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商品企画に閃きは必要ない

暴論ですが、商品企画に必要なのは閃きではありません。
筋肉、筋肉は全てを解決する。
筋原繊維を構成するタンパク質ミオシンの話ではありません。
MECEの話です。

アイデアとは既存のアイデアの組み合わせです。
既存のアイデアの組み合わせなのだとすれば存在しないものを無の中から生み出す創作的なものではなく、調べられるものを抽出する作業です。
その選択が奇跡的な組み合わせになっているから神懸かり的な閃きに見えるのですが、丁寧に整理すると事実の掛け合わせなのです。

閃きによって画期的なアイデアを生み出したとして、その後どうするでしょう。
殆どの場合はその閃きの妥当性と実現性を再評価します。
万一閃きだけを頼りに邁進することがあればそれは大きなリスクに晒されることになります。
再評価をすることで地に足着いた事実の掛け合わせと閃きが地続きであることを確認して先に進めるのが一般的な商品企画のプロセスです。
この時、閃きと事実が繋がらなければそこには論理的な思考展開ができず、納得感が得にくくなります。逆にいうと繋がるのであれば事実からの積み上げで着実に閃きに辿り着くことができるということです。

無限にある事実の中から適切なものだけを選んで組み合わせるなんて、空から砂漠に撒いたジグソーパズルを見つけて組み合わせるようなもの。
そう思うかもしれません。
ですがマーケターには企画筋とも言えるしこうほうMECEがあります。
片っ端から要素を上げていけばキリがありませんが、大きいところから切り分けていけば見落としなく考えることができるのです。
切り口の探し方は勘ではありません。
ネットニュースやバズったツイートなどから使えばいいのです。
どこまで切り分けていけばいいかは狙い方次第ですが、MECEであるなら全体を100としておおよそで数字を分けていけば仮説として考えを進めるとができます。
20あればいいのか、5くらいでいいのか、細かさの加減はビジネスとして成り立つ最小単位で考えると目標値が設定できます。
例えば4000万世帯に対して普及率が90%、買い替えサイクルが10年の電子レンジで1%のシェアを得るなら36,000台が目標になりますが全体100に対して一コマが0.9になるまで細分化できることになります。
111種類に分割された特性の中から一つを選んで、さらに別の特性と掛け合わせることを考えれば、閃きではなく総当たり戦に見えてくることでしょう。

MECEな中から考えることのメリットは全体像からスタートするので構成比の仮説が立てやすいことです。
一方で全体像を捉えることから時間がかかるというデメリットも存在します。
閃きによる瞬間的なゴール設定に対して再検証に時間を取るか、時間のかかる積み上げによって再検証の不要なゴールを目指すか、それはそれぞれの環境次第です。

最後に、商品企画に閃きは必要ありません。
それは過程を飛ばした結論には再検証の負荷がかかるからです。
膨大な知識に裏付けられた電光石火の論理展開はその限りではありません。
やはり筋肉、商品企画筋が全てを解決するのです。

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