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「同棲しない?」

すでに二度、彼に言われている。


一度目は7月頃。
完全に “なにがしたいか分からない” “これからどうしたいんだろう” と自分を見失っていた時だった。母の過保護にも嫌気がさしていた時でもあって、
「家にいるのも苦しいだろうから数年くらい養ってあげるー!」と冗談ぽく言われた。半分は本気だったような気もするけれど。
他人に甘えたくないのと、家から出ることが想像もつかなくて、ちょっといいなと思いつつも確実なことが言えなくて、不安が大きくて「うーん」と流した。自分がどうしたいのか分からないまま同棲するなんて嫌だった。


二度目は年末前にあった。私の就活も終わったとき。
やっと春からの考えられるようになった。一人暮らししたことが無ければ、家事はほとんどできない。掃除は好きだけど他はだめで、料理すらあまり興味も持てず適当なものちょっとしかできない。でも、一度家から出たい思いは母と和解してからも変わらなくて、だから一人暮らししたかった。なるべく他人に甘えたくはなかった。
でも、一人暮らしできるくらいお給料は高くない。ギリギリできるかどうかと言ったところ。料理すらする気力もないであろう春のことを考えると、食費がかかる分恐らく本当にギリギリ。一人で暮らすことの不安は増える一方。
それに加え、今は同じ大学だから毎日会える彼と、春からは週一でしか会えないことか想定される。私はそれで生きていけるのだろうか。きっと生きてはいけるけれど、それでも日常に彼がいて欲しいと思ってしまう。
そしたら同棲いいじゃないか!と思う。でも、私は欲張りなんだ。ひとりの時間も絶対欲しくなる。お金ないのに部屋は欲しい。いやぁ欲張りだなって自分でも思うよ。でも、ひとりの時間がないと、きっと私は私でなくなってしまうと思う。それだけ今までの人生、ひとりの時間が長くて、ひとりの時間が好きで、愛していたと思う。

「二人で暮らしたい」気持ちとたくさんの不安のせめぎあいを感じていて、そのまま彼には伝えたまま、この話の続きはしていない。それでも彼は1月中に引越しをするらしい。


私は卒業論文を書くだけの大学生活になって、就活も終わって、少しずつ社会人になるんだと感じさせられる。春のことを考えなければならないと不安が募る。この話の決着も迫られているのを身で感じる。

そして今週末、はじめて彼に「うちに来る?」と聞かれた。私が忙しくて、話はするもののスキンシップが取れないことにもどかしさをお互い感じていた。いつもは私から「家に行っていい?」と聞くところ、はじめて来て欲しいと言われた。きっとかれの触れたい気持ちに限界がきたのかもしれない。でもそれに加えて、“これから”について話したいのかもしれないと直感している。

正直、卒論でいっぱいいっぱいだけれど、それじゃ時間的に春に間に合わないことが多すぎる。

二人で暮らすこと。
私は本当はどうしたいんだろうって思い悩んでいなけれど、ここで書いていることがきっと全て。

「二人で暮らしたいけれど不安が大きい」

家事もきっとほとんどできないことに加え、同じ新卒なのに金銭面も頼らざるを得ないような、そんな自分にとても後ろめたさを感じながら、「一緒に暮らしたい」なんて私には言えない。

今週末、彼にこのことを投げかけられたら私はなんと答えるんだろうか。

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