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きみにもう会えない

あっけない幕切れ。
たったひとつの言葉を放ったその瞬間、きみと僕は永遠の他人に戻る。きみの気持ちの大きさに、軟弱な僕の心は怯んでしまった。

たとえ離れても、なんとなく連絡を取り合うような関係でありたいとどこか甘えた考えをしていた僕の心を見透かしたみたいに、気付けばきみは、いつの間にかすべての連絡先を変えて、正真正銘、本当に僕の前から消えていなくなってしまっていた。

あんなにも僕のことが好きで、別れの間際には涙まで流していたあの子。それなのに、こんなにもあっさりと僕の前から姿を消してしまった。もう二度と会えないのだろうか。

自分よりあの子の気持ちのほうが大きかったことに、どこか慢心していたのかもしれない。離れても、あの子の気持ちはずっと僕に向いているんじゃないか、そんな気持ちもあった。自分の下した決断に、いまとなって呆然としている。

「きみにもう会えない」

別れとはそういうものなのに、まるでその意味をいま初めて知ったかのような気分だ。

「そうか、きみにはもう会えないのか」

驚きとともに見上げた空は、突き抜けるような青い青い美しい夏空だった。

はらりと涙がこぼれて、少しだけ、泣いた。

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