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イギリス文学

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#読書

なぜ学者ではなく聖母を選ぶ?〜『ロモラ』を読んで雑記〜

noteで何度も取り上げるほど、私はジョージ・エリオットが大好き。
今回はそんな彼女の唯一の歴史小説で、フィレンツェを舞台にした壮大な物語『ロモラ』の古本を取り寄せ。

「認められなかった女」が「聖母」となる

ロモラは豊かな教育を受けながらも、女であるという理由で、研究の継承者として父に認められない。
また、語り手に「父の世界しか知らない無知な娘である」と評される。

そして彼女は「カッサンドラ

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女性によるイギリス小説の「愛すべき奥様」たち

女性によるイギリス小説の「愛すべき奥様」たち

女性作家が描く愛すべき奥様、もしくはオールド・ミスって案外多いのではないかと思う。
キーパーソンとなるそんな女性たちって、コミカルだったり、欠点があったり。でも、どこか憎めない。
イギリス小説に登場する奥様たちを、私の好みで紹介します。
(既婚女性を奥様、と呼ぶことについては異論は認めます)

孤独な主人公と打ち解ける奥様

ジョージ・エリオットの中期の作品である長編『サイラス・マーナー』。ドリー

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ヴィクトリア朝の小説の「魔性の女」

ヴィクトリア朝の小説の「魔性の女」

ヴィクトリア朝という、イギリス史の中でもかなり厳格な時代の小説を専攻していたのに、私はファム・ファタルが大好きである。ファム・ファタルとは、魔性の魅力をたたえていて最終的に男性を破滅に追い込む女性のこと。

ファム・ファタルたちはイギリスにも?

『椿姫』をオペラで知ったのち、原作であるデュマの小説を読んで、作中のファム・ファタルであるマルグリットにどハマりしてしまった。

その後も『マノン・レス

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