【取材した怪談200】隊長の決断
愛知県にお住まいのA氏から伺った話。彼が幼い頃、祖父・清さんから何度も聞かされた話だそうだ。
戦時中。清さんは海軍の教官で十五人ほどの部隊の隊長を任されており、名古屋を拠点に活動していた。
その夏、軍の任務で九州に一時滞留していた清さんらは、名古屋に向かって艦船で帰還していた。ところが途中で船内の設備異常が見つかり、修理のために広島県の呉港に数日間、寄港することになった。
通常は船内で宿泊できるが、修理中の間、海軍兵は船外に出なければならない。他の任務との兼ね合いもあり、