務の会話の中から発展して会社の話になる流れ、そのなかで互いの「思っていることを話せる場」がオンラインのみのコミュニケーションだと作りにくくなってしまったために起きたことだと考えています。

今後どのようにしていくかは、今まで対面でやってきた部分をオンラインにしようというのではなく対面で出来ていた部分も残しつつ「オンライン+対面」をうまく活用していくことが必要だと考えています。
よく考えてみると皆でランチする、飲み会をするというのも隙間を埋めるひとつのコミュニケーションの方法でした。

今後どうしていくか。会社のメンバーに伝えたこと

上記の課題が出てきたところで、社員と会社と関わりのあるメンバーと個別で話をしました。
この話をするまでにはかなり時間を要していて、自分なりに今後のことを整理して考え伝えたい内容は同じではあるものの、ひとりひとりに合わせた伝え方を心がけながら話をしました。

  • やっていること、今までやってきたことを譲っていきたい

  • 今後は先頭に立って仕事をしていくのではなくバックアップとして皆を支えたい

  • 後継者をつくりたい

大きく言うと「ひとりで抱えている」状態を無くしていく、私自身が「先頭に立たずとも業務がまわっていく」状態を作っていきたい。
私が働けなくなることや時短になることで業務が止まったり滞ってしまうこと、他にやれるメンバーがいないということがリスクとなってしまったからです。

業務を譲れなかったことで「社員やメンバーの成長を止めている可能性」もあるとの指摘もいただきました。ということは会社の成長を止めてしまっている可能性もあります。
今後の会社のため(会社全体のため)にも今までやってきたことを社員やメンバーに譲っていくことは必要不可欠なことでした。

会社経営という視点からの働き方

働き方については正直、今現在も試行錯誤しており会社運営も含め「まずやってみて、それから考える」という会社を動かしながら状況を見つつ変化をしている最中です。

働き方ついて分かったことは、私ひとりが働き方を変えるのではなく会社全体(社員やパートナーも含め会社に関わっているメンバー)の役割や意識を変える必要があるということでした。
それゆえ会社全体を動かしながら自身の働き方(体調の変化も見つつ)考えています。

今回のことで自分自身=会社だというのは少し言い過ぎですが、少人数の会社では1人の働き方が変わることで会社全体に及ぼす影響が大きいということ、特にキーマンであるなら尚更ということを強く感じることとなりました。
当たり前のことかもしれませんが、小企業や零細企業だと社長がたくさんの役割を持っていることが多いです(個人事業主の方もそうだと思います)
そういった役割の方も何らかの理由で「働き方が変化する」時はいつか必ず来るものです。その時のリスクをどうするか今後のことを考える必要があります。

働き続けるためのメンタルを保つには

働き方が変化することで、働くことに対するモチベーションを保つことが難しくなる時もあります。
私は体調が悪くなった時に「仕事を請けてこれ以上大変になりたくない」という気持ちになってしまい、同時に「こんな(仕事を請けたくないなんていう)メンタルで社長をやっていて良いのか」という気持ちになりました。
これこそ他のメンバーに役割を譲っていけば解決していくことだと思っています。

その後「はたらく難病ラボ」さんのオンラインイベントに参加させていただき、グループディスカッションで「働き続けるためにどのようなことをしているか」というテーマ(問い)で話す機会がありました。

結局は「自分は何のために働いているのか」ということが答えだと思っています。
働き続けるためには働くモチベーションを保つことが必要で、モチベーションを保つには原動力が必要。その原動力は何のために働いているかという自分の中にある答えに繋がっているからです。

確かゲストの方も常に自分自身に常に問いをしながら働いているとお話されていたと思います。

働くということは容易ではありません。
辛いこともあれば苦しいこともあります。働くことは生活を保つためということも答えのひとつと思います。
だからこそ「何のために働くのか」という問いかけを定期的に自分自身にすることで働くことへの源泉を理解しておくことが働き続けるメンタルを保つ理由になると考えています。

これからやっていきたいこと

私の主軸であり収入源は株式会社MoWorksの経営です。
これまで書いてきた通り、徐々に自分の仕事を譲っていくことも考えつつ自分自身の働く場として続けていきたい。
今回のことで、色々と問題や課題は出てきましたが少しずつ個人ではなく「組織」と呼べるところまで来たからだと前向きに考えています。

社員やお客様、パートナーさんなどたくさんの方が会社に関わってくださっていることが私の働き続けるモチベーションのひとつになっています。

また、難病当事者としてもやっていきたいことがあります。
働き方も含め「自分にしかできないこと」をやっていきたい。「経営者」であり「当事者」でもあるその中間としてできることがあるのではないか。

具体的には、出来る限り働ける「場づくり」をしていきたいです。
働くことは社会との関わりを持てる場所でもあります。
自分の能力が活かされて、その相手が喜んでくれるのがわかる場所でもあります。
働きたいと思っても病気が理由で場所や機会が失われてしまうのは悲しいことです。
難病を持っているからこそ出来ることもあるかもしれない、その可能性を自分なりに考えていきたいと思っています。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

「働き方」に影響を受けた書籍や活動、イベントなどを紹介させていただきます。

「プロジェクト型介助論」「当事者事業所」などまさに会社経営のような考え方で活動をされている天畠さんの著書。何より発信することの大切さに気付けました。

東京日本橋にあるカフェ。実際に行ってみてパイロットの方(ロボットと遠隔で繋がっている方)とお話した時に新しい働き方を感じました。

はたらく難病ラボを開催しているわーるどさん。毎回テーマが気になる内容ばかりで考えさせられます。

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