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林檎飴 裕介side

ふぅ~っ。

さっきは危なかった!

アイツが頼りなげな顔して、オレを見上げてくるからうっかり好きだって言いそうになってたよなぁ。

俺って流されやすいのかも?

林檎飴持ってたおかげでうっかり告るの防げて良かったわ…

てか…

アレを凛子が食べたら間接キスになるんだよなぁ…

わぁ…

考えただけで赤面してくるって!

ヤバい、ヤバい!!

アイツ…

制服着てると地味子だけど、私服だと可愛いからなぁ。

ギャップにヤラれる奴多いから、同期の集まりに行くの阻止して正解やったな。

彼氏おるって話も聞いてないから彼氏おらんよな…

やっぱり告白するなら流れで言うよりは、ちゃんとしたシチュエーションで告白したいし…

けど、誰かに先越されてトンビに油揚さらわれるのも腹立つし…

凛子に食べかけの林檎飴を渡して逃げ帰った裕介は、車を運転しながら悩んでいた。

そう、凛子の同期の中でも女子に人気の高い葉山裕介の片想いのお相手は凛子なのだ。

入社当時から凛子の事が気になっていた裕介は、同期の可愛い女子やエロ系の先輩女子に告られたり、誘われたりしても全て断っていたのだ。

その為、学生時代からの彼女を大事にしているとか、結婚予定の幼なじみがいるといった間違った情報が流れているのだ。

裕介は目立つタイプの爽やか系イケメンなので、裕介を誘って断られた女子たちは断られた理由が欲しかったのだ。

自分に魅力がないから断られたわけではないと周りに思わせたいが為に、間違った情報を流し続けているのだ。

その為、本命である凛子からも葉山裕介には彼女もしくは婚約者がいると思われている。

凛子からしたら、部署が違うのにムダにチョッカイを出してくる裕介の事を気になってはいるのだが…

彼女がいると思い込んでいる為、自分の事はからかいたいだけなのだと思っている。

裕介が、密かに凛子の事を想っているなんて全く気づいていないのだ。

凛子と仲良くしている総務の静香先輩などは、用事がないのに総務にチョイチョイ顔を出して凛子にウザ絡みする裕介を微笑ましい表情で眺めているのだが…

恋愛偏差値が低く、鈍感のカタマリな凛子は裕介からの好意をひとかけらも感じていないらしい。

それどころか裕介が、静香に憧れを抱いているとカン違いしているようで…

裕介が総務を訪れる度に、静香さんなら席外してるわよ?

残念だったわね!とか言ってくるのだ。

この調子では、裕介が本気で告白しても罰ゲームだと思って真剣に考えてくれそうもない。

どうやって、アイツに男だって意識させるかが問題だよなぁ…

裕介は、やけに甘ったるく感じるミルクティーを飲みながらため息をつくのだった。

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