見出し画像

フレームワークは何度でも

マーケティングというものを勉強すると、早々にフレームワークが登場します。
マクロ環境から始まって徐々に領域を狭めて具体的な戦略を立てていきます。
世の中の変化を捉えるPEST分析からスタートして、業界内の力関係や収益性を図る5フォース分析をし、競合を定めて3C分析、自社戦略を見つめる為のSWOT分析、STP分析、そして具体的なマーケティングミックスの4Pと焦点を絞り込んでいきます。
このようなプロセスを踏むと、世の中、顧客、競合、自社と見落としなく考えていくことができるので優れたプロセスを辿っているように感じられます。
果たしてそれは正しいのでしょうか。

マクロからミクロへ、焦点を徐々に絞りながら戦略を具体化していくことは間違っていません。
あるべき正しい姿です。
一つおかしな点があるとしたら、フレームワークがプロセス管理の手段になってしまうことかもしれないことです。
PEST分析、ヨシッ!
5F分析、ヨシッ!
……

マーケティングミックス、ヨシッ!
このようにプロセス管理として見ていった時に、各段階ごとに確らしさを手に入れることは出来ますが、人の思考は徐々に目の細かくなる篩のように不可逆的に物事を細分化できる訳ではありません。
競合分析は終わったから、強みや弱みは確認したから、そう思ってしまうリスクがあるのです。

フレームワークは管理手法ではありません。
物事を抜け漏れなく分解したり、視点を切り替える為のツールです。
一回通ったから終了というのでは役割を全うできていません。

SWOT分析で強みを考えている時に顧客と競合のことも忘れずに意識しているでしょうか。
4Pを考える時に経済的要因の変化を意識しているでしょうか。
フレームワークをプロセス管理の関所として認識してしまうと、本来後まで意識し続けなければならないから書き上げたはずの情報がすっかり抜け落ちてしまうリスクがあるのです。

フレームワークは便利な思考補助ツールに過ぎません。
一度使って終わりではなく、何度も何度もその枠組みに照らし合わせてみて初めて真価を発揮するのです。
フレームワークが穴埋め作業にならないよう、心して使用しましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?