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取材した怪談

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私が取材した心霊的・不可思議現象の話です。
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2022年1月の記事一覧

【取材した怪談200】隊長の決断

愛知県にお住まいのA氏から伺った話。彼が幼い頃、祖父・清さんから何度も聞かされた話だそうだ。 戦時中。清さんは海軍の教官で十五人ほどの部隊の隊長を任されており、名古屋を拠点に活動していた。 その夏、軍の任務で九州に一時滞留していた清さんらは、名古屋に向かって艦船で帰還していた。ところが途中で船内の設備異常が見つかり、修理のために広島県の呉港に数日間、寄港することになった。 通常は船内で宿泊できるが、修理中の間、海軍兵は船外に出なければならない。他の任務との兼ね合いもあり、

【取材した怪談199】夜の『灯台』

話者:三十代男性 ・・・ 僕が小五の時の話です。市内の公園に展望台があったんですよ。五階建てぐらいで、中の螺旋階段を登って屋上に行くと周辺景色が見渡せる場所です。僕らは『灯台』と呼んで、そこでよく遊んでました。 夏休みのある日、友人らと集まって夜の『灯台』で肝試しをしました。親には「昆虫を捕まえに行くから」と伝え、夜に外出しました。七~八時ぐらいです。 その時に集まったのは、近所の同級生・下級生ら計八人だったと思います。 肝試しの方法ですが、一人ずつ『灯台』を登って屋

【取材した怪談198】小指

某アニメが大好きなC君は、そのアニメキャラクターのフィギュアを数多く所有している。棚に整然と並べた人形達を、しげしげと眺めるのが日課だ。 コレクションの中で特にお気に入りなのは、全長三十センチ程度のポリ塩化ビニル製の人形。細部まで精巧に作製されていて値が張る一品ということもあり、とても大切に扱っていた。 ある夜、自室のベッドで寝ているとぱちりと目が覚めた。目は開いているが身体を動かせない。ただそれ自体は以前にも何回か経験しており、それほど慌てはしなかった。 ところがその後

【取材した怪談197】営巣

沙智さんが中学三年の夏、父方の祖父が亡くなった。祖父は祖母と二人暮らしだった。葬儀後、遺骨は祖母宅に移された。ひとり残された祖母が寂しいだろうということで、四十九日が終わるまで祖母宅に沙智さん家族が移って生活することになった。その期間は夏休みと部分的に重複したため、沙智さんも祖母宅で過ごすことが多かった。 祖母の家は、広大な庭を有する一軒家。庭にはガーデニング用の畑が耕され、簡易な手作りのミニゴルフ場まで設けられている。木々もいくつか植えてあった。 <祖父の遺骨を持ち帰っ

【取材した怪談196】規則的な予兆、二題

これまで拝聴した、死期の予兆に関するエピソードを2つご紹介する。2つとも一度きりのものではなく、規則性のある予兆である。 一話目 女性Aさんの学生時代の友人男性の話。 当時、Aさんも友人も演劇の勉強をしており、稽古場で稽古することも多かった。友人は非常に霊感が強く、稽古場で夏なのにセーター着た人が歩いてるとか、緑のポロシャツを着てる見たことない人がいるとか話していた。 その友人によれば、死期が近い人は身体が透けて見えるという。テレビ等に映っている人(録画映像も含まれるか

【取材した怪談194】忘れられない修学旅行

「修学旅行でコワいことがありましたね」と語るのは、女性Lさん。 彼女が小学六年の時、修学旅行で関東地方の某県に出かけた。 宿泊したのは、旅館の最上階の一番奥の部屋。最上階は、女子児童、女性教員が泊まるフロアだった。一部屋8人ぐらい。 「初日の夜、部屋の天井からパタパタ走り回る足音が聞こえました。上は部屋がないはずなのに……。あと、同じ部屋に霊感の強い子がいたんですが、その子は、夜中に人外のものに首を絞められて私に助けを求めてらしいんです。私は寝てて分かりませんでしたが」