売り手の3C、買い手の3C
商品企画という仕事は売り手として魅力的な製品を考案する仕事です。
売り手があるもう一方には買い手があります。
練りに練った最高のマーケティングミックスのつもりでも、買い手に一蹴されてしまうことは商品企画において日常茶飯事です。
買い手の前にいる自社の営業担当に弾かれることでさえあります。
それは製品の仕様が足りないのか、価格が合っていないのかターゲット顧客に響かせるには販路が誤っているのか、販促投資を増やすべきなのか、そんなことを考え始めますが原因は別のところにあります。
売り手の3Cと買い手の3Cの違いを意識すること、これを忘れると4Pの手前で方向を見誤ってしまいます。
例えば売り手であるあなたが家電メーカー、買い手がヤマダ電機だとします。
自社はそれぞれの企業ですので異なります。
完全に異なるわけですから、自社都合が通るわけがありません。
顧客はどうでしょう。
売買取引をするお互いが顧客ですし、売上の要になるのはどちらにとっても買い物に来るエンドユーザーです。
ただし特定の範囲の商品を販売するあなたと、店内に様々な商品を並べるヤマダ電機ではエンドユーザーと一括りにしても範囲が違うかもしれません。
あなたの求めるエンドユーザーは自社製品が狙っている属性の人、ヤマダ電機に来店する人と完全に一致するわけではありませんので、このズレが買い手にとっての商品の魅力を目減りさせます。
自社と縁遠い顧客をターゲットにした商品では売上が見込めないからです。
最後に競合です。これが一番の差になります。
あなたにとっての競合は同業他社です。
同業他社の製品をベンチマークにしてより良い製品の開発をしますが、買い手にとってその努力が魅力的に映るとは限りません。
何故ならあなたにとっての競合は買い手にとっては商品を仕入れる顧客であり、売上を作ってくれている協力者でもあります。
買い手にとっての競合も同業他社ですが、それはヤマダ電機にとってのビックカメラやケーズデンキなのです。
メーカーにとってヤマダ電機もビックカメラも取引先であるように、ヤマダ電機にとってはパナソニックも東芝も取引先です。
どちらか一方を落とす必要は何もないのです。
3C分析は通常自社の視点で考えますが、会社の数だけ視点はあります。
その主体の違いを意識し忘れてしまうと対外的な交渉が難しくなります。
商品企画はものを作り出すことも、売上に直結することもできない無力な役割です。
無力だからこそ、自由に、時には無責任に様々な視点になって物事を考えなければなりません。
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