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いつか、この街を懐かしく思いたい



小学4年生の春、仕方なく引っ越してこの街に住み始めてもう14年は経った。

最寄り駅まで徒歩7分
都心へのアクセスもよく、電車は2路線もあって、ただでさえ便利。なのに自転車も漕ぎやすいなだらかな道で、お散歩していればショッピングモールへも20分かからない。
駅はそれなりに栄え、生活用品は一通りそろうお店が立ち並ぶ。駅近の居酒屋さんは個人店が多く、楽しく美味しいし、治安がとても良い。

定住するのにこんなにいい街なかなか無いだろう。
「不便」と感じたことはありません。

便利な土地で、住み良い家。
でも、親元で暮らす私がこんなこと言うのもなんだけど、この街が好きじゃない。


𓂃𓈒𓏸

小学校のときは転校生として目立ち、いじめられた。中学校のときはそれなりに楽しかったような気もするけれどそんなもん。高校生の時の部活は、あまり思い出したくない。
中学の吹部の同じサックスの子と、高校生の時の友達一人を除いては、もう関わりを持っていない。自ら縁を切ったようなものだ。
こっちに引っ越してから、あまりいい思い出がない。だからこの街が好きじゃないのかもしれない。



いや、引っ越す前の環境が良すぎたのかもしれない。思春期を共にしてないからか、引っ越す前の友達とはそれなりに会う。幼なじみとは今でも連絡も取り、よく会う。関係性は良い。


それに加えて、淡い記憶を思い出す。
あの頃の私、自分らしかったなと思う。
周りの目を気にせず、それでいて自分らしさがそのまま受け入れられていた。
だから心地よかったのかも。


𓂃𓈒𓏸

今の街はよくない思い出がそのままそっくり残っている。たかが14年ほどだけれど、でも思春期込みの思い出はやっぱり色が濃い。

早く外へ出たい。

親との関係、私の将来、詰まった思い出
そんなことを思い返すと、早く外へ出て、一人暮らしをしたい気持ちが掻き立てられる。
そうしたくてたまらない。


𓂃◌𓈒𓐍


今はこんな気持ちでいるけど、自分らしい暮らしができて、ふと帰った時 「懐かしいな」 なんて思えたら、きっと嫌な思い出も全部、書き換えられる。

そしたら今よりずっと、この街を好きになれる気がする。

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