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退院して3か月半経ってわかってきたこと

こんにちは、もーこです。
秋葉原にある株式会社MoWorksというWebデザイン会社の社長をしています。
昨年、国の指定難病である「成人スティル病」と診断され1ヶ月ほど入院をしていました。

発病してから診断に至るまでの記事はこちら

2021年の年末に退院して早いもので3ヶ月半ほどが経ちました。
現在も治療は続いており、2〜3週間に1回の通院とステロイドを服用しながら経過を見ています。
退院後は仕事にも復帰し自宅からフルリモートで業務を行なっています。

この3か月半ほどの間、ステロイドを飲み続けることによる体調の変化や仕事復帰してみて思っていたことと実際のギャップがありました。
実際にそれらを感じたことで、あらためて病気の難しさやこれからどうしていくのが良いかを考え直す部分も出てきました。

退院後~現在までに感じたことを大きく3つに分けて書いていきます。

  • ステロイドを3ヶ月半飲み続けた身体の変化

  • 復帰して「働き続けること」の難しさ

  • 今後どうしていきたいか

ステロイドを3ヶ月半飲み続けた身体の変化

ステロイドは今の病気の治療に欠かせない薬です。
この薬のおかげで症状が抑えられているという状態でもあります。
ただ、ステロイドという薬は厄介で副作用が山ほどあるのです。(治療を行うにあたり副作用の同意書を書いたりもしました)
成人スティル病は再燃(症状が現れ再発するリスク)があり長く付き合っていく病気となることが多いため、ステロイドによる治療を続けていくことになりますが同時にその副作用とも付き合っていく運命にあるのです。

ステロイドの治療については病院や担当の先生の方針によって処方の仕方や飲み方が様々です。こちらについても別途記事を書きたいと思っています。

ステロイド量が多い時の方が元気だったかもしれない

入院から現在までのステロイドによる治療はプレドニンという錠剤を服用しており、ステロイドパルスや他の免疫抑制剤は使っていません。
服用量は50mgで退院し、3ヶ月半経って20mgにまで減薬できました。
担当の先生からはステロイド量「20mg」が治療におけるひとつの区切りと言われていました。
この意味があまりピンと来てなかったのですが実際20mgに減ってみてなんとなくその意味を感じているところです。

というのも退院してから順調な減薬に喜んでいたのですが、20mgになってから体に不調を感じるようになってきたからです。

現在自覚している不調や副作用と思われるものです。

  • ステロイド糖尿(HbA1cが6.5%)になった

  • 知覚過敏(冷たいものが歯に染みる)になった

  • ムーンフェイスが進行(どんどん顔が大きくなる)

  • 食べると胃がもたれる

  • 体が疲れやすくなった(頑張りたくても頑張れない)

  • 体が疲れている時は胃の調子も悪くなる

  • 夜に痒みのある蕁麻疹(湿疹)が出ることがある

どれも20mgになってから出てきたものでした。ステロイドの量が減って嬉しい反面こんな風に思いました。

あれ、50mg〜30mgの時はご飯もたくさん食べられていたし日中も元気だし頑張れていた。20mgに減ってからの方が不調だ。

ここで治療当初に思っていたことと実際のギャップを感じました。

最初思っていたこと

  • 時間の経過とともに体調が良くなっていく

  • 飲んでいるステロイドを減らしていければ副作用も少なくなってくる

実際に感じたこと

  • 日によって体調に波がある

  • ステロイドを減らしていく段階で体調不良(副作用?)が出てくる

  • 自分の体がよくわからない

体調の変化のなかで特に嫌だなと感じているのが「疲れやすくなった」ことです。
例えば、気温が寒い時に外に出て数十分歩くだけでも体が疲れてしまいます。
暑い、寒いなどの気温の変化が体の負担になり、さらに「歩く」ということも体の負担になっているように感じます。
筋力の低下を防ぎたいのもありウォーキングを平日の時間がある時に行っていますが、1日3000歩以上歩くと膝に違和感が出たり体への疲れが出る感じがします(だいたい1.5kmくらいの距離かと思います)

「食べると胃がもたれる」というのも辛いところです。
30mgくらいまでは朝起きてお腹が鳴っていたり、多めに食べたと思った時も胃もたれをすることはほとんどありませんでした。朝昼晩と3食きちんと食べられていました。
20mgに減ってからは朝起きてもお腹が空かない、食べている最中に急に気持ちが悪くなり食べられなくなってしまうということが度々起きるようになりました。
昼にたくさん食べたと思う時は夜ご飯が食べられなくなってしまったり。

この症状が起きてからは1回の食事で食べる量を減らして胃の調子を見ています。
ステロイドによる糖尿も出ているので、あまりたくさん食べない方が良い傾向ではありますが…(これはステロイドを飲んでいる以上糖尿になるのは仕方のないことだと担当の先生に言われました)

ちなみにこの記事を書いている時点で少しずつ胃の調子は回復してきました。
ただ量を食べるとムカムカするのは変わらないので様子を見ながら食事のコントロールをしています。
家で食べる分には良いのですが、外食する時に残さなくてはいけなくなる可能性もあります。先日はカフェに行って食べきれない分はテイクアウトにしてもらいました。
人と食事をする予定もあったのですが食べられないかもしれないという不安がありお断りをしてしまいました。人と一緒の場では気を使わせてしまうかもしれないと思ったり、一緒に楽しむのが難しいところだなと思っています。

自分の体がよくわからない

総括的になりますが「自分の体がよくわからない」というのが今の状態とも言えます。
歩いていると急に疲れが出てベンチに座りたくなる、たくさん歩いた次の日は体がだるくなる、急に蕁麻疹が出ることがある。
先ほどから書いているステロイドの量の変化や副作用もあると思うのですが、パターンがわからず何が原因で体の変化が起こるかもよくわかりません。
寝る前に「1日何事もなく無事に過ごせてよかった」と思えることが現状でのいちばんの安心になっています。

復帰して「働き続けること」の難しさ

ここからはお仕事の話です。

退院してから現在まで自宅でのフルリモート、週5で働いています。
1日の稼働時間はだいたい8h~12h程度です。
稼働については1日ごとにExcelシートに記録するようにしており、下記のような表を作ってざっくり1日の何をしたか時間が見えるようにしています。(濃い青い帯がデスクに座って仕事をしている時間です)

1日の稼働表

「復帰」という言葉も適切かわかりませんが私の場合は退院した次の日くらいからパソコンを開いて仕事を始めていました。(入院中もチャットツールやメールのチェックを行っていました)

少人数の会社ということ、経営者として組織を維持する立場でもあること、自分自身が抱えていた仕事もあるなかで引継ぎもままならないままの入院となったこともあり、入院中も社員やサポートしてくれるメンバーとチャットツールやオンラインでほぼ毎日コミュニケ―ションを取っていました。

自宅からのリモートをして3か月半経ち、今は「働き続けること」への難しさを感じています。
どういうことかというと「病気になる前と同じ状態の働き方」ができないため「新しい働き方」を考えていかなければならないこと。
この「新しい働き方」を考えるにあたり病気になる前の価値観と異なってしまったということに気づいたからです。

つまり、病気になる前と後でメンタル面の変化があり「仕事に対する価値観」も変わってきた。
「仕事に対する価値観」の変化が「仕事へのモチベーション」へ影響を及ぼしている。
ゆえに「働き続けること」の難しさが出てきた
といった具合です。

メンタル面の変化

メンタル面の変化につながる部分もあるので、仕事復帰して感じたことを書いてみます。

  • 対面での営業がやりにくい(ステロイドによる免疫力低下のため外出ができない)

  • 仕事のなかでできること、できないことの線引きが難しい

  • 長時間頑張れない(体の変化で書いた疲れやすいこととも連動)

  • 通院で月1~2回はお休みをもらうことになる(稼働できない日が出てくる)

以下は復帰前「新しい働き方」を考えている時に思っていたことと実際働き始めて感じたことです。

最初思っていたこと

  • 1日のリズムを作り、働く時間を決めていくことで体調を保つ

  • できることできないことのルールを決めて、他のメンバーに共有することでサポートしてもらいやすくする

  • 仕事の成果は病気になる前と同じ状態くらいまでは戻れる

実際に感じたこと

  • 仕事をすることに消極的になっている(周りからそう見えている)

  • 仕事を頑張ろうとしても頑張れなくなっている

1日のリズムは守れています。仕事する時間も8時間は確保できている。
病気のリスクや経過は社員も含め関わるメンバーや場合によってはお客様にも伝えています。

体の変化の項目でも書きましたが、頑張ろうとしても頑張れない、想像以上に疲れやすい体になっているということでどうしても「恐る恐る」「探りながら」といった働き方になってしまっているのだと思います。

私自身は「恐る恐る」「探りながら」といった働き方をしている自覚はありませんでした。
仕事をすることに消極的になっている
というのも一緒に仕事をしている人から言われ、外からはそのようにも見えるのだと気づきました。
それを言われた時、働き方ではなくメンタルの方が変わったのだと感じたのです。

同時にこのようなことも言われました。
「もーこさんは今までの働き方に縋ろうとしている」

これを聞いて思いました。

働き続けることは、リズムを変えてどうこうできる問題じゃないな。
自分がどうありたいか、今後会社とどう関わりたいかの話なのだな

今まで一緒に仕事をしてくれた人との会話の中で今までの働き方によって会社が成り立っていたということにも気づかされました。
自分自身の働き方を変えようとすると会社の組織も変えていかなければならないのだと思いました。
思ったより自分自身の働き方に対する会社への影響は大きいものだったのです。

体調の変化とともに「忙しくならないように気を付けよう」「ストレスを溜めないように仕事から離れる時間を作ろう」「日々を穏やかに過ごしたい」という思いが大きくなっていてそれを常に考えながら過ごしていたというのはあります。
それも悪いことではなかったのですが、それを意識するだけだと会社が成り立たなかった。

今後どうしていきたいか

まだ体調面ではいろいろと不安要素があります。
この1年は治療期間だと思っていて無理をして再燃したくないという思いがあります。
だからといって病気や体調のことを気にするあまり新しいことに挑戦できなくなったり消極的になるのも嫌だなと。

本当に必要なことに絞る

会社のなかで業務の範囲や案件を絞ってやれることをやろう思っていましたが、量や範囲といった絞り方ではなく私にしかできないことをやっていくことが必要でした
つまり、会社にとって「必要なこと」のなかで私にしかできないことをやること
私の役割は大きくは「会社を存続させること」だと考えています。
そのために何をやっていくかを具体的に考えています。
これは今現在考えているところです。

やりたいことに集中していく

これがいちばん重要なことで私自身が今後「どうありたいか」というところです。
働くことの原動力であり情熱の部分になります。
ひとつ決めたことは「活動場所」です。ここ数年は埼玉県熊谷市を中心として動いていこうと考えています。
これは家族といる時間を大切にしたいという想いと、熊谷という生まれ育った場所が好きなので地元を応援し協力したいという想いがあるからです。
これは病気になったことによって大切にしたいものが見えてきた感じがしています。

これからの話ですが「難病」「働く」といったキーワードも大切にしたいと考えています。自分自身が当事者ということもあり共感できること、私自身これからも働き続けたいという想いがあるからです

また、共感できる人や相談のできる「居場所」はとても大事だと気づきました。病気の話を聞いてくれるだけで心が落ち着く、そういったコミュニティが作れると良いなとも思っています

難病はわからないことだらけです。
同じ病気でも症状が人によって全然違いますし、病院によって治療の仕方も方針も違います。
そういった情報も自分達で取りにいかなければわからないのです。難病の方ひとりひとりが今までに無い道を切り拓きながら前に進んでいるイメージです。
私自身も含め難病を持ったりリスクのある方を支援したいという気持ちが大きいです。

まだ考え途中ではありますが、何かを変えていくにしても全く別のことはやれない。今やっていることや居る場所の延長線上にあるのだと思います。

ここまで読んでいただき、どうもありがとうございました。
※病気の治療についての記述は個人の体験に基づいており専門的な知識はありません。

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