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強さのインクルージョン

強さとはなんでしょうか。
誰をも打ち倒す力を持つこと。
決して倒れないこと。
心が折れないこと。
様々な考えがあります。
真の強さとは何かについて考えたいと思います。

「武」という字は「矛」を「止」めるという部首からできています。
武力とは打ち倒す力ではなく、力を制御する力であるという考えによる成り立ちです。
暴力としての強さを超えた先にあるものが武の力、そう考えるとやはり武道武術の理念は真の強さと言えるのかもしれません。

しかしここに一つの疑問を投げかけたいと思います。
「止めること」が真の強さなのか。
矛は武器であり凶器です。傷つける事がその役割です。
受ける側から見れば止めることこそ正義ですが、矛から見れば発揮するべき力を発揮できなくされるのですから、存在の否定に他なりません。
真の強さとは対立を生むものではなく、全てを包含するものではないでしょうか。

矛を止める力を持つ武を超えるもの、それは鞘です。
鞘は刃を安全に納めることができますが、その存在を否定するものではありません。
使うべき時の為に準備をするものです。
そしていざ抜刀する時には鞘走りにより速度を上げ、力を増す働きを持ちます。
対立を生まず、必要に応じて補助をする、真の強さとは鞘にあるのではないでしょうか。

ダイバーシティーという言葉と並んでインクルージョンという言葉も認知を広げています。
立場や考えが異なる者も平等に力を発揮できる状態を表します。
戦う為の刃が周りを傷つける、それを止める為に対立する、そんな刃や武の力ではなく、機を待つ為の鞘こそがインクルージョンの象徴なのです。

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