【リレー脚本】夏祭りシリーズvol.0

【著】ぼぶ、山田、松田、大島

〇作品紹介

「夏祭り・タバコ・青春」をお題にして、前編をメンバーの「ぼぶ」が作成。そのあとに続く物語を山田・松田・大島がそれぞれ書いたリレー脚本。

〇登場人物

・男
・女

〇前編(ぼぶ)

●男 登場、歩きながらタバコを咥え、火をつけようとする、神社の祭りに気づき眺める。

男「もうそんな時期か…」

●男 ハケ
●女 登場、神社の鳥居でポツンと独り立っている

女 「…………」

●男 登場、女を見つけ、なんとなく声をかけてみる

男「…独り?」

●女、男のかけ声に驚くも、直ぐに地面に目を下ろす

女「…………待ってるんです」
男「友達?…それとも彼氏?」
女「…どっちも不正解です」
男「…じゃあ家族か」
女「…それも不正解。」

●男 吸っていたタバコを地面にすて、火を消す。

男「全部外れか…それじゃ、誰を待ってるのさ?」

●女 男を見て、また地面に目を下ろす。しばしの沈黙の後顔を上げる

女「……私を置いていった、彼氏です」
男「なら最初の答えで正解だったじゃないか」
女「…そうですね。正解であって不正解なんです」
男「どういう意味だ?」
女「もう…5年前から待ってるので。彼氏と言っていいのか、悪いのか」
男「…なるほど、それで不正解、ね」
女「……はい。」

●男、女 沈黙。女、男に問いかける

女「……貴方もお独りなんですか?」
男「…あぁ。ここの祭りを見かけてね。自分でもなんの気まぐれかわからんが、覗いて行こうかと。」
女「…お祭り、お嫌いですか?」
男「え?」
女「すみません、そう感じたので」
男「……苦手、かな」
女「……苦手、ですか」
男「もう10年も前の話だが…その時好きな子がいてね。その子が祭り好きで、この時期になると一緒に祭りに行ったんだ。」
女「そうなんですか。でも、苦手になるような所がないですね」
男「その子…もういないんだ」
女「えっ?…ごめんなさい」
男「…昔の話だ」
女「…私の彼氏もお祭り好きでした。もちろん私も。」
男「そうなのか?」
女「えぇ…でも大好きなお祭りで、大好きな人に置いていかれました」
男「笑顔なのに言っていることはとても悲しいな」
女「5年も経つと悲しみも薄れます」
男「…強いんだな」
女「そんなことありません。」
男「少なくとも、俺よりは強い。俺は未だに悲しみが薄れていかない。」
女「私と事の大きさが違います」
男「それでも、君は強いと思う」
女「……ありがとうございます」
男「……君はこのままここで待つのか?」
女「はい、終わりまで。独りで回ってもつまらないですから」
男「……なら俺と回らないか?」
女「え?」
男「せっかく祭りに来てるんだ、何もしないで終わるなんてもったいない。それにこれも何かの縁だ。…どうだい?」
女「……………」
男「無理にとは言わないが…」
女「そうですね、一緒に回りましょうか。でも、苦手なお祭りですけど、大丈夫ですか?」
男「もともとは俺も祭り好きだ。君に勇気をもらって、言ってるんだ」
女「…そうですか、なら良かったです」

●男 女 祭りへ歩き出す
●男 女 ハケ

それぞれの脚本(後編)へ続く。

山田:夏祭りシリーズvol.1「歩む」
松田:夏祭りシリーズvol.2「神SUMMER」
大島:夏祭りシリーズvol.3「そして煙草の匂いは残り続ける。」

ぜひ、読み比べてみてください!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?