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【IDと教員研修14】経験を生かして学ぶためのサイクルとは

前回の記事では,学び方の第一原理について考えました.学びを進める際には,何が問題であるかを中心に据え,様々な側面で解決策へのアプローチを模索していくことが基盤的な考え方になるというものでした.
問題を見つける,見極める,解決策を探る,試行錯誤する,解決する・・・といった具合に進む様相,これはシンプルにとらえると,何かを学び,その学びを生かしていくプロセスであるといえます.

では,「学ぶ」ということを掘り下げて考えると,どのようなことが起きているのでしょうか.

コルブの経験学習モデル

人は経験から学ぶ,ということについて,学習を経験するプロセスは,単に経験すれば学べるということではなく,4つの活動のサイクルを意識することが重要である,と提唱したのがデイビッド・コルブです.

「単に経験するだけではない」ということがポイントになりそうです.つまり,学習するということは,意識的な経験であると考えることができそうです.

具体的経験(Concrete Experiences)から内省的観察(Reflective Observations)

何かを経験したら,それをまずは振り返るというプロセスです.
どんな経験をしたのか.
どうして経験をしたのか.
経験によって得られたことは.
経験によって気づいたことは.
経験によって考えたことは.
・・・というように,視点を決めて振り返ることで,経験の内容が鮮明に掘り下げられます.

内省的観察(Reflective Observations)から抽象的概念(Abstract Conceptualizations)

どんな経験であったのかを掘り下げたら,それを概念化します.
概念化というと難しいイメージがあるかもしれません.
一般的にするとどうなるだろうか?
他の経験と共通する枠みたいなものができるだろうか?
つまりまとめると,どういう経験といえるのだろうか?
などと,少し視点を上げて物事を見てみることといえます.

抽象的概念(Abstract Conceptualizations)から能動的実践(Experimentation)

概念化された経験を,次の経験につなげるためのプロセスです.
経験から得られた成果を別の場面に応用することです.
他にもできそうだな.
この場合は,同じ手続きでもやれそうだ.
またうまくいきそうだ.
といった,前向きな経験へとつながるといいですね,

鍵となるのは「振り返り」

教員研修においても,学校で先生が経験する様々な学びを,意識的にこれらの活動に「のせていけるようにする」という感覚が大切だと思います.
おそらく,「内省的観察」と「抽象的概念化」の時間がとても少ないことが予想されます.
これらの活動は,できれば言語化して文字で記録されるとよいかもしれません.日々の日記に挟んだり,ポートフォリオにするような活動です.

しかしこれらは,普段の会話でも成立します.
今日1日どうだった?と家族と話したり,同僚と振り返ったりする時間を意図的に設けます.特に,「学びの多い1日だったなぁ」と感じるときには,特にやった方がよいかもしれません.

このような,学びが経験としてサイクルになることを意識すると,自律的な学びの一歩が踏み出せそうです.

次回は,自律的な学びをつくる学習方略について考えていきましょう.

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