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商品企画力とマーケティング力

商品企画力の不足とか、マーケティング力の不足という言葉を耳にすることがあります。
メーカーは売上が低迷すると、まず最初に営業に発破がかかります。在庫を押し込め、もっと売れと。
ある程度まで頑張って、限界を迎えた営業があげる悲鳴が商品力が弱いからこれ以上ムリ、です。
次に発破がかかるのが企画部門で、他社にない画期的なものを今すぐ出しなさいとなります。
事前の研究も投資もしていないから苦境に晒されているのに、という現実に目を向けない指示ですから、企画力がないと叱咤されます。
そうこうしているうちに数十社以上ある競合のうち一社の商品がヒットすると、他社にできて何故うちにできない、マーケティング力がないんだと激怒されます。
商品企画力とマーケティング力の不足を嘆かれる中小零細メーカーあるあるです。

この時に取り沙汰される商品企画力は短期的なアイデアで業績を回復させるカンフル剤であり、マーケティング力とは市場調査や情報収集の力です。

マーケティングは顧客への価値提供に繋がる全ての活動ですので上記のように狭いものではありませんし、商品企画もマーケティングの中に含まれます。
では冒頭のような狭義の言葉で使用されることが多いのは単に言葉の定義の甘い会社が多いということでしょうか。
多くの苦戦する企業においては未定義の言葉に酔いしれている可能性もありますが、多くの企業が同様の使い方をするのには隠れた本質によって分類されているからなのではないかと考えます。

強い兵を育てるように指示されたら何を考えますか?
今のままでも操兵術次第で勝てると考えるのは天才軍師くらいです。
強い武器を持たせるか、武術を教えて体を鍛えるかです。
商品企画とマーケティングはこの武器と鍛錬の関係にあります。

強い武器を与えれば短期的に成果を上げられますが、兵自体が強くなっているわけではないので環境への対応に劣ります。
鍛錬により強固な肉体を作れば汎用的な強さを手に入れますが時間がかかります。
短期的に手に入る限定的な力と、長期的に手に入れる汎用的な力、それが商品企画力とマーケティング力の違いです。

商品企画は組織風土に根差した進化を遂げます。
競争環境と自社資源を見ながら良い按配を見出していく、謂わば土着の力です。
一方でマーケティングは学問としても歴史を重ねており、一般的に正しいと思われる原理原則がある共通言語です。習得に時間はかかりますが環境に左右されない本質を身につけられます。

このように、商品企画力とマーケティング力とは同列に語られるようでその実異なる特性を持っています。

あなたがもし苦境に立たされているのであれば、まずは解決するのに必要な力、不足している力をより具体的な定義に落とし込むことが最初の一歩になることでしょう。

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